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7.地域福祉と包括的支援体制(R7年2月-第37回)1/2

問題 43 市民による福祉の担い手に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 認知症サポーターは、専門職のサポートを行うため、地域包括支援センターに配属される。
2 主任児童委員は、子どもや子育て家庭に関する相談に応じるため。児童家庭支援センターに配属される。
3 労働者協同組合は、地域における多様な需要に応じた仕事を創出するために、組合員自らが出資し事業に従事する。
4 民生委員は、市町村長の推薦によって、都道府県知事から委嘱される。
5 社会的企業は、株主の利益を最優先しながら、ビジネスの手法によって社会課題を解決する。

1は×である。
地域包括支援センターに必須の職員は、社会福祉士、主任介護支援専門員、保健師である。認知症サポーターについては、㊱問116、㉝問40参照。
2は×である。
主任児童委員は、関係機関等と児童委員との連絡調整や、児童委員の活動に対する援助・協力を行うが民間のボランティアである。厚生労働大臣は、児童委員のうちから、主任児童委員を指名する(児童福祉法第16条第3項)ことになっている。
3は〇である。
労働者協同組合は、試験では初めての登場だと思われる。
4は×である。
厚生労働大臣は、都道府県知事の推薦によって民生委員を委嘱する(民生委員法5条1項)。㉞問42肢1参照。
5は×である。
社会的企業とは、利益だけでなく社会的問題の解決を目指す企業のことである。知らなかったとしても、名称からして、「株主の利益を最優先しながら」という部分はおかしいと推測できる。㉚問25で出題されている。

正解3

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
労働者協同組合は、試験では初めての登場だと思われる。単独で判断できなくても、消去法で解くことが可能である。

問題 44 「令和6年版地方財政の状況」(総務省)に示された 2022年度(令和4年度)の民生費などに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村の目的別歳出決算額の構成比は、大きい方から、民生費、総務費、教育費の順となっている。
2 目的別歳出決算額において、都道府県では、2012年(平成 24年)以降、災害救助費が一貫して増加している。
3 市町村と都道府県の目的別歳出決算額に占める民生費の割合を比較すると、都道府県の方が大きい。
4 目的別歳出決算額において,都道府県の民生費では、社会福祉費の割合が最も大きい。
5 目的別歳出決算額において、市町村の民生費では、生活保護費の割合が最も大きい。

1は〇である。
「令和6年版地方財政の状況」p15参照。
2は×である。
令和4年度災害救助費は、前年度より減少した。また、2012年以降、一貫して増加しているわけでもない。前掲p39参照。
3は×である。
市町村の方が大きい。市町村が37.2%なのに対し、都道府県は15.0%となっている。前掲p15参照。
4は×である。
都道府県においては、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計への負担金を拠出していることから、老人福祉費の構成比が最も大きくなっている。前掲p38-39参照。
5は×である。
市町村においては、児童福祉に関する事務及び社会福祉施設の整備・運営事務を主に行っていることから、児童福祉費の構成比が最も大きくなっている。前掲p38-39参照。

正解1

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
推論だけで解くことは困難である。㊱問45、㉟問44、㉞問45、㉝問46、㉜問44、㉘問45など、類題は多いので、たびたび出題されるものについては、傾向を覚えておく方が良いであろう。
このタイプの問題は、第36回まで福祉行財政と福祉計画の中で出題されていたものである。

問題 45 厚生労働省が発表した「地域福祉(支援)計画策定状況等の調査結果概要」(令和5年4月1日時点)に示された地域福祉(支援)計画の策定状況に関する次の記述のうち。最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域福祉支援計画を策定済みでない都道府県も存在している。
2 地域福祉計画の策定済み市町村の割合は、市部よりも町村部の方が高い。
3 「包括的な支援体制の整備に関する事項」について、いずれかの項目を計画に位置付けている市町村は、8割を超えている。
4 計画期間を3年とする市町村が最も多い。
5 計画の評価実施体制を構築している市町村は全体の2割程度である。
(注)令和6年能登半島地震の影響により調査への対応が困難となった市町については、調査結果に当該市町は含まれていない。

