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30.精神障害者の生活支援システム(R2年-第23回)

問題73 「障害者総合支援法」に基づく宿泊型自立訓練に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。 1 標準利用期間は原則1年である。 2 市町村地域生活支援事業の任意事業に位置づけられている。 3 介護給付費が支給される事業である。 4 介護サービス包括型や外部サービス型などの種別がある。 5 所得に応じた利用者負担上限月額が設けられている。 (注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。   宿泊型自立訓練について詳細を押さえていた人は少なかったのではないだろうか。   1は、×である。標準利用期間は2年。 2は、×である。自立支援給付に位置付けられている。 3は、×である。訓練等給付が支給される。 4は、×である。介護サービス包括型や外部サービス型などの種別はない。このような区分があるのは、共同生活援助(グループホーム)である。 5は、〇である。他のサービス同様に、所得に応じた利用者負担上限月額である。

【正解5】

問題74 次の記述のうち、「障害者雇用促進法」に基づく職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する説明として、適切なものを2つ選びなさい。 1 職業リハビリテーションに関して研究する。 2 円滑な就職と職場適応ができるよう、障害者と事業所の双方を支援する。 3 就業面の支援に併せて、体調や生活のリズムの管理に関する支援を行う。 4 対象となる障害者が、正式に就職してから支援を開始する。 5 障害者雇用率未達成の事業主に対して指導する。- (注)「障害者雇用促進法」とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。   社会福祉士の受験科目である「就労支援サービス」と重なる問題である。   1は、×である。職場適応援助者(ジョブコーチ)は、職業リハビリを研究するものではない。2は、〇である。知識が十分でなくても、用語に合致している内容だと感じるのではないだろうか。 3は、〇である。ジョブコーチは、生活管理に関する支援も行う。 4は少し迷うところがあるかもしれない。ただ、「障害者雇用促進法」に基づく職種なのだから、正式に就職する前から支援を開始すると考えるのが素直ではないだろうか。5は、×である。ジョブコーチは、事業者に助言を行うことはあっても、指導する権限はない。名称から考えても職場で働くのが難しい利用者のために必要な支援する職種と推測できる。

【正解2,3】

問題75 次の記述のうち、厚生労働省が発表した障害者の雇用の状況等について、正しいものを1つ選びなさい。 1 「平成30年度障害者の職業紹介状況等」によれば、2018年度(平成30年度)のハローワークを通じた障害者の就職率は20%未満である。 2 「平成30年度障害者の職業紹介状況等」によれば、2018年度(平成30年度)の障害者雇用の就職件数において精神障害者の割合は30 %未満である。 3 「令和元年障害者雇用状況の集計結果」によれば、民間企業における実雇用率は企業の規模が大きいほど高い。 4 「令和元年障害者雇用状況の集計結果」によれば、民間企業において雇用されている精神障害者の数は、ここ5年間で横ばいである。 5 「令和元年障害者雇用状況の集計結果」によれば、民間企業において雇用されている障害者の数では、精神障害者が知的障害者よりも多い。   選択肢にある2つの調査結果については、知らない人の方が多かったと思われる。 調査結果を知らなければ、考えて解くしかない。その場合、推論したり、もっとも無難な答えを選択する。 1は、×である。障害者の就職率は48.4%で、前年度と同じ水準になっている。自信がなければ△にして次に進む。 2、×である。障害者雇用の就職件数において精神障害者の割合は約47%である。自信がなければ△にして次に進む。 3は、〇である。企業の規模が小さいところでは、障害者を雇用するだけの余裕がなく、規模が大きいほど実雇用率が高いとの結論は常識的にも推論できる。 4は、知らないと判断に迷う。2018年の法改正により、「精神障害者」の雇用も義務付けられたことを知っていれば、少しずつ上昇傾向にあるのではと考えられる。事実、×である。 5は、知らないと判断に迷う。民間企業に雇用されている精神障害者の数は、78,092人であるのに対し、知的障害者の数は、128,383人である。肢4で説明した通り、精神障害者の雇用が義務付けられたのは、最近である。他方、知的障害者は、以前より、雇用が義務化されており、かつ、政策的にも力が注がれていた。

