問題 52 「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」(厚生労働省)、「和5年度障害者雇用実態調査」(厚生労働省)及び「令和5年版障害者白書」(厚生労働省)にみられる障害児・者の実態に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2012年(平成24年)から2022年(和4年)の間に、特別支援教育を受ける児童生徒の数は減少した。
2 身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも施設入所者の割合が高い。
3 19歳以上65歳未満の在宅の身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも親との同居率が低い。
4 在宅の身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも65歳以上の者の割合が高い。
5 雇用されている身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも週の所定労働時間が30時間以上である者の割合が高い。
1は×である。
この10年間で、特別支援教育を受ける児童生徒の数は倍増した特に、特別支援学級の在籍者数(2.1倍)、通級による指導の利用者数(2.5倍)の増加が顕著である(白書:58)。
2は〇である。
障害別に状況をみると、身体障害における施設入所者の割合1.7%、精神障害における入院患者の割合4.7%に対して、知的障害者における施設入所者の割合は12.1%となっており、特に知的障害者の施設入所の割合が高い点に特徴がある(白書:129)。
3は×である。
知的障害者の方が身体障害者よりも親との同居率が高い。療育手帳所持者の親との同居率が91.2%なのに対し、身体障害者手帳の所持者は47.5%となっている。
4は×である。
身体障害者(72.6%)の方が知的障害者(15.5%)よりも65歳以上の者の割合が高い。
5は×である。
正解2
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
各種調査結果に関する問題をどこまで学ぶかは悩むところであるが、障害者福祉については、「生活のしづらさなどに関する調査」(厚生労働省)、「障害者白書」(厚生労働省)からの出題が定番となっているので、概要だけでも把握しておくとよい。
問題 53 「障害者総合支援法」における基幹相談支援センターに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域における中核的な役割を担う機関として、総合的・専門的な相談支援や成年後見制度利用支援事業の実施等の業務を行う。
2 障害者を通わせ、創作的活動又は生産活動の機会の提供、社会との交流の促進等の便宜を供与する役割を担う。
3 障害者の職業生活における自立を図るため、就業面及び生活面の一体的な相談を行う。
4 矯正施設を退所した障害者に対し、適切な福祉サービスに結び付けるための特別調整を行う。
5 障害児の発達において中核的な役割を担う機関として、障害児の家族等に対し。相談、助言その他の必要な援助を行う。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
1は〇である。
法77条の2、㉞問57肢4参照。
2は×である。
地域活動支援センターである。法5条27項、㉝問146、㉚問58参照。
3は×である。
障害者就業・生活支援センターである。㊱問146
4は×である。
地域生活定着支援センターである。㉝問93、㉛問60参照。
5は×である。
児童発達支援センターである(児童福祉法43条)。㉞問147、㉛問48参照。
正解1
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
基幹相談支援センターについて覚えていなかったとしても、その名称から考えて、2,3,4,5は別の機関であると推測できる。
問題 54 事例を読んで、Aさんの状況にあてはまる、「精神保健福祉法」に基づく入院形態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
統合失調症のAさん(40歳)は、この1週間で絶え間ない幻聴と、常に誰かに監視されているという妄想がひどくなってきた。さらに盗聴器を探して家具を壊すなどの行為が始まったため、同居する母親に付き添われ、かかりつけのB精神科病院を受診した。精神保健指定医であるC医師は診察の結果、入院治療を要すると判断し、Aさんにその旨を説明したが、Aさんはおびえた様子で意味不明な独語を繰り返すのみで、応答は得られなかった。C医師はAさんが入院治療の必要性について納得できるよう丁寧に説明を重ねたが、やはり入院についての同意を得ることはできず、また、症状の緩和も見られなかったため、やむを得ず母親の同意によって即日入院してもらうことになった。
1 措置入院
2 緊急措置入院
3 医療保護入院
4 任意入院
5 応急入院
(注)「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
1は×である。
精神保健指定医2名以上の診察がないし、都道府県知事による措置による入院でもない。
2は×である。
精神保健指定医1名の診察はあるが、都道府県知事による措置が発動されたという事情が認められない。
3は〇である。
精神保健指定医1名の診察があり、かつ、母親の同意がある。
4は×である。
本人(A)の同意は得られていない。
5は×である。
事案では、母親の同意があることから、3がより適切である。
正解3
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