1は×である。
全 47 都道府県が、都道府県地域福祉支援計画を策定済みである。都道府県地域福祉支援計画の策定が努力義務であることからすると(社会福祉法108条1項参照)、策定していない都道府県もあるのではないかとも思われるが、この計画が法に盛り込まれたのは2000年のことであり、さすがに現時点で作成していない都道府県はない。ちなみに、2014年の調査では、5県が策定していなかった。㉜問22肢4、㉘問48肢1参照。
2は×である。
町村部よりも市部の方が高い。小さな自治体ほど策定が困難と考えられることから、本肢は誤りと推測しても良いであろう。㉘問48肢2参照。
3は〇である。
盛り込むべき内容は、社会福祉法106条1項1号から3号に記載されている。いずれか1つ以上は盛り込んでいると回答した割合は87.2%だった。高いと感じるかもしれないが、別の見方をすれば、多くの地域福祉計画がすべての事項ではないが1つは何とか盛り込めているというふうにもいえる。
4は×である。
計画の期間については、1092 市町村(73.2%)が「5年」と回答している。3年では短いと感じられるかどうか。
5は×である。
全体の約6割(62.7%)が計画の評価実施体制を構築していると回答した。

正解3

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
2と4は、その場で考えることにより誤りと推測できるが、残りの肢は、知識がないと判断に迷うであろう。

問題 46 事例を読んで、A市社会福祉協議会が開催したボランティア養成講座の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
A市社会福祉協議会では、数年間にわたり民間企業との連携によるボランティア活動の活性化を目的として、地域住民向けのボランティア養成講座を開催してきた。ボランティア養成講座は、地企業や地域住民からの寄付金で運営されており、開催目的に即した効果が得られているかを検証するため、B社会福祉士は、プログラム評価を実施することにした。

1 講座の内容が、計画どおりに実施されたかを検証するために、効率性評価を実施する。
2 講座を開催したことにより民間企業との連携によるボランティア活動が活性化しているかどうかを調べるため、アウトカム評価を行う。
3 講座の運営のために用いた寄付金が結果的に効果的・効率的に執行されたかを明らかにするため、プロセス評価を実施する。
4 講座のカリキュラム内容が、開催目的と見合った内容であったかを検証するため。インパクト評価を実施する。
5 ボランティア活動に対する地域住民の意向を明らかにするために、セオリー評価を行う。

1は×である。
プロセス評価の話である。
2は〇である。
講座を開催した目的である民間企業との連携によるボランティア活動の活性化を調べることは、アウトカム調査に該当する。
3は×である。
効率性評価の話である。説明にある「効果的・効率的に執行されたか」という部分がヒントになっている。
4は×である。
セオリー評価の話である。セオリー評価とは、「施策の論理的な構造」を明らかにし、その質や内容を評価する手法である。
5は×である。
インパクト評価の話である。インパクト評価とは、事業が対象社会にもたらした変化(インパクト)を精緻に測定する評価手法である。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
アウトカム評価の意味がわかれば、積極法で2を選べばよい。もし、わからなかった場合は、評価法の内容と名称を見比べて、交差法で解けばよい。3の内容と1の効率性評価、4の内容と5のセオリー評価の結びつきは、発見しやすい。

問題 47 日本における世帯や地域社会などの動向に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 総務省の「令和2年国勢調査」によると、単独世帯が一般世帯に占める割合は約10%となっている。
2 法務省の「在留外国人統計」によると、2022年(令和4年)12月現在、在留外国人が総人口に占める割合は20%を超えている。
3 総務省の「人口推計」によると、2022年(令和4年)10月現在、15歳から64歳までの生産年齢人口が総人口に占める割合は約30%となっている。
4 内閣官房の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年)」によると「孤独であると感じることがある」と回答した者の割合は約40%となっている。
5 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、2022年(令和4年)現在。生活状況を苦しいと感じている母子世帯が母子世帯全体に占める割合は約50%となっている。
(注)「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年)」とは,「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年人々のつながりに関する基礎調査)」のことである。また。「孤独であると感じることがある」と回答した者の割合とは、「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」と回答した者の割合の合計である。

1は×である。
「単独世帯」(世帯人員が1人の世帯)は2115 万1千世帯(一般世帯の 38.1%)だった。約10%は、低すぎると感じられるかどうか。
2は×である。
2022年(令和4年)12月末時点の在留外国人数は、307万5,213人であった。このとき初めて300万人を超えたが、20%超は、高すぎると感じて欲しい。
3は×である。
総務省の「人口推計」によると、2022年(令和4年)10月現在、15歳から64歳までの生産年齢人口が総人口に占める割合は、59.53%だった。もし、約30%だったとしたら、日本全体で限界集落ということになる。
4は〇である
5は×である。
同調査では、生活状況を苦しいと感じている母子世帯の割合は75.2%だった。

正解4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
1,2,3は、多くの人が誤りだと判断できたと考えられる。残る4と5は迷うが、5の方が誤りではないかと感じられれば、消去法で4を選べる。

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