問題21 要介護認定について申請代行を行うことができるものとして正しいものはどれか。3つ選べ。
1 指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者
2 指定居宅介護支援事業者
3 指定認知症対応共同生活介護事業者
4 地域包括支援センター
5 地域密着型介護老人施設
過去5年以内にはズバリの出題がなかった(地域包括支援センターについてのみかすっている問題はある)。申請代行を誰が行えるのかを聞くベタな問題である。
★★★ 要介護認定について申請代行を行うことができるものは、2,4,5である(法27条1項)。
そのうち、2と4は必須の知識である。悩むとしたら5であるが、介護保険施設が申請代行を行えることは標準的な参考書には書かれている。そこから推論して、5が〇だろうと判断することができる。
【正解2,4,5】
問題22 要介護認定の認定調査について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 被保険者が必要な調査に応じない場合は、市町村は認定の申請を却下しなければならない。
2 新規認定の調査は、地域包括支援センターに委託できる。
3 更新認定の調査は、指定居宅介護支援事業者に委託できる。
4 指定市町村事務受託法人は、認定調査を実施できる。
5 遠隔地に居住する被保険者から認定の申請があった場合には現に居住する市町村が調査を実施しなければならない。
肢5の記述は、上記のように住所地特例を意識して出題したものだと考えられるが、問題文の記述そのものに若干の問題があると考える。
★★ 本問は肢1を〇とした人も多かったのではないだろうか。ここで間違えると、3が〇とわかりやすいだけに、本問を間違える確率が高くなる。
1は、
被保険者が調査に応じなければ調査を進めることはできない。この場合は、申請を「却下することができる」(法27条10項)ので、×である。2は悩んだら△にして次に進む。3を読むと肢2と似ていることに気づく。違いは、
主体の差を除けば、「新規」か「更新」かにある。新規は始めての認定なので厳格かつ公正に行われる必要がある。これに対し更新は保険者が委託してもよさそうだと感じれる。このことから2は×で3は〇だと推測できる。
以上で、答えを2つ選べるが、念のために残りも確認する。4であるが、指定市町村事務受託法人は、その名称からして介護保険に関わる事務を行うところだろうと推測できる。そこから考えると認定調査も行えると考えるほうが素直でないだろうか。〇ぽい。5は、住所地特例のようなケースで、実際にもよくある事例である。ただし、
設問は「居住する市町村が調査を実施しなければならない」との結論が×である。
【正解3,4】
問題23 要介護認定について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 更新認定の申請ができるのは、原則として、有効期間満了日の30日前からである。
2 新規認定の効力は、申請日にさかのぼって生ずる。
3 介護認定審査会は、申請者が利用できる介護サービスの種類を指定することができる。
4 要介護認定の処分の決定が遅れる場合の処理見込期間の通知は、申請日から60日以内に行わなければならない。
5 市町村が特に必要と認める場合には、新規認定の有効期間を3月間から12 月間までの範囲内で定めることができる。
細かい問題と感じた人は、過去問をもっと勉強に取り入れてみてもよいのではないだろうか。また、こうした問題の出題意図も考えてみるとよいと思われる。
★★★ 積極法で正解したい問題である。
1は知らなければ△にして次に進む。2であるが、
認定の効力は申請日に遡る(法27条8項)ので〇である。そうでなければ利用者が多大な不利益を被ることは容易に推測できる。3のような
サービス種類の指定ができるのは市町村なので×である。正確に覚えていなかったとしても
介護認定審査会にこのような権限がないとわかればよい。4であるが、認定は申請から30日以内に行うことが原則である(法27条11項)ことを知っている人は多いと思われる。そうだとすれば、処分の決定が遅れる場合の処理見込期間の通知も30日以内に必要と気づけたのではないだろうか(法27条11項但)。60日以内という部分が×である。5は、市町村が特に必要と認めた場合には設問のように有効期間を柔軟に定めることも可能だと考えられる。知らなくても5のような規定の合理性はあると気づけるのではないだろうか。〇ぽい。
ソーシャルニャンカーからのニャン ポイントアドバイス
選択肢2の記述は、2012問13肢3にほぼ同じ内容の出題がある。選択肢3の記述は、2018問22、2014問16で問われている知識である。類似した問題に2013問13がある。過去問学習の参考にして欲しい。
