お知らせnews

6.保健医療サービスの知識(R2年10月-第23回)1/4

問題 26 次の記述について、より適切なものはどれか。3つ選べ。 1 老年症候群では、高齢期において生活機能の低下がみられる。 2 高齢者では、身体的な衰えや機能障害、慢性疾患の罹患、家族との死別などにより抑うつが高頻度にみられる。 3 高齢者では、エネルギーの消費が多くなるため、食欲が増す。 4 高齢者では、若年者に比べて体内水分貯蔵量が少なく、口渇も感じにくいため、 脱水のリスクが高い。 5 内耳から大脳に異常があるために生じる難聴を、伝音性難聴という。   素直な肢ばかりの問題であり、確実に得点したい。 難易度A   1はそのとおりで〇。 2も適切な記述で〇。 3は、高齢者はエネルギーの消費が少なくなるため、食欲が減るので×。 4は適切な記述で〇。 5の説明は感音性難聴に関するものなので×。 高齢者に多いのは感音性難聴であることにも注意(R元再-問26など)

【正解1,2,4】

問題 27 次の記述について、より適切なものはどれか。3つ選べ。 1 激しく出血している場合は、出血部位よりも心臓から遠い部位を圧迫して止血する。 2 誤嚥による呼吸困難では、「喉に手を当てる」などの窒息のサインやチアノーゼなどの症状が出現する。 3 洗剤や漂白剤を飲み込んだ場合は、無理に吐かせる。 4 衣服の下をやけどしている場合は、衣服を脱がさずその上から流水を当てる。 5 寝たきりの高齢者に吐き気があるときは、身体を横向きにして、吐物の誤嚥を防ぐ。   1や3で迷った人がいるかもしれないが、そのようなときは他の肢を読んで確実に判断できるものを見つけることが大切である。 難易度A   1はどういう状況か想像できるだろうか。イメージできなければ実際にやってみるのがいい。 例えば、肘から出血したとした場合、心臓から遠い部位は手首のあたりになる。そこを押さえても止血効果がないことは何となくわかるであろう。1は×である。 2はイメージしやすいだろう。もちろん〇である。 3は一見よさそうにもみえるが、無理にはかせようとすると誤嚥など別のリスクが生じる。×だと推測して欲しいが、自信がなければ△にして次に進む。 4は〇である。無理に脱がせるより、設問にあるように対応するほうがよいと感じられるのではないだろうか。R元-問33で出されている。 5は〇である。上を向いたまま(仰臥位)だと、吐物で窒息したり、誤嚥する危険があるので、身体を横向きにしたほうがよい。

【正解2,4,5】

問題 28 高齢者にみられる疾病について正しいものはどれか。3つ選べ。 1 変形性関節症は、高齢者に多く発症する。 2 筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、筋力低下による運動障害は生じない。 3 高次脳機能障害における失語症には、話そうとするが言葉が出てこないという症状も含まれる。 4 バーキンソン病では、認知障害はみられない。 5 骨粗鬆症は、骨折の大きな危険因子である。   必ず得点したい問題である。間違えるとしたら、読み違えなどによるケアレスミスが考えられる。 難易度A 易しい問題ほど注意して欲しい。   1は〇である。 2は×である。筋力低下すれば運動障害が生じると推測すべきだろう。 3は〇である。内容的にもそうだろうなと推測できるし、文末の「~も含まれる」という言い方も決め手になる。 4は×である。「みられない」という断定的な言い方決め手になる。 5は〇である。