【正解3】

ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス 午後の終わりのほうの科目なので、時間がなければ他に解けそうな問題を優先するという判断も大切である。ただし、時間に余裕があるなら、すぐに諦めずに上記のような視点から解いてみて欲しい。
  問題76 次のうち、精神障害者の場合、精神障害者保健福祉手帳の所持が前提となるものとして、正しいものを1つ選びなさい。 1 就労移行支援事業所の利用 2 「障害者雇用促進法」に基づく障害者雇用率の算定 3 救護施設への入所 4 住宅入居等支援事業の利用 5 自立準備ホームへの入所   あまり見かけないタイプの問題だが、問題文も短いのでまずはざっと読むのがよい。 問われているのは、選択肢の中で、明確な基準で判断することが必要なものだと考えれば良い。

【正解2】

ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ 法定雇用率に含まれる種類の障害を持つ人は、当初は「身体障害者」と「知的障害者」に限られていた。 しかし、2018年の法改正により、「精神障害者」の雇用も義務付けられた。それぞれ身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を所持している者が障害者雇用率の算定の対象となる。
  問題77 次の記述のうち、「障害者総合支援法」における基幹相談支援センターの説明として、正しいものを1つ選びなさい。 1 障害者への医学的、心理学的及び職能的判定業務を行う。 2 自立支援給付に位置づけられる。 3 職業準備講習を行う。 4 発達障害者は支援の対象外である。 5 地域の相談支援体制の強化に取り組む。   知識がなくても、落ち着いて考えれば正解を導ける問題である。 基幹相談支援センターという名称から考えて、相談支援を行うところであり、その中でも少し特別な役割を担う(基幹とついているので)と推測することができる。 このような推測のもとに考え、もっとも無難な説明になっているものを選ぶ。

【正解5】

ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ 障害者総合支援法における基幹相談支援センターは、障害のある人やその家族の相談窓口として、地域の障害福祉に関する相談支援の中核的な役割を担う機関である(法77条の2)。 障害の種別(身体障害・知的障害・精神障害)や障害者手帳の有無にかかわらず、相談者に必要な支援などの情報提供や助言を行う。
  (精神障害者の生活支援システム•事例問題) 次の事例を読んで、問題78から問題80までについて答えなさい。 〔事例〕 Dさん(70歳、女性)は、統合失調症で精神科病院に長期入院をしていたが、10年前に退院に向けた支援を受けながら地域に戻った。その後、定期的な通院を続け、「障害者総合支援法」に基づくY機関に通所しながらアパートで一人暮らしを続けている。Dさんには妹がおり、アパートの近くに住んでいて関係は良好である。Dさんは週3回通所しているY機関で、公園の清掃活動とお菓子の箱折等の作業を行い、月1万円程度の工賃を得ている。DさんはY機関と雇用契約を結んでいない。(問題78) Dさんは、Y機関での工賃と障害年金を受給しながら生計を立てている。Dさんは安定した地域生活を送っていたが、最近になって日常の複雑な動作が難しくなり、運動能力の低下も顕著になってきた。Dさん自身もそのことを自覚し、Y機関のE職員(精神保健福祉士)に、健康面での不安を抱いていること、日常生活においても調理や家事も少しずつ大変になってきていることの相談をした。そこでE職員はZ相談支援事業所のF職員(精神保健福祉士)に担当者会議の開催を依頼した。Y機関ではDさんの作業内容の見直しを検討した。その結果 、公園の清掃活動を中止し軽作業のみ行うこととなり、通所回数を週2回にすることにした。E職員は「障害者総合支援法」に基づき個別支援計画の変更を行った。(問題79) F職員はDさんと面接を行い、Dさんの生活状況を確認した。元々Dさんは整理整頓 ができていたが最近では体が思うように動かず、ごみ出しができなくなっていたことや、一人で調理をすることが難しくなっていたことが分かった。また、日常生活のサポートは妹に頼っていたことも分かった。F職員が介護保険サービスの利用を提案したところ、Dさんも妹も利用に前向きな回答をした。そこで、F職員はDさんの介護保険サービスの利用に向けて調整を行った。その後、Dさんは介護保険サービスの利用申請を行い、認定調査の結果、要介護1の判定が出た。(問題80)   問題78 次のうち、Dさんが現在利用しているY機関として、正しいものを1つ選びなさい。 1 就労継続支援B型事業所 2 就労継続支援A型事業所 3 就労移行支援事業所 4 地域障害者職業センター 5 障害者就業・生活支援センター   就労支援A型・B型の違いの一つに「雇用契約の有無」がある。 Dは工賃をもらっているので、肢4,肢5が×であることはすぐにわかる。次に、DとY機関の間では、雇用契約は結ばれていない。この内容に合致しているものは、就労継続支援B型だけである。  

