問題49
社会保険制度の財源に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 健康保険の給付費に対する国庫補助はない。
2 介護保険の給付財源は,利用者負担を除き,都道府県が4 分の1 を負担している。
3 老齢基礎年金は,給付に要する費用の3 分の2 が国庫負担で賄われている。
4 労働者災害補償保険に要する費用は,事業主と労働者の保険料で賄われている。
5 雇用保険の育児休業給付金及び介護休業給付金に対する国庫負担がある。
間接的に利用者の生活に関わるものであり、社会福祉士が政策提言を行う際の基礎資料となるものである。
1は国庫補助があるので×。2は、
利用者負担部分を除くと給付費の半分を保険料で負担し、その残りの公費の1/4を都道府県が負担するので、都道府県は全体の1/8を負担していることになる。都道府県が公費の1/4を負担することに着目した
ひっかけ問題である。3は
国庫負担で賄われているのは1/2なので×である。社会保険の場合、保険料でどこまで賄うかは一つの問題だが、
現状ではどんなに少なくても半分は保険料が賄っている。4は労災保険に要する費用について労働者の負担はない。×である。5は単独だと迷うかもしれないが、いずれも国庫負担がある。本肢が〇となる。
※仮に5を知らなかったとしたら、消去法で解くべき問題といえる。
【正解5】
問題50
日本における社会保険と民間保険に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 民間保険では,加入者の保険料は均一でなければならない。
2 生命保険など民間保険の保険料が,所得税の所得控除の対象になることはない。
3 民間保険には低所得者に対する保険料の減免制度がある。
4 社会保険では,各個人が自由に制度に加入・脱退することは認められていない。
5 社会保険は,各被保険者の保険料とそれにより受け取るべき給付の期待値が一致するように設計されなければならない。
民間の保険と社会保険の比較の問題である。
1はもちろん×である(ちなみに社会保険でも均一ではない)。2も×である(経験上知っている人も多いのではないだろうか)。3は少なくとも「免」はないと気づける。×である。4は、社会保険は強制なので、これが〇である。5で迷った人もいると思われる。
社会保険は所得に応じて保険料額に違いがあるが、だからといって給付が多くなるものばかりではない。本肢の内容は少なくとも医療保険や介護保険には当てはまらない。×である。
【正解4】
問題51
事例を読んで,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Dさん(45 歳)は,正社員として民間会社に勤務している。Dさんの父親Eさんが脳梗塞で倒れ,常時介護を必要とする状態になり,要介護4 の認定を受けた。
1 Dさんが法定の介護休業制度を利用し,賃金が支払われなかった場合,雇用保険の介護休業給付金を受給することができる。
2 DさんがEさんの介護のために短時間勤務に切り替え,収入が従前よりも低下した場合,労働者災害補償保険から特別障害者手当が支給される。
3 Eさんが介護保険の居宅サービスを利用する場合,保険給付の区分支給限度基準額は,Eさんの所得に応じて決定される。
4 Eさんが75 歳以上の後期高齢者の場合,Eさんの介護保険の利用者負担は減免の対象となる。
5 Eさんの介護保険の利用者負担が高額介護サービス費の一定の上限額を超過した場合,追加の利用者負担が求められる。
なかなか手の込んだ問題である。これまであまりない聞かれ方をしている肢が多い。悩んだ人も多かったのではないだろうか。
1は〇。2のようなケースで労災保険からの給付はない。3は、介護保険の保険給付の区分支給限度基準額は要介護度によって決定されるので×。4は、Eさんが75 歳以上の後期高齢者というだけで介護保険の利用者負担が減免の対象となることはなく×である。5は、利用者負担が高額介護サービス費の一定の上限額を超過した場合には超えた部分が支給される。×である。
【正解1】
問題52
年金保険に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 離婚した場合,当事者の合意又は裁判所の決定があれば,婚姻期間についての老齢基礎年金の分割を受けることができる。
2 老齢基礎年金は,25 年間保険料を納付して満額の支給が受けられる。
3 老齢基礎年金は,65 歳以降75 歳まで支給開始を遅らせることができ,この場合,年金額の増額がある。
4 障害基礎年金は,障害認定日に1 級, 2 級又は3 級の障害の状態にあるときに支給される。
5 国民年金の第一号被保険者を対象とする独自の給付として,付加年金がある。
年金は高齢者の生活を支える主な収入源である。
