問題22 社会福祉法の内容に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービス利用援助事業は, 第一種社会福祉事業である。
2 市町村は, 地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
3 市町村は, 社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。
4 都道府県は,都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
5 共同募金は, 都道府県を単位として毎年1 回実施される。
社会福祉法の内容が広範囲で問われている。
1の
福祉サービス利用援助事業は第二種社会福祉事業なので、×である。2の
地方社会福祉審議会は名前からして市町村レベルに置くものとは思えない。×ぽい。3の
「社会福祉事業等に従事する者の確保」は
都道府県レベルで扱うべきものといえ×ぽい。4は知らないと悩む。
市町村の地域福祉計画、都道府県の地域福祉支援計画という名称は整合性がある。ただ、「策定しなければならない」(義務)かどうかである。
同計画の策定は義務ではない。よって、4は×である。
福祉行財政と福祉計画で頻出の知識である。5は〇である。
地域福祉論で頻出の知識である。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス
本科目は、本問のように、他の科目と共通する知識が活かせる問題がよく出題される。当ブログに掲載している「出題傾向と対策」を今一度よく読み込んで、勉強を進めていって欲しい。
【正解5】
問題23 「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)の内容に関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域資源の活用や自然環境を活用した第4次産業革命を実現すべきとした。
2 一億総活躍社会を実現するのは, 次世代の役割であるとした。
3 地方創生は, 一億総活躍社会を実現する上で最も緊急度の高い取組の一つであるとした。
4 一億総活躍社会は, 政府に頼らず社会の側の責任において実現すべきとした。
5 「成長」か「分配」かという論争に終止符を打ち,「成長」に重点を置いた施策を推進するとした。
少し古いが時事ネタである。
知らなければ常識を駆使して推論する。
「ニッポン一億総活躍プラン」という名称から、国民すべてが活躍できるような社会を作ろうといった内容であろうと推測できる。
1のような第4次産業革命は画期的だが、このような言葉を聞いたことはない。×であろう。2の「次世代の役割である」という記述からは、なんて勝手な!という印象を受けないだろうか。×ぽい。3であるが、地方と都市部の格差は随分と前から言われてきたことである。
一億総活躍社会を実現するには、地方創生が必要との流れは論理的である。〇ぽい。4は「政府に頼らず」とあるが、こんなことを閣議決定するだろうか。×ぽい。5は、「ニッポン一億総活躍プラン」が「成長」か「分配」かという論争に終止符を打つことにつながるようには感じられない。×ぽい。最も無難な記述は3であろう。
【正解3】
問題24 1950年代から1970年代にかけての社会福祉の理論に関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 木田徹郎は, 社会事業を, 資本主義の維持という側面から, 賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。
2 三浦文夫は, 政策範疇(はんちゅう)としての社会福祉へのアプローチの方法として, ニード論や供給体制論を展開した。
3 岡村重夫は, 生活権を起点に据えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じた。
4 孝橋正ーは, 社会福祉の固有の機能を, 個人とそれを取り巻く環境との間の不均衡を調整し, 環境への適応を促すことと論じた。
5 一番ヶ瀬康子は, 政策論よりも援助技術論を重視すべきと論じた。
福祉勉強会主催の対策講座のテキストには掲載しておいたが、主要な人物と考え方を押さえていれば解ける。
忘れている部分があったら、交差法を使う。1の説明部分(社会問題と社会的問題をわける)は、4の
孝橋正一の考え方である。これで1と4が消える。3の説明部分は、5の
一番ヶ瀬康子(運動論)の考え方である。これで3と5が消える。以上から残った2が正解だろうと推測できる。もし
三浦文夫のキータームがニード論と供給体制論であることを知っていれば、自信をもって2を選べる。
【正解2】
問題25 「ベヴァリッジ報告」に関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 福祉サービスの供給主体を多元化し, 民間非営利団体を積極的に活用するように勧告した。
2 従来の社会民主主義とも新自由主義とも異なる「第三の道」路線を選択するように勧告した。
3 ソーシャルワーカーの養成・研修コースを開設して, 専門性を高めるように勧告した。
4 衛生•安全, 労働時間賃金, 教育で構成されるナショナル・ミニマムという考え方を示した。
5 社会保障計画は, 社会保険, 国民扶助, 任意保険という三つの方法で構成されるという考え方を示した。
ベヴァリッジ報告は、1942年11月に示されたものである。
1はもっと後の
ウルフェンデン報告(≒インフォーマル)の話なので×。2の
第三の道はサッチャー政権の後のブレア首相が提唱したもの であり、 ×である。3は、ばっさり切って欲しい。もちろん×である。4は悩むところである。
ナショナル・ミニマムの提唱者は
ウェッブ夫妻だが、晩年のベヴァリッジはそれに一定の理解を示していたからである。とりあえず△にして先に進む。5の
社会保障計画はベヴァリッジ報告の核心ともいえる章だが、その構成要素は、「社会保険, 国民扶助, 任意保険」の三つなのか。この肢も悩むところである。4のナショナル・ミニマムの提唱者はウェッブ夫妻なので、こちらを×として、5を選ぶのが無難であろうか。
【正解5】
問題26 1973年(昭和48年)の「福祉元年」に実施した福祉政策に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 年金の給付水準を調整するために物価スライド制を導入した。
2 標準報酬の再評価を行い,厚生年金では「9万円年金」を実現した。
3 被用者保険における家族療養費制度を導入した。
4 老人医療費支給制度を実施して, 60 歳以上の医療費を無料にした。
5 老人家庭奉仕員派遣事業が法制化された。
福祉政策に関するとあるが、分類としては社会保障制度と言えるものもある。
1は△。2も△。3は、1961年が
国民皆保険であることからすれば、1973年の
家族療養費制度の導入は遅すぎる感がある。×ぽい。4は、60歳以上の部分がひっかかる。たしかに1973年に
老人医療費無料化が実現したが、いくらなんでも60歳からにするのは無茶な感じがしないだろうか。×ぽい(※
70歳以上なら正しい)。
老人家庭奉仕員派遣事業は、老人福祉法(1963年)制定時に法制化されたので、これも×である。1か2のいずれを選ぶべきかは、知識がないと判断に迷う。
【正解1】