【正解1,3,5】

問題 29 次の記述について正しいものはどれか。3つ選べ。 1 稽留(けいりゅう)熱では、急激な発熱と解熱を繰り返す。 2 心房細動では、心房の正常な収縮と拡張ができなくなる。 3 飲酒は、起立性低血圧の原因とはならない。 4 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)では、数値が大きいほど意識レベルが低い。 5 口すぼめ呼吸で息を吐くと、気管支内の圧力が高くなり、気管支の閉塞を防ぐ。   わからない肢があっても、ひたすら自分にとって確かな知識や自信のある事柄を頼りに選択肢を絞れるところまで絞ることが大切である。 難易度B 本問は積極法で答えを出すのがよい。   1の稽留熱は聞きなれないので、自信がなければ△にして次に進む。 2は〇ぽい内容である。 3は内容的にも×ぽいし、「原因とはならない」という断定的な言い回しが×ぽい。 4は〇であるが、知らないと悩むであろう。H30-問38で出題されている。 5はどうか。医療系の有資格者でないと悩むであろう。 その場で実際にやってみると普通に息を吐くときと比べて「気管支内の圧力が高く」なっているように感じないだろうか。 また、口すぼめ呼吸はCOPDの人に有効だということを知っていれば「気管支の閉塞を防ぐ」という部分も〇ぽいと推測できる。H28-問40-肢3参照。 3の×と4,5の〇がわかれば、残る1か2のいずれが正しいかを再度検討すればよい。 1は10年以内の過去問には出ていない。 2の心房細動は何度か出題されているがその症状をストレートに聞くものは初めてである。心房細動は心臓が普通とは違う動きをする(そのため血栓ができる)といったことは想像できる人が多いと思われる。 そこに思いが至れば2は〇と推測するのがよいであろう。 なお、1の稽留熱は、1日の体温の高低の差が1度以内の高熱が持続する熱型で、日本脳炎結核性髄膜炎肺炎などでみられるものである。 このことを知っていれば1を×とできるが、知らなければ判断しづらかったのではないだろうか。

【正解2,4,5】

ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ 「Japan Coma Scale(JCS)」は意識レベルの尺度として用いられるもので、覚醒状態の程度により意識レベルを大きく3段階に分け、さらにそれぞれを3つに細分化し、合計9段階で表す。 3-3-9度(さんさんくど)方式とも呼ばれる。 数字が大きいほど意識レベルが低いことを表す。「JCS1」とか「JCS300」といった形で使う。
  問題 30 検査について適切なものはどれか。2つ選べ。 1 高齢者では膝などの関節が十分に伸びなくなるので、BMI(Body Mass Index )は本来の値より小さくなる。 2 CRP( C反応性たんぱく質 )は、体内で炎症が起きているときに低下する。 3 ヘモグロビンA1cの値は、過去6か月間の平均血糖レベルを反映している。 4 腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の場合は、メタボリックシンドロームの診断において腹部型の肥満とされる。 5 24時間心電図(ホルター心電図)検査は、不整脈がある場合や狭心症が疑われる場合に行われる。   どんなに勉強しても過去問にない選択肢が出るのが通常である。臨機応変に対応しよう。 難易度B 消去法で解いたほうがよかったと思われる。   1は×である。設問のケースではBMIは本来の値より大きくなる。文字だけよんで判断できない場合、判断するための方法はいくつかある。 BMIの算出式(体重÷身長÷身長)を知っていれば、適当な数字を入れてあてはめればよい。 また、BMIが大きいと太っている、小さいと痩せているという知識があれば、例えば形の変わる重さ50㎏の四角い箱を押しつぶしたときに太った形になるとイメージし、BMIの値は本来より高くなると結論づけてももよい(結局は同じことだが、四角い箱を人間に置き換えて考えてもよい)。 実質的に同じことを聞いている選択肢がR元-問37で出ている。 2は×である。体内で炎症が起きるとCRP上昇する。 これもR元-問37で出ている。 3のヘモグロビンA1cの値は過去1~2月間平均血糖レベルを反映するものなので、×である。R元再-問31、H29-問26参照。 ここまである程度勉強していれば何とか判断できる。 しかし、4は知らないと自信を持って答えにくい。R元再-問31、H29-問26、H25-問27で腹囲とメタボリックシンドロームについて出されているが、数値までは問われていない。 5は不整脈の場合に行われるのはわかるが、狭心症の場合に行われるのか知らないと判断がつきにくい。 狭心症の場合、異常がないときは普通の波形と変わらないとされているが、この知識があると余計に判断に迷うところである。H30-問29の出題ではそこまでは問われていない。

【正解4,5】

一覧に戻る