7.地域福祉の理論と方法(R3年-第34回)2/2
問題37 国の政策において,国民又は地域住民に期待される役割に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 「成年後見制度利用促進法」に基づき,成年後見制度の利用の促進に関する施策に協力すること。
2 「障害者虐待防止法」等に基づき,虐待を発見した場合に,養護者に対する支援の中心となること。
3 「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」(平成 5 年厚生省告示第 117 号)に基づき,ボランティアとして,支援を求
めている人の意向に関わりなく,自分が必要と思う支援をすること。
4 「災害対策基本法」に基づき,避難支援等関係者として,災害時に自分の避難より,避難行動要支援者の避難を優先して支援をすること。
5 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(2017 年(平成 29 年)改訂(厚生労働省))に基づき,医師の指示に従って認知症の高齢者をケアすること。
(注)1 「成年後見制度利用促進法」とは,「成年後見制度の利用の促進に関する法律」のことである。
2 「障害者虐待防止法」とは,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
国民又は地域住民に期待される役割ですが、義務規定的なものではなく、努力義務的なものと考えられましょう。
1:適切
2:支援の中心というのは、ちょっと考えられない。
3:支援を求めている人の意向に関わりなく、支援をするのが良いわけはありません。
4:自分を犠牲にしてまで他者を助けてください、ということは法律で決められません。
5:国民又は地域住民が医師の指示のもとケアをするとは、ちょっと考えられない。
【正解1】
問題38 地域福祉の基礎的な概念に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは,道路や上下水道,社会福祉施設など住民が共同で利用することができる地域の公共的な資源のことをいう。
2 セルフヘルプグループとは,成員同士のピアサポートの実施や社会的地位の向上を図ることを目的として,同じ職種の専門職によって構成される団体のことをいう。
3 ローカルガバナンスとは,正当な手続によって選出された首長や議員によって地方政治が一元的に統治されている状態のことをいう。
4 プラットフォームとは,住民や地域関係者,行政などがその都度集い,相談,協議し,学び合う場のことをいう。
5 ソーシャルサポートネットワークとは,本人を取り巻く全ての援助関係のうち,家族や友人などインフォーマルな社会資源に関するネットワークを除いたもののことをいう。
カタカナ用語の問題。常に新しい知識を取り入れる必要性を感じさせます。
1:ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは、具体的なインフラ等を指すのではなく、人間関係やネットワークなどのことです。これも立派な資本です。
2:セルフヘルプグループとは,共通の問題を感じる人が自主的につながり、問題解決のために経験や情報を分かち合うグループ。
3:ローカルガバナンスとは、その地域の様々な人が関わることです。
4:適切
5:ソーシャルサポートネットワークは,インフォーマルな社会資源も含みます。
【正解4】
問 題 39 地域福祉の調査方法に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 コミュニティカフェの利用者の満足度を数量的に把握するため,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて調査データを分析した。
2 地域における保育サービスの必要量を推計するため,幅広い住民に参加を呼び掛けて住民懇談会を行った。
3 福祉有償運送に対する高齢者のニーズを把握するため,無作為に住民を選んでフォーカスグループインタビューを実施した。
4 介護を行う未成年者のニーズを把握するため,構造化面接の方法を用いて当事者の自由な語りを引き出す調査を実施した。
5 認知症高齢者の家族介護者の不安を軽減する方法を明らかにするため,当事者と共にアクションリサーチを実施した。
社会調査の問題と言っても良いと思います。この様な問題の場合は、該当科目だけでなく、関連科目も併せて復習しましょう。
1:グラウンデッド・セオリー・アプローチは、数量的というよりも質的調査データなどの分析手法です。
2:合ってそうな気もしますが、効率的ではない。基本的には保育を必要とする世代、近い将来保育を必要とする世代に対する調査が良いと思います。
3:フォーカスグループインタビューは、ある特定の集団に対する調査です。無作為に抽出する訳ではありません。選択肢2はフォーカスグループインタビューが適していると言えます。
4:構造化面接とは、あらかじめ定めた評価基準や質問項目にそって面接を実施する手法ですので、自由な語り、という部分と矛盾しています。
5:適切
【正解5】
問題40 事例を読んで,U地域包括支援センターに配属されたB生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)が「協議体」の運営について提案したことに関する次の記述のうち,適切なものを 2つ選びなさい。
〔事 例〕
担当地域(小学校区)で協議体を組織するに当たり,B生活支援コーディネーターは,事務局を構成する予定の行政や社会福祉協議会の担当者と協議体の運営のための準備会を行うことになった。準備会では,B生活支援コーディネーターが,協議体の目的と,それを具体化するための方針を提案した。
1 地域のニーズを共有化するために,これまで地域ケア会議で出された地域課題を検討することを提案した。
2 協議体を効率的に運営するために,既存の会議体で協議されている介護分野以外の内容については,協議の対象としないことを提案した。
3 多様な主体の協力を確保するために,地縁組織だけでなく,社会福祉法人や特定非営利活動法人などの民間団体にも参加を呼び掛けることを提案した。
4 地域づくりにおける意思統一を図るために,あらかじめ行政が目指す地域の姿を提示し,それに向かって協議することを提案した。
5 生活支援サービスを開発するために,市外の先行事例を紹介し,協議体の参加者にそれと同じ活動を実施することを提案した。
(注) ここでいう「協議体」とは,介護保険の生活支援・介護予防サービスの体制整備に向けて,市町村が資源開発を推進するために設置するものである。
強制的なニュアンスや排他的な独断的なものを消去していきましょう。
1:適切
2:一部の分野しか協議の対象としないというのは変です。
3:適切
4:行政の強制みたいな感じです。協議体の意味がないですね。
5:市外の先行事例を参考にするのは問題ありませんが、同じ活動を実施というのが不適切です。これでは地域性がなくなる。
【正解1,3】
問題41 事例を読んで,N市社会福祉協議会の職員であるC社会福祉士が企画したプログラム評価の設計に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。
〔事 例〕
N市社会福祉協議会は,当該年度の事業目標に「認知症の人に優しいまちづくり」を掲げ,その活動プログラムの一つとして認知症の人やその家族が,地域住民,専門職と相互に情報を共有し,お互いを理解し合うことを目指して,誰もが参加でき,集う場である「認知症カフェ」の取組を推進してきた。そこで,C社会福祉士は,プログラム評価の枠組みに基づいて認知症カフェの有効性を体系的に検証することにした。
1 認知症カフェに参加した地域住民が,認知症に対する理解を高めたかについて検証するため,ニーズ評価を実施する。
2 認知症カフェの取組に支出された補助金が,十分な成果を上げたかについて検証するため,セオリー評価を実施する。
3 認知症カフェが,事前に計画された内容どおりに実施されたかを検証するため,プロセス評価を実施する。
4 認知症カフェに参加する認知症の人とその家族が,認知症カフェに求めていることを検証するため,アウトカム評価を実施する。
5 認知症カフェが,目的を達成するプログラムとして適切に設計されていたかを検証するため,効率性評価を実施する。
プログラム評価の意味が問題になっていると考えられます。分かりにくい問題と思います。
どれも正解の可能性があるようにも思えますが、プログラム評価の設計に関することということで、3が正解になっています。
【正解3】
一覧に戻る