7. コミュニケーション技術(R2年-第33回)
問題 27 介護福祉職が利用者と信頼関係を形成するためのコミュニケーション技術として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 利用者の意見に賛成できなくても同意する。
2 「○○ちゃん」と親しみを込めてお互いを呼び合う。
3 介護福祉職からは質問をせずに受け身の姿勢で聞く。
4 介護福祉職の価値判断に従ってもらう。
5 介護福祉職自身の感情の動きも意識しながら関わる。
答えは自己覚知が関係あります。
【正解5】
次の事例を読んで,問題 28,問題 29 について答えなさい。
〔事 例〕
Fさん(85 歳,女性)は,中等度の認知症(dementia)がある。同居していた娘の支援を受けて生活してきたが,症状が進行してきたために,介護老人福祉施設への入所が決まった。
入所当日,介護福祉職はFさんの付き添いで来た娘に初めて会った。介護福祉職が,「はじめまして。よろしくお願いします」と挨拶をすると,娘は少し緊張した様子で,「お願いします」とだけ答えた。娘は,介護福祉職の問いかけに応えるまで時間がかかり,また,あまり多くを語ることはなかった。
持参した荷物の整理を終えて帰宅するとき,娘が寂しそうに,「これから離れて暮らすんですね」とつぶやいた。
問題 28 初対面の娘と関係を構築するために介護福祉職がとる対応として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 友人のような口調で話す。
2 相手のペースに合わせて,表情を確認しながら話す。
3 会話が途切れないように積極的に話す。
4 密接距離を確保してから話す。
5 スキンシップを用いながら話す。
初対面ということで3つの選択肢は省けます。
肢1,肢4,肢5の対応は初対面の人には行いません。
肢3は一方的に話すわけですから、良いわけありませんね。
【正解2】
問題 29 帰宅するときの娘の発言に対する,介護福祉職の共感的な言葉かけとして,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 「心配しなくても大丈夫ですよ」
2 「私も寂しい気持ちは一緒です」
3 「元気を出して,お母さんの前では明るく笑顔でいましょう」
4 「お母さんに毎日会いに来てください」
5 「お母さんと離れて暮らすと寂しくなりますね」
共感的という言葉が全てです。
共感とは、励ましや同情とは違います。対象者(この場合娘)の気持ちになって言葉かけをするということです。
【正解5】
問題 30 Gさん(55 歳,男性)は父親と二人で暮らしている。父親は週 2 回通所介護(デイサービス)を利用している。Gさんは,父親が夜に何度も起きるために睡眠不足となり,仕事でミスが続き退職を決意した。ある日,Gさんが介護福祉職に,「今後の生活が不安だ。通所介護(デイサービス)の利用をやめたいと考えている」と話した。
Gさんが,「利用をやめたい」と言った背景にある理由を知るためのコミュニケーションとして,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 開かれた質問をする。
2 「はい」「いいえ」で答えられる質問をする。
3 介護福祉職のペースに合わせて話してもらう。
4 事実と異なることは,訂正しながら聞く。
5 相手が話したくないことは,推測して判断する。
ちょっと迷う問題だったかもしれません。設問の条件をしっかり把握して解きましょう。
設問は、Gさんが「利用をやめたい」と言った背景を知るためのコミュニケーションとあります。
正解は1になっていますが、開かれた質問に対して本当の気持ちや正確な情報を提供してくれる様な状況とは思えません。このことからすると、2の方が適切な場合もあるのではないかと思います。
ただ、オープンなやり取りをする中で発出する、様々な言葉から「真の気持ち」を汲み取るという観点でいえば、肢2より肢1の方が本問の解答としては適切という判断になるでしょう。
3は論外ですね。4については、長年勤めた会社を辞めた会社員が落ち込んでいること、経済的な心配をしていること及び介護保険の制度について詳しくないことは容易に想像が付きます。
通所介護の費用等は週に2回程度なら介護保険の負担分はそれほど大きな金額ではなく、昼食代などの比重が高いことも考えられます。Gさんがそれを勘違いしている場合は教えてあげても良いのではないかと思います。
4は相手の否定という観点から不適切になっていると思われますが、現状を正確に把握してもらい、真剣にアドバイスをするなら。対応としては不適切とばかりは言えないと思います。
5も長年会社員を続けてきた人がお金がない事情などを素直に話すとも思えません。推測で考えることは不適切な場合がありますが、現実の場面では、推測をせざるを得ない場合もあると思います。
ただし、設問の解答としては当てはまらないということは分かるのではないでしょうか。
【正解1】
問題 31 利用者と家族の意向が対立する場面で,介護福祉職が両者の意向を調整するときの留意点として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 両者が話し合いを始めるまで発言しない。
2 利用者に従うように家族を説得する。
3 利用者と家族のそれぞれの意見を聞く。
4 家族の介護負担の軽減を目的にして調整する。
5 他職種には相談せずに解決する。
この問題は正解して欲しい。
両者の意見を聞くのが悪いわけありません。
実際はそれと並行して、4も考える人が多いのではないかと思います。実践現場ではやむを得ないこともありますが、これは試験ですので4はありません。
【正解3】
問題 32 運動性失語症(motor aphasia)のある人とコミュニケーションを図るときの留意点として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 絵や写真を使って反応を引き出す。
2 大きな声で 1 音ずつ区切って話す。
3 手話を使うようにする。
4 五十音表でひらがなを指してもらう。
5 閉ざされた質問は控える。
運動性失語症は、 言葉を聞いて理解する力は保たれていますが、流暢に話すことや復唱することが困難な状態です。
2と3は難聴である訳ではないので違います。
4は、運動性失語症の特徴として「言葉そのものが生み出せない」という点がある為、五十音表はあまり効果を期待することができない。
5は質問が開かれたものか閉じられたものかは、それ程関係が無いということになります。
【正解1】
問題 33 介護記録を書くときの留意点として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 数日後に書く。
2 客観的事実と主観的情報は区別せずに書く。
3 ほかから得た情報は情報源も書く。
4 利用者の気持ちだけを推測して書く。
5 介護福祉職の意見を中心に書く。
この問題は正解して下さい。
1:あり得ません。記憶が正確なうちに書きましょう。
2:事実と記録者及び発言者の主観は明確に区別しておきましょう。
3:後から検証する為にも情報源の記録は重要です。
4:利用者の気持ちは重要ですが、気持ちだけを推測して書くのは良くありません。
5:あり得ませんね。
【正解3】
問題 34 報告者と聞き手の理解の相違をなくすための聞き手の留意点として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 受け身の姿勢で聞く。
2 腕組みをしながら聞く。
3 同調しながら聞く。
4 不明な点を確認しながら聞く。
5 ほかの業務をしながら聞く。
傾聴や受容の話しではありません。勘違いしない様に。報告者と聞き手の行き違いをなくす方法です。
まあ、そもそもなくすのは不可能なので、可能な限り相違を少なくする方法と考えましょう。
答えは自ずと出ると思います。
【正解4】
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