1は一昔前の話である。今では当然に分割される。×である。2は10年に短縮された(2017年改正)。直前対策講座のテキストにも書いていた部分である。×である。3は、支給開始を遅らせることができるのが何歳までかは定められていない。(※70歳到達日以後の繰下げ請求は、請求時期にかかわらず70歳到達時点での増額率になる)×である。4の障害基礎年金は1,2級のみである。×である(※障害厚生年金には3級がある)。5は〇である。
【正解5】
問題53
医療保障制度の歴史的展開に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 健康保険法(1922 年(大正11 年))により,農業従事者や自営業者が適用対象となった。
2 老人福祉法(1963 年(昭和38 年))により,国民皆保険が実現した。
3 老人保健法(1982 年(昭和57 年))により,高額療養費制度が創設された。
4 介護保険法(1997 年(平成9 年))により,老人保健施設が創設された。
5 健康保険法等の改正(2006 年(平成18 年))による「高齢者医療確保法」により,75歳以上の高齢者が別建ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。
(注) 「高齢者医療確保法」とは,「高齢者の医療の確保に関する法律」のことである。
歴史問題である。時には歴史的な流れを振り返ろう。
1の健康保険法(1922 年(大正11 年))の対象は被用者(サラリーマン)なので×。2はもちろん×である。国民皆保険が実現したのは1961年(昭和36年)である。3は、老人保健法の時代には、高齢者は定額負担であった(月に数百円という時代)。その老人保健法で高額療養費制度が創設されたとするのはおかしいのではないかと気づいて欲しい。×である。4は知らないと迷うであろう。△。5も嫌な聞き方である。わからなければ△。
※老人福祉法による高齢者医療費の無償化(1973)⇒老人保健法(1982)⇒高齢者医療確保法(2006)、の流れは押さえておく。
【正解5】
問題54
事例を読んで,健康保険などに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
会社員のFさん(35 歳,男性)は,健康保険の被保険者であり,妻のGさん(33歳)と同居している。GさんはFさんの加入する健康保険の被扶養者である。ある休日,FさんはGさんを同乗させ,自家用車を運転して行楽に出掛ける途中,誤ってガードレールに衝突する自損事故を起こし,二人ともケガをしたので,治療のため病院に行った。
1 事故はFさんの過失によるものなので,健康保険は適用されず,FさんとGさんは治療費を全額負担しなければならない。
2 事故はFさんの過失によるものなので,Fさんには健康保険が適用されないが,Gさんには治療費について健康保険の給付が行われる。
3 ケガのため,翌日から連続して会社を休み,その間,給与の支払がなかった場合,Fさんは休業4 日目から傷病手当金を受けられる。
4 Gさんがパートで働いており,仕事を休む場合,Gさんは傷病手当金を受けられる。
5 Fさんのケガは,労働者災害補償保険の療養補償給付の対象となる。
事例をしっかり読もう。 過去問が形を変えて出題された典型的な問題である。
1は、過失で怪我をして健康保険が適用されないとすると困る(故意なら別だが)。もちろんGに適用されないのはさらに困る。×である。2は、同様な理由で×である。3は、〇である(過去問にも何回か出ている)。4で悩んだ人もいるかもしれない。しかし、Gは「Fさんの加入する健康保険の被扶養者である」のだから、傷病手当金は支給されない。×である。なお、この問題ではパートに適用があるかどうかについて考える必要はない。5は、「行楽に出掛ける途中」に起きた事故であり、業務上の負傷ではない。もちろん労災は適用されず、×となる。3にマーク
【正解5】
問題55
諸外国における医療や介護の制度に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 アメリカには,全国民を対象とする公的な医療保障制度が存在する。
2 イギリスには,医療サービスを税財源により提供する国民保健サービスの仕組みがある。
3 フランスの医療保険制度では,被用者,自営業者及び農業者が同一の制度に加入している。
4 ドイツの介護保険制度では,介護手当(現金給付)を選ぶことができる。
5 スウェーデンには,介護保険制度が存在する。
海外の制度である。3と5は迷ったかもしれないが、他は比較的メジャーな部分ではないだろうか。
1は、アメリカにはそのような公的医療保険制度はないので×。2はNHSのことであり、〇である。3は知らなければ△(※分立している)。4は、〇である(これも受験界ではポピュラーである)。5は、×である(介護保険制度はない)。
直前対策で使用した一覧表から出題された。受講してくれた人は得点できたハズ‼^^‼
【正解2,4】