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9.保健医療サービスの知識(R2年10月-第23回)4/4

問題 41 ターミナルケアに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。 1 本人の人生観や生命観などの情報は、関係者で共有すべきではない。 2 リビングウィルとは、本人の意思が明確なうちに、医療やケアに関する選択を本人が表明しておくことをいう。 3 重度の認知機能障害などを有する利用者の場合に、家族に加えて複数の医療•介護専門職が集まって方針を決める方法をコンセンサス•ベースド•アプローチという。 4 医学的観点だけに基づく診療方針の決定では、本人の意向に反する結果となるおそれがある。 5 介護保険の特定施設では、ターミナルケアは提供できない。   これから繰り返し出題されてもおかしくないテーマである。 難易度A 2040年に向けて福祉施設、在宅でのターミナルケアが増加していくことが予想される。   1は×である。試験では哲学をせず、素直に考えることが大切である。 2は〇である。 3の記述にあるコンセンサスは同意で、ベースドは基づくといった程度の意味である(今年の問題36のEBM、NBM参照)。 関係者が集まって合意のもとに方針を決めることを同意に基づくアプローチと呼ぶことは〇ぽいと感じられる。 4は内容から考えて〇と判断できるであろう。 5の介護保険の特定施設にはいくつかのものがあるが、典型的なものとしては介護付きの有料老人ホームを思い浮かべればいい。 そうした施設であればターミナルケアを提供できると考えるの素直であり、5は×だと判断すべきであろう。 現在では介護保険の特定施設でも看取り介護の加算が認められており、制度上もターミナルケアを提供することが想定されている。 H29-問42も見ておくことを薦める。

【正解2,3,4】

問題 42 訪問看護について正しいものはどれか。3つ選べ。 1 特別訪問看護指示書があるときは、7日間に限り、医療保険による訪問看護を提供することができる。 2 訪問看護事業を行う事業所は、指定訪問看護ステーションに限られる。 3 指定訪問看護事業者は、主治の医師に訪問看護計画書及び訪間看護報告書を提出しなければならない。 4 訪問看護の根拠法には、高齢者の医療の確保に関する法律も含まれる。 5 利用者が短期入所療養介護を利用している場合には、訪問看護費は算定できない。   少し細かいが類似のパターンで再度問われる可能性はある。 難易度B 消去法で正解を導いた人が多いと思うが、それができない場合は自分なりに確かな知識を頼りに肢を絞っていくしかない。   1は×である。14日間である。H28-問38、H27-問42、H22-問45参照。 2は×である。知らないと判断しづらいかもしれないが、病院や診療所から訪問看護がなされる場合があることを知っていれば×だと推測できるのではないだろうか。 なお、訪問看護事業所の開設者は、株式会社でもNPO法人でもよい(特別な制限はない)。 こちらは、病院・診療所のみなし指定の話と混同しないように注意が必要である(H29-問44参照)。 3はよさそうな内容である。これは〇である。 4は知らないと判断に迷うであろう。 5は〇である。短期入所療養介護には一定の医療行為を行うことが包含されているからである。

【正解3,4,5】

問題 43 指定看護小規模多機能型居宅介護について正しいものはどれか。3つ選べ。 1 事業所の登録定員は、29人以下である。 2 事業者は、看護サービスを提供する場合は、1人の利用者について複数の医師から指示を受けなければならない。 3 事業所の管理者は、必ずしも保健師又は看護師でなくてもよい。 4 その利用者については、訪問介護費を算定することができない。 5 事業所には、介護支援専門員を配置する必要はない。   看護小規模多機能型居宅介護については何回か出題されているが、これまでになかった選択肢がいくつかある。 難易度B 小規模多機能型居宅介護や他のサービスに関する類似した問題もチェックしておくこと。   1は〇であるが、知らなければ△にして先に進む。小規模多機能型居宅介護の定員についてはH28-問56で出題されている。 2は×である。「1人の利用者について複数の医師から指示を受けなければならない」とあるが、普通に考えてそのような義務を課すのはおかしいと感じられないだろうか。 過去問で同じ聞き方をした肢は見当たらなかった。 3は〇である。事業(≒サービス)によっては管理者の職種が限られているものもあるが、看護小規模多機能型居宅介護についてはそうした制限はない。 4は〇である。問題42の肢5と類似した考慮が働いている。 5は×である。看護小規模多機能型居宅介護には介護支援専門員が専従で1名以上必要である。

【正解1,3,4】

問題 44 介護老人保健施設について正しいものはどれか。2つ選べ。 1 要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対してサービスを行う施設と定義されている。 2 従来型の多床室に係る介護報酬は、在宅強化型と基本型の2類型だけである。 3 人員に関する基準には、医療分野から介護分野まで幅広い職種が含まれている。 4 利用者の平均要介護度は、介護老人福祉施設の入所者のそれより低い。 5 終末期にある利用者は、皆無である。   知らないと迷うものもあるが、積極法で正解を導きたい問題である。 難易度A   1は「長期にわたり療養が必要である」の部分が×である。 2は知らないと判断しづらいであろう。結論は×であるが、知らなければ△にして先に進む。R元-問42に関連した肢がある。 3は、医師、薬剤師、看護師、介護職員、PT、OTなど幅広い職種が働いているので〇と判断してよいだろう。 4は知らないと判断に迷うかもしれないが、〇である。老人保健施設が中間施設である、介護老人福祉施設は原則として要介護3以上の人が対象であることから推測して欲しい。 5も知らないと判断に迷うかもしれない。結論から言うと×である。 老人保健施設は、中間施設ではあるが、利用者が終末期を迎える場合もあり2009年にはターミナルケア加算も創設されている。また、知識がなくても「皆無である」という文末は×ぽいと感じた人もいたであろう。

【正解3,4】

問題 45 介護医療院について正しいものはどれか。3つ選べ。 1 要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要な者に対してサービスを行う施設と定義されている。 2 入所対象者には、身体合併症を有する認知症高齢者も含まれる。 3 介護医療院の創設により、介護療養型医療施設は2018(平成30)年4月にすべて廃止された。 4 定員100人のⅡ型療養床の場合には、常勤換算で1人の医師の配置が必要である。 5 入所者1人当たりの療養室の床面積は、8 m2以上とされている。   介護保険施設である介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院(※改正前は介護療養型医療施設)の違いはよく出されるので、3つの違いをイメージできるようにしておこう。 難易度B   1は×である。ここで説明されているのは老人保健施設に関するものだと思われる。介護医療院についての説明は前の問題44の肢1に書かれている。 これが偶然なのか意図的なのかはわからないが、気づいた人もいたであろう。 2は、介護医療院についてあまり知らなくても〇だと判断できるであろう。 3は「すべて廃止された」という部分が×である。 4と5は知らないと判断に迷うであろう。 いずれも〇であるが、1と3が×であることがわかりやすいので消去法で解いたほうが正解を導きやすい。

【正解2,4,5】

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