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3.社会理論と社会システム(R元年-第32回)

問題15 次のうち, ウェーバー(Weber. M.)の合法的支配の説明として, 正しいものを1つ選びなさい。 1 伝統や慣習により正当化される支配 2 正当な手続により制定された法に従うことで成立する支配 3 支配者のリーダーシップや資質,魅力によって正当化される支配 4 絶対的な権力者が定めた法に基づいて行われる支配 5 少数の卓越した能力を持つ者たちによって行われる支配   仮に、知識がなくても「合法的支配」という言葉から推論で解くことも可能である。 ヴェーバーの支配の類型に関する知識(おぼろげでもよい)があった方がよい 1は法によるものではないから×ぽい。2は〇ぽい。3は特定の人による支配であり×。4は法による支配にもみえるが、絶対的な権力者が定めた法であるところが先の2と異なる。迷ったら△。5も特定の人による支配(内容からはエリートによる支配といえそう)であり×。法による支配は、2と一応4が該当しそうだが、「合法的」という言葉にぴったりなのは2であろう。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ ヴェーバーの支配システム3類型 1.伝統的支配:人格的で日常的。人物志向が強い。 2.カリスマ的支配:人格的で非日常的。人物志向が強い。 3.合法的支配:非人格的で日常的。恣意的な権力行使は抑制され、効率的で倫理的な社会が可能となる。合法的支配の純粋型としての官僚制

【正解2】

問題16 「平成30年労働力調査年報」(総務省)に示された, 過去5年間の日本の失業等の動向に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。 1 若年層の完全失業率は, 上昇傾向にある。 2 「若年無業者」の若年人口に対する割合は, 5 %台で推移している。 3 自発的な離職者数は, 増加している。 4 女性の完全失業率は, 男性の完全失業率よりも一貰して高い。 5 男女共に完全失業率は, 低下している。 (注) 「若年無業者」とは.15~34歳の非労働力人口のうち家事も通学もしていない者を指す。    統計に関するものだが、知らなければ推論して解くしかない。積極法で解く。 このところ景気は上昇傾向にある(アベノミクスのせいだろうか)と一般的には言われている。 1は×だろう。2は知らないと何とも言えない。3は微妙。めちゃくちゃ景気がよかったり、自営業でも何等問題なければこのように言えるだろうが、さすがにそこまでの状況ではない。×ぽい。4は、完全失業率の意味を知っていた方が解きやすい。15歳以上の働く意欲のある人(労働力人口)のうち、職がなく求職活動をしている人(完全失業者)の割合を示すものである。女性の中には休職活動をしていない人もいるであろうから、「一貰して高い」という記述には少し疑問を感じる。×ぽい。最近の景気の上昇傾向からすると、5のように「男女共に完全失業率は, 低下している。」ような気がする。

【正解5】

問題17 次のうち, コンパクトシティに関する記述として. 最も適切なものを1つ選びなさい。 1 拡散した都市機能を集約させ, 生活圏の再構築を図る都市 2 出身地域の異なる外国人住民の多様なコミュニティから形成される都市 3 文化や芸術, 映像などの産業をまちづくりの中核に据える都市 4 先端技術産業を軸として, 地方経済の発展を目指す都市 5 世界中の金融・情報関連産業が集積する都市   受験対策講座のテキストには、辛うじて載せておいたキーワードである。 ㉕-17で出題されている。このような用語は、一覧表にしてある程度暗記してしまおう! 1が〇である。知らないとすればコンパクトなシティ(都市)に最も近いものを探してマークする。その場合、やはり1の記述を選ぶのが無難である。

