5.現代社会と福祉(R3年-第34回)2/2
問題27 新しい社会的リスクやそれへの対処に関する次の記述のうち,適切なものを 2つ選びなさい。
1 ニートとは,35~59 歳の未婚者のうち,仕事をしておらず,ふだんずっと一人でいるか,家族しか一緒にいる人がいない者のことを指す。
2 ダブルケアとは,老老介護の増加を踏まえ,ケアを受ける人と,その人をケアする家族の双方を同時に支援することを指す。
3 保活とは,子どもを認可保育所等に入れるために保護者が行う活動であり,保育所の待機児童が多い地域で活発に行われる傾向がある。
4 8050 問題とは,一般的には,80 代の高齢の親と,50 代の無職やひきこもり状態などにある独身の子が同居し,貧困や社会的孤立などの生活課題を抱えている状況を指す。
5 ワーキングプアとは,福祉給付の打切りを恐れ,就労を見合わせる人々のことを指す。
今風の問題。一般常識で正解できた人も多かったのではないでしょうか。
1:厚生労働省のニートの定義は、「ニートとは15~34歳の非労働力(仕事をしていない、また失業者として求職活動をしていない者)のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者」です。
2:ダブルケアとは,育児と介護の両方を行うこと。
3:適切
4:適切
5:ワーキングプアとは,低賃金等で働いていても貧しい人や貧しいこと。
【正解3,4】
問題28 人権に関する次の事項のうち,国際条約として個別の条文に規定されるに至っていないものとして,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 性的指向及び性自認に基づく差別の禁止
2 障害者への合理的配慮の提供
3 自己の意見を形成する能力のある児童が自由に自己の意見を表明する権利
4 同一価値労働同一賃金の原則
5 人種的憎悪や人種差別を正当化する扇動や行為を根絶するための措置
2と3は知っている人が多いと思いますが、後は難しい。
1:適切
2:障害者の権利に関する条約
3:児童の権利に関する条約
4:同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約
5:あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約
【正解1】
問題29 福祉政策と市場の関係などに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 公共サービスの民営化の具体的方策として,サービス供給主体の決定に,官民競争入札及び民間競争入札制度を導入する市場化テストがある。
2 準市場では,行政主導のサービス供給を促進するため,非営利の事業者間での競争を促す一方で,営利事業者の参入を認めないという特徴がある。
3 プライベート・ファイナンス・イニシアティブ(PFI)とは,公有財産を民間に売却し,その利益で政府の財政赤字を補填することである。
4 指定管理者制度とは,民間資金を使って公共施設を整備することである。
5 ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)では,政府の再分配機能を強化し,「大きな政府」を実現することが目標とされる。
今風の問題です。
1:適切
2:準市場という概念には幅がありますが、一般的には多様な供給主体により一定の競争状態を公共領域で発生させることですので、営利事業者の参入を認めないわけではありません。
3:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ(PFI)とは,公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法です。
財政赤字の削減というところに共通点がありますので、混同しないようにしましょう。
4:指定管理者制度とは、公の施設の管理運営を行う民間事業者等を指定管理者として指定して民間のノウハウを活用、サービスの向上と経費の節減等を図ることを目的とした制度。
5:ニュー・パブリック・マネジメントとは、公共政策において、民間企業の経営手法を取り入れることで公共サービスを提供しようという概念
【正解1】
問題30 人々の生活の豊かさを測定するための諸指標に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 1960 年代の日本では,「真の豊かさ」を測定することを目指して開発された「新国民生活指標」を活用する形で,中央省庁で政策評価が開始された。
2 ブータンの国民総幸福量(GNH)は,国内総生産(GDP)を成長させるために必要な,環境保護・文化の推進・良き統治のあり方を提示することを目的としている。
3 「世界幸福度報告(World Happiness Report)」の 2021 年版では,日本が幸福度ランキングの首位となっている。
4 国連開発計画(UNDP)の「人間開発指数」(HDI)は,セン(Sen, A.)の潜在能力(ケイパビリティ)アプローチを理論的背景の一つとしている。
5 日本の内閣府による「満足度・生活の質を表す指標群(ダッシュボード)」では,「家計や資産」「雇用と賃金」といった経済的指標のウェイトが大きい。
(注)「世界幸福度報告(World Happiness Report)」とは,国際連合の持続可能な開発ソリューション・ネットワークが刊行した報告書のことである。
生活の豊かさの問題です。経済的な豊かさではありません。
1:1960 年代の日本では,所得を増やすことが主な目標でした。その結果、公害問題などが起きて真の豊かさを測定する流れになっています。
2:ブータンの国民総幸福量(GNH)は,国内総生産(GDP)を成長させることを目的とはしていません。
3:「世界幸福度報告(World Happiness Report)」の 2021 年版では,日本のランキングは56位です。少なくとも1位はあり得ないと思う人が多いのでは。
4:適切
5:「満足度・生活の質を表す指標群(ダッシュボード)」は、13分野の満足度を調査していますが、経済的指標は設問の2つだけです。住宅の満足度を経済的な指標と関連付けたとしても3つです。
【正解4】
問題31 教育政策における経済的支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 国は,義務教育の無償の範囲を,授業料のみならず,教科書,教材費,給食費にも及ぶものとしている。
2 国が定める高等学校等就学支援金及び大学等における修学の支援における授業料等減免には,受給に当たっての所得制限はない。
3 国が定める高等学校等就学支援金による支給額は,生徒の通う学校の種類を問わず同額である。
4 日本学生支援機構による大学等の高等教育における奨学金は貸与型であり,給付型のものはない。
5 国が定める就学援助は,経済的理由によって,就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者を対象とする。
この問題も最近のニュース等を見ているか、関心を示しているかで正答率は違ってきます。
教科書や参考書だけでなく、最新の社会現象にも関心を持ってくださいということでしょうか。
1:義務教育の無償の範囲は、授業料と教科書代です。
2:所得制限はあります。
3:国立、公立、私立等で支給額は違います。
4:給付型もあります。
5:適切
【正解5】
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