【正解2,5】
問題24 Aさん(78歳、男性)は、2年前に妻を病気で亡くし、一人暮らしをしていた。その後、Aさんは脳卒中で入院し、右半身に麻痺がある状態で退院するに当たり、要介護2の認定を受けた。本人の意向では、自宅で暮らし、訪問介護は利用したいが、通所のサービスは利用したくないとのことだった。その理由は、知り合いに今の姿を見られたくないことに加えて、妻を亡くした悲しみから同年代の夫婦を見るとつらくなるということだった。その時点における介陵支援専門員の対応として、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 訪問介護サービス以外のサービスは利用しないことに決める。
2 自宅ではなく、居住系サービスを利用するよう説得する。
3 在宅生活を続けるうえでの機能回復の重要性を説明し、訪問リハビリテーションの利用を勧める。
4 福祉用具や住宅改修を利用し、住環境を改善することを勧める。
5 近憐住民から高齢者サロンに誘ってもらう。
このタイプの問題では、事例をしっかりと読んで、素直に解く。
★★★ 迷ったら事例文に戻る。
1は「えっ」と感じるが、事例問題では即断は禁物である。特に「より適切なものはどれか」という聞き方なので、あまり良くない内容でも相対的に正解として選ばなければならない場合もあるからである。2は、明らかにAの意思に反しており×。3は△。4は、Aの意思に反しないし、右半身麻痺という状況から考えて自立した生活に資する部分もあると考えられる。〇ぽい。5は、事例の「その時点における」対応としてはいまいちであろう。1と3のいずれがよいか再度検討する。1はAの「訪問介護は利用したいが、通所のサービスは利用したくない」と合致しているように見えるが、1のように限定してしまうことは、3と比べて「介陵支援専門員の対応として、より適切なもの」といえるだろうか。むしろ、3のように訪問リハビリの利用を進めるほうが、「自宅で暮らし」たいという意向には適うし、知り合いに見られないし、同年代の夫婦を見るわけでもなく、介護支援専門員の対応としてより適切だと考えられる。
【正解3,4】
問題25 Bさん(75歳女性)は、夫と二人で暮らしている。Bさんは、高血圧及び糖尿病のため、近所の診療所に定期的に通院している。最近、Bさんは、認知症により、昼夜逆転の生活になり、夜中に外に出て自宅に戻れなくなることもある。夫としては、介護の負担が増しているが、できる限り在宅生活を継続したいと思っている。要介護認定の結果、要介護2の認定を受けた。介護支援専門員の当面の対応として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 外に出て戻れなくなったときの対応のため、地域包括支援センターに協力を依頼し、民生委員や近隣の商店との連挑を図る。
2 夜中に外に出ていく背景や理由についてアセスメントを行う。
3 主治医を認知症の専門医に変更することを勧める。
4 介護老人福祉施設への入所を提案する。
5 夫の休息とBさんの生活リズムを整えるため、認知症対応型通所介護の利用を提案する。
落ち着いて解けば、多くの人が正解できるであろう。どうすれば、事例問題を確実に得点できるかという対策も考えてみて欲しい。
★★★ 基本的に、事例問題の答えは事例の中にある。しかし、焦っていると1から3までを読んで正解としてしまうようなミスを犯しやすい。
1は、極めてオーソドックスな対応であり、〇ぽい。2も認知症のために昼夜逆転となり、夜中に外出し家に戻れないBへの対応として極めてオーソドックスな対応であり、〇ぽい。3は明らかに悪いとはいえないが、途中で答えを出すことは危険である。△にして次に進む。4は「できる限り在宅生活を継続したい」という夫の意思に反するので×である(なお、問題24の肢2とまったく同じパターンの肢である)。5は、特に問題はなさそうである。ここで3と5を比較して、「介護支援専門員の当面の対応として、より適切なもの」はどちらかを決めることになる。そうすると、3の主治医の急な変更の提案よりも、5のような提案の方が夫の介護負担も軽減できるし「当面の対応として、より適切なもの」といえよう。
ソーシャルニャンカーからのニャン ポイントアドバイス
このように「より適切なものはどれか」という事例問題では、一本の線(数直線のイメージ)を引いて、そこに肢を並べるようなこともして勉強すると、感覚をつかみやすく効果的である。
<例えば、本問の場合のイメージ>
(数直線上に選択肢を並べて解くときの具体例)
1 2 5 3 4
適切←――――――――――――――――――――――――→不適切
【正解1,2,5】