9.社会保障(R3年-第34回)
問題49 日本の医療保険制度と介護保険制度などの歴史的展開に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 第二次世界大戦後の 1954 年(昭和 29 年)に,健康保険制度が創設された。
2 1961 年(昭和 36 年)に達成された国民皆保険により,各種の医療保険制度は国民健康保険制度に統合された。
3 1973 年(昭和 48 年)に,国の制度として老人医療費の無料化が行われた。
4 1982 年(昭和 57 年)に制定された老人保健法により,高額療養費制度が創設された。
5 2000 年(平成 12 年)に,介護保険制度と後期高齢者医療制度が同時に創設された。
医療費の無料化等、給付を充実させていった時期と負担が増えて行っている時期を分けるのは概ね1980年代です。現在に至っては、保険給付の種類は増えても負担が大きくなっており、今後も更に負担が増えることが予想されています。
1:健康保険法は大正11年にできています。
2:当時は後期高齢者医療保険はありませんでしたが、国民健康保険だけでなく、会社員などが加入する健康保険制度がありました。
3:適切
4:高額療養費制度ができたのは1973年です。また、老人保健法とは関係ありません。被用者保険と国民健康保険で創設されています。
5:後期高齢者医療制度は、2008年からです。
【正解3】
問題50 「平成 30 年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)による2018 年度(平成 30 年度)の社会保障給付費等に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。
1 社会保障給付費の対国内総生産比は,40 %を超過している。
2 国民一人当たりの社会保障給付費は,150 万円を超過している。
3 部門別(「医療」,「年金」,「福祉その他」)の社会保障給付費の構成割合をみると,「年金」が 70 %を超過している。
4 機能別(「高齢」,「保健医療」,「家族」,「失業」など)の社会保障給付費の構成割合をみると,「高齢」の方が「家族」よりも高い。
5 社会保障財源をみると,公費負担の内訳は国より地方自治体の方が多い。
できなくてもしょうがない問題です。捨て問と考えましょう。
1:2018 年度の社会保障給付費(ILO 基準)の総額は 121 兆 5,408 億円で対国内総生産比は約22%です。
2:国民一人当たりの社会保障給付費は、約99万円です。
3:年金は 55 兆 2,581 億円で、約45%です。
4:正しい
5:国の公費負担が多い。
【正解4】
問題51 社会保険と公的扶助に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 社会保険は特定の保険事故に対して給付を行い,公的扶助は貧困の原因を問わず,困窮の程度に応じた給付が行われる。
2 社会保険は原則として金銭給付により行われ,公的扶助は原則として現物給付により行われる。
3 社会保険は救貧的機能を果たし,公的扶助は防貧的機能を果たす。
4 社会保険は事前に保険料の拠出を要するのに対し,公的扶助は所得税の納付歴を要する。
5 公的扶助は社会保険よりも給付の権利性が強く,その受給にスティグマが伴わない点が長所とされる。
落とせない問題。ほとんどの人が正解できたはず。
1:適切
2:医療保険、介護保険は原則として現物給付。
3:社会保険は防貧的機能,公的扶助は救貧的機能。
4:公的扶助は所得税の納付歴を要する、ということはない。
5:保険料を納める社会保険の給付の方が権利性が強い。
【正解1】
問題52 日本の社会保険の費用負担に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 健康保険組合の療養の給付に要する費用には,国庫負担がある。
2 患者の一部負担金以外の後期高齢者医療の療養の給付に要する費用は,後期高齢者の保険料と公費の二つで賄われている。
3 老齢基礎年金の給付に要する費用は,その 4 割が国庫負担で賄われている。
4 介護保険の給付に要する費用は,65 歳以上の者が支払う保険料と公費の二つで賄われている。
5 雇用保険の育児休業給付金及び介護休業給付金の支給に要する費用には,国庫負担がある。