【正解1】

問題18 次のうち, 直系家族制についての記述として, 最も適切なものを1つ選びなさい。 1 複数の子どもが, 結婚後も親と同居することを原則とする。 2 夫婦の結婚とともに誕生し, 一方の死亡によって家族が一代限りで消滅する。 3 跡継ぎとなる子どもの家族との同居を繰り返して, 家族が世代的に再生産される。 4 離家した子どもの生殖家族が, 親と頻繁な交際や相互援助を行う。 5 親の死亡をきっかけに, 財産を均分相続して家族が分裂する。   直系家族制という言葉はあまり聞きなれないが、民法の直系と傍系から推論できそう。 すなわち、直系とは、親から子、孫、…と一本の線でつながるような家族がイメージできる(※比喩的にいうと、一子相伝で奥義を伝承するような家族である)。令和へのお代替わりで、皇室の話題が頻繁に報道されたので、これをイメージすると定着しやすいかもしれない。 直系家族制に最も近い説明は、3のような家族である。1のような形は最初の子まではよいが、その後も続いていくと傍系同士の家族ができあがる。2は、直系すら問題にしていないので×。4は別居しているが交流の盛んな家族のあり方である。これも直系家族という言葉と離れるので、×ぽい。5は明らかに関係なさそうであり×である。

【正解3】

問題19 次のうち, パーソンズ(Parsons, T. )の社会的行為論として, 正しいものを1つ選びなさい。 1 コミュニケーション的行為論 2 交換理論 3 集合行動論 4 象徴的相互作用論 5 主意主義的行為理論   これは知らないと解けないであろう。 わからなければ正攻法で解くことはさっさと諦めたほうがよい。この類の問題を素早く見極めるのも、受験テクニックの一つである。

【正解5】

問題20 次のうち,「囚人のジレンマ」に関する記述として, 最も適切なものを1つ選びなさい。 1 合理的な仕組みに対して過剰な執着を持つ状況を指す。 2 一定期間, 閉鎖的・画ー的に管理された場所で生活する状況を指す。 3 協力し合うことが互いの利益になるにもかかわらず, 非協力への個人的誘因が存在する状況を指す。 4 二つの矛盾した命令を受けているため, そのいずれも選択することができない状況を指す。 5非協力的行動を行うと罰を受け, 協力的行動を行うと報酬を得ることで, 協力的行動が促される状況を指す。   「囚人のジレンマ」が社会的ジレンマに分類されることを知っていればある程度までは絞れる。 1と2はジレンマといえるような状況はなく×だろうと推測できる。しかし、残りのうち囚人のジレンマに関するものとして最も適切なものを選ぶには、何となくでも知っていないと自信を持って正解を出せないと思われる。正解は3である。囚人のジレンマは、2人で犯罪をなしたものがそれぞれ別のところに収監されて取り調べを受けているような状況を念頭に置いた議論である。そして、双方とも自白(いずれも懲役3年)、双方とも黙秘(いずれも懲役1年)、いずれか一方が黙秘し他方が自白(黙秘した方は懲役5年、自白した方は釈放)すると( )のように刑が異なるとしたら、2人の囚人はどのような行動を取るかという課題を設定する。いずれも黙秘するのが一番よさそうだが、囚人は自分にとってもっとも有利な結果を導く自白を選択することにより、結果として3年の懲役になるというジレンマである。この議論の緻密な論理構成を知らなくても、この話のあらすじがわかれば3を選択できたと思われる。㉔-20で選択肢の一つとして出題されている。

【正解3】

問題21 社会問題は,ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという捉え方がある。このことを示す用語として, 最も適切なものを1つ選びなさい。 1 社会統制論 2 緊張理論 3 文化学習理論 4 構築主義 5 ラベリング論   社会問題の捉え方に関する問題である。基本知識を応用して推論する。 構築主義とラベリング論は基本事項である。過去問学習の際には、(㉘-21)を参照して欲しい。 本問の肢で、最も適切なものは4である。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ ラベリング論「逸脱(犯罪)というのは、行為者の内的な属性ではなく、周囲からのラベリング(レッテル貼り)によって生み出されるものだと捉えるもの。」シカゴ学派に属するハワード・ベッカーらによって提唱された。 構築主義「社会問題とは,自明なものとして存在するのではなく,人々が主張することを通して認識される問題である。」スペクターとキッセによりアメリカで提起された。 割れ窓理論「軽犯罪を取り締まることで、犯罪全般を抑止できるとする考え。」犯罪学者のケリングが唱えた。

【正解4】

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