4. 社会の理解(R2年-第33回)2/2
問題 11 Cさん(75 歳,男性,要支援 2 )は,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して一人暮らしをしていた。最近,脳伷塞(cerebral infarction)を起こして入院した。入院中に認知症(dementia)と診断された。退院時の要介護度は 2 で,自宅での生活継続に不安があったため,Uグループホームに入居することになった。Uグループホームの介護支援専門員(ケアマネジャー)が行うこととして,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 訪問介護(ホームヘルプサービス)を継続して受けるために,Cさんを担当してい
た地域包括支援センターに連絡する。
2 Uグループホームに入居するときに,認知症対応型共同生活介護計画を作成する。
3 地域の居宅介護支援事業所に,Cさんのケアプランを作成するように依頼する。
4 認知症対応型共同生活介護計画の作成をするときに,認知症(dementia)がある
Cさんへの説明と同意を省略する。
5 日中の活動を充実するために,地域の通所介護(デイサービス)の利用をケアプラ
ンに入れる。
(注) ここでいう「グループホーム」とは,「認知症対応型共同生活介護事業所」のこと
である。
認知症対応型共同生活介護事業所に入居すると居宅サービス(居宅介護支援含む)は使えません。
施設サービス(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院)の場合は入所という言葉を使いますが、有料老人ホームやグループホームの場合は入居という言葉になります。
居宅サービス・地域密着型サービス・施設サービスについては、必ず整理をしておきましょう。
【正解2】
問題 12 ノーマライゼーション(normalization)を説明する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 福祉,保健,医療などのサービスを総合的に利用できるように計画すること。
2 家族,近隣,ボランティアなどによる支援のネットワークのこと。
3 利用者自身が問題を解決していく力を獲得していくこと。
4 障害があっても地域社会の一員として生活が送れるように条件整備をすること。
5 利用者の心身の状態やニーズを把握すること。
ノーマライゼーションという理念は、基本中の基本です。高齢・障害・児童と分けた場合、障害の分野でよく使われます。
【正解4】
問題 13 Dさん(64 歳,女性,障害支援区分 4 ,身体障害者手帳 2 級)は,「障害者総合支援法」の居宅介護を利用して生活している。この居宅介護事業所は共生型サービスの対象となっている。Dさんは 65 歳になった後のサービスについて心配になり,担当の居宅介護職員に,「65 歳になっても今利用しているサービスは使えるのか」と尋ねてきた。
居宅介護事業所の対応として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 Dさんは障害者なので介護保険サービスを利用することはないと伝える。
2 障害者の場合は 75 歳になると介護保険サービスに移行すると伝える。
3 現在利用しているサービスを継続して利用することができると伝える。
4 継続して利用できるかどうか 65 歳になった後で検討すると伝える。
5 介護予防のための通所介護(デイサービス)を利用することになると伝える。
(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
答えにくい問題です。
1:障害者制度と同様なサービスが介護保険にある場合は、介護保険が優先される。
2:65歳になると介護保険が優先される場合がある。75歳ではない。
3:介護保険優先の原則から、障害者総合支援制度と同様なサービスが介護保険制度にある場合は、介護保険制度のサービスを使うという原則があります。ただ、3は現在利用しているサービスとあり、制度が変わってもサービス内容が変わらなければサービスの継続とも考えられます。
4:無責任な発言です。
5:要支援認定が出るとは限りません。
どれも変な感じですが、共生型サービスの趣旨を汲むと3になるのだと思います。
【正解3】
問題 14 「障害者総合支援法」の障害者の定義に関する次の記述のうち,適切なものを 1つ選びなさい。
1 18 歳以上の者である。
2 65 歳未満の者である。
3 難病患者は除外されている。
4 発達障害者は除外されている。
5 精神作用物質による依存症の者は除外されている。
(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
18歳未満は障害児になります。
1:適切
2:不適切。介護保険サービスを利用したとしても障害者であることには変わりない。
3:不適切。難病患者も「障害者総合支援法」の障害者に該当する。
4:不適切。発達障害者も「障害者総合支援法」の障害者に該当する。
5:不適切。精神作用物質による依存症の者も「障害者総合支援法」の障害者に該当する。
【正解1】
問題 15 「障害者総合支援法」のサービスを利用するための障害支援区分を判定する組織として,正しいものを 1つ選びなさい。
1 身体障害者更生相談所
2 協議会
3 基幹相談支援センター
4 居宅介護事業所
5 市町村審査会
(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
障害支援区分の認定手続きは、要介護認定とそっくりです。
市町村への申請→認定調査員による認定調査+主治医意見書→コンピューター判定(一次判定)→認定調査員による特記事項+主治医の意見書→市町村審査会による二次判定→市町村による認定。
注意して欲しいのは、判定は市町村審査会ですが、認定は市町村というところです。
【正解5】
問題 16 「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち,適切なものを 1つ選びなさい。
1 養護者及び養介護施設従事者等が行う行為が対象である。
2 虐待の類型は,身体的虐待,心理的虐待,経済的虐待の三つである。
3 虐待を発見した場合は,施設長に通報しなければならない。
4 立ち入り調査を行うときは,警察官の同行が義務づけられている。
5 通報には,虐待の事実確認が必要である。
(注)「高齢者虐待防止法」とは,「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
間違えやすい問題かもしれません。
1:適切。
2:不適切。5種類で後の2種類は、性的虐待とネグレクトです。これは障害者虐待防止法も同様です。また、児童虐待防止法においては、4種類で経済的虐待が除かれます。
3:不適切。法律上の通報先は市町村です。
4:不適切。警察官が同行するというわけではありません。
5:不適切。虐待の可能性があれば通報です。事実確認は市町村が行う。
【正解1】
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