1か5で迷った人が多かったのでは。2,3,4 が適切でないのは常識に近い。
1:健康保険制度には、健康保険組合(大企業中心)と協会けんぽ(中小企業中心)があり、協会けんぽには国庫負担があるが健康保険組合には国庫負担はない。国民健康保険、後期高齢者医療保険にも国庫負担はある。
2:後期高齢者の保険料と公費以外に、後期高齢者支援金(若年者の保険料)がある。
3:老齢基礎年金の給付に要する費用の5割が国庫負担です。
4:第二号被保険者の保険料もありますね。
5:適切
【正解5】
問題53 雇用保険法に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。
1 基本手当は,自己の都合により退職した場合には受給できない。
2 保険者は,都道府県である。
3 近年の法改正により,育児休業給付は,失業等給付から独立した給付として位置づけられた。
4 雇用調整助成金は,労働者に対して支給される。
5 雇用安定事業・能力開発事業の費用は,事業主と労働者で折半して負担する。
1,2は常識です。
1:自己都合でも一定の要件を満たせば受給できる。
2:保険者は国です。
3:正しい
4:去年、今年と随分話題になっていました。雇用調整助成金は,事業者に対して支給されます。
5:雇用保険料は、事業主と労働者で折半する部分もありますが、雇用安定事業・能力開発事業の費用は,事業主のみが負担します。
【正解3】
問題54 事例を読んで,ひとり親世帯などの社会保障制度に関する次の記述のうち,
最も適切なものを 1つ選びなさい。
〔事 例〕
大学生のEさん(22 歳)は,半年前に父親を亡くし,母親(50 歳)と二人暮らしである。母親は就労しており,健康保険の被保険者で,Eさんはその被扶養者である。
Eさんは,週末に 10 時間アルバイトをしているが,平日の通学途上で交通事故に遭い,大ケガをした。
1 Eさんの母親の前年の所得が一定額以上の場合,Eさんは国民年金の学生納付特例制度を利用できない。
2 Eさんがアルバイト先を解雇されても,雇用保険の求職者給付は受給できない。
3 Eさんの母親は,収入のいかんにかかわらず,遺族基礎年金を受給できる。
4 Eさんがケガの治療のため,アルバイト先を休み,賃金が支払われなかった場合,
労働者災害補償保険の休業給付が受けられる。
5 Eさんは,母親の健康保険から傷病手当金を受給できる。
ちょっとややこしい問題です。
1:国民年金の学生納付特例制度は、親の収入は関係なく学生本人の収入で決まります。
2:適切
3:父親(夫)の職業などによっては遺族厚生年金が受給できる可能性はあるが、遺族基礎年金は養育する子どもが18歳未満(障害児等の場合は20歳未満)の母親(妻)にしか支給されません。
4:労働者災害補償保険の休業給付は通勤途上の事故でないと給付されない。
5:傷病手当金は、本人の労務不能に対する給料替わりという性格です。被扶養者など本人以外には給付されません。
【正解2】
問題55 公的年金の被保険者に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 厚生年金保険の被保険者は,老齢厚生年金の受給を開始したとき,その被保険者資格を喪失する。
2 20 歳未満の者は,厚生年金保険の被保険者となることができない。
3 被用者は,国民年金の第一号被保険者となることができない。
4 厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者であっても,学生である間は,国民年金の第三号被保険者となることができない。
5 国民年金の第三号被保険者は,日本国内に住所を有する者や,日本国内に生活の基礎があると認められる者であること等を要件とする。
年金のことは自分自身にも関係のあることですから、興味を持って勉強しましょう。
1:年金をもらいながら働き続けることはできます。ただ、給料と年金額を併せた額が多くなると年金の支給額に調整が入ります。
2:例えば高卒で就職した人も厚生年金保険の被保険者です。
3:所定の労働時間が短い被用者は厚生年金に加入できないことがあり、その場合国民年金の第一号保険者になります。
4:被扶養配偶者であるかどうかに収入は関係しますが、学生であるかどうかは関係ありません。
5:適切
【正解5】
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