【正解1】

ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ ◆就労移行支援事業所とは・・・ 通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者につき、 一定期間、就労に必要な知識および能力の向上のために必要な 訓練、求職活動に関する支援、その適正に応じた職場の開拓、就職後の定着支援等を行う。   利用期間:原則として2年以内 <対象者> ・就労を希望する65歳未満の者   ◆就労継続支援A型 企業等に就職することが困難な者で、 雇用契約に基づいて、就労の機会を提供するとともに、知識および能力の向上のために必 要な訓練等を行う。   利用期間:制限はなし <対象者> ・ 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者 ・ 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者 ・ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者   ◆就労継続支援B型 企業等に就職することが困難な者で、 雇用契約に基づかないで、就労の機会を提供するとともに、知識および能力の向上のために必要な訓練等を行う。B型事業所は、工賃向上計画の作成が求められている。   利用期間:制限はなし <対象者> ・ 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者 ・ 就労移行支援事業を利用した結果、B型の利用が適当と判断された者 ・ 上記に該当しない者であって、50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給
  問題79 次の記述のうち、E職員が行った個別支援計画の変更に関する説明として、適切なものを2つ選びなさい。 1 変更後、12か月に1回モニタリングをしなければならない。 2 変更にはDさんの妹の同意が必須である。 3 変更に当たっては、障害者職業カウンセラーが最終的な責任を持つ。 4 変更後の個別支援計画を、Dさんに交付しなければならない。 5 変更に当たっては、E職員はDさんと面接を行う。   個別支援計画変更時におけるE職員の適切な対応を選ぶ問題である。   1は、×である。標準モニタリング期間は、6か月である。 2は、×である。個別支援計画はDのためのものだから、Dの同意は必須と言える。しかし、Dの妹の同意まで必須とする必要はない。 3は、×である。個別支援計画はY機関のE職員が作成するものである。また、問題文に登場していない障害者職業カウンセラーが計画の変更について最終的な責任を持つとの結論には違和感を覚える。 4は、〇である。変更後の個別支援計画をDに交付するのは当然のことである。 5は、〇である。変更に当たり、EがDと面談の行うのも当然のことである。

【正解4,5】

問題80 次のうち、F職員がDさんに提案した介護保険サービスとして、適切なものを1つ選びなさい。 1 重度訪問介護 2 訪問介護 3 訪問入浴介護 4 居宅介護 5 療養介護   選択肢の中で介護保険のサービスは、肢2と肢3である。 次に事例文から、Dの状況を整理してみよう。   ①Dはごみ出し、一人での調理が難しい。②日常生活について妹のサポートを受けている。 ③要介護1の認定を受けている。①から③を鑑みると、訪問入浴介護が必要な程の介護度でなく、F職員がDに提案した介護保険サービスは訪問介護だと分かる。

【正解2】

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