類似した問いが同じ年の問題6で出されている。精神科の入院形態については、㉟問62、㉞問60参照。
問題 55 「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 この法律が施行される前から、障害者基本法に「差別の禁止」の規定があった。
2 民間事業者の合理的配慮の提供は、努力義務である。
3 この法律に基づき、市町村障害者虐待防止センターが設けられている。
4 障害者差別をした事業者には、この法律に基づき科料が科される。
5 この法律に基づく障害者の定義は、障害者基本法に規定されている障害者の定義より狭い。
(注) 「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
1は〇である。
障害者基本法4条1項参照。
2は×である。
合理的配慮の提供については、2021年の法改正を受け、2024年4月1日から事業者に対する努力義務が義務へと変更になった。
3は×である。
障害者虐待防止法に基づいて設置されている(同法32条以下参照)。
4は×である。
科料ではなく、罰金が科される。科料とは「1000円以上1万円未満」の金銭の納付を命じられる刑罰の一種である。 刑罰には、重いものから順に「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料」がある。
5は×である。
障害者差別解消法の障害者の定義と障害者基本法に規定されている障害者の定義の内容は同じである。㉝問57肢4参照。
正解1
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
類題に㉝問57があるが、その後の法改正などもあり、当時とは答えが異なっている選択肢がある。
問題 56 「障害者雇用促進法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 就労継続支援A型事業は、この法律に基づき就労支援サービスを提供するものである。
2 公共職業安定所(ハローワーク)は、就労を希望した障害者の就職後の助言、指導は行わない。
3 事業主は、障害者である労働者を雇用する事業所において障害者職業生活相談員を外部委託することができる。
4 雇用義務の対象となる障害者であるかどうかの確認は、精神障害者については、精神障害者保健福祉手帳により行う。
5 事業主は、障害者と障害者でない者との機会均等を図るために、過重な負担となるときであっても、合理的配慮を講じなければならない。
(注)「障害者雇用促進法」とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。
1は×である。
就労継続支援A型事業は、障害者総合支援法に基づいて就労支援サービスを提供するものである(同法5条1項、13項参照)。
2は×である。
就職後の職場定着指導を実施している。
3は×である。
障害者職業生活相談員(以下「相談員」)は、障害者の職業生活全般についての相談、指導を行う企業内担当者である。常時雇用する障害者が5人以上の事業所では、障害者の実人員が5人以上となってから3か月以内に、職場内で障害者の職業生活全般の相談に乗る「障害者職業生活相談員」を選任する必要がある。㉛問146参照。
4は〇である。
障害者雇用促進法37条2項参照。
5は×である。
事業主に過重な負担を及ぼすことになるときは講じなくてもよい(法36条の3参照。
正解4
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
1,2,5が誤りであることは判断しやすい。
問題 57 事例を読んで、大学の学生支援センターのA相談員(社会福祉士)のBさん への対応に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
統合失調症の診断を受けた大学3年生のBさんは、周囲から聞こえてくる悪口と薬の副作用に悩み、授業も休みがちである。Bさんは、主治医から「悪口は幻聴である。薬物療法で緩和できる」との説明を受けているものの、不安は消えない。悩んだBさんは、学生支援センターを訪れ「薬の副作用がつらい。今後の就職活動も不安でたまらない。自分と同じ経験をしている学生は他にもいるのか。いるなら話をしてみたい」とAに訴えた。Bさんの不安や焦燥感を受け止めたAは、Bさんにどのように対応すべきかを考えている。
1 主治医に相談するよう伝える。
2 学生支援センターに登録しているピアサポートスタッフの紹介を検討する。
3 地域の指定特定相談支援事業所の相談支援専門員の紹介を検討する。
4 就労移行支援事業所のサービス管理責任者の紹介を検討する。
5 精神障害者保健福祉手帳の取得を勧める。
1は〇である。
Bは統合失調症の診断を受けており、その病気はBが抱える不安や焦燥感につながっている。主治医に相談するよう伝えるのは、適切である。
2は〇である。
Bは「自分と同じ経験をしている学生は他にもいるのか。いるなら話をしてみたい」と言っているので、ピアサポートスタッフの紹介を検討することは適切である。
3は×である。
問題文には、Bが、障害者福祉のサービスを利用したいことをうかがわせる事情は書かれていない。
4は×である。
Bは大学生であり、福祉的就労をしているわけではない。したがって、就労移行支援事業所のサービス管理責任者の紹介を検討することは適切ではない。
5は×である。
Bは主治医から「「悪口は幻聴である。薬物療法で緩和できる」との説明を受けているし、B自身が精神保健福祉手帳を望んでいるような事情は問題文かららはうかがわれない。
正解1,2
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
どの対応が適切かは事例と照らし合わせて判断する。

