3. 社会の理解(R元年-第32回)1/2
問題 5 地域包括ケアシステムでの自助・互助・共助・公助に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自助は,公的扶助を利用して,自ら生活を維持することをいう。
2 互助は,社会保険のように制度化された相互扶助をいう。
3 共助は,社会保障制度に含まれない。
4 共助は,近隣住民同士の支え合いをいう。
5 公助は,自助・互助・共助では対応できない生活困窮等に対応する。
用語の意味が問われています。
自助・互助・共助・公助という順番も覚えておきましょう。
自分自身が自分自身を助けることが自助。地域コミュニティーなど住民同士が助け合うことが互助。共助は税金が援助の主な原資ではなく、保険料などを主な原資として助け合うこと。自助・互助・共助という手段だけでは対応できない場合に税金を主な原資として支えるのが公助。
【正解5】
問題 6 「働き方改革」の考え方に関する記述として,適切なものを1つ選びなさい。
1 長時間労働は日本社会の特質で,時間外労働の限度の設定は困難である。
2 有給休暇の取得よりも,働くことが優先される。
3 働く人々のニーズに応じた,多様な働き方を選択できる社会の実現を図る。
4 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の格差が存在することは,当然である。
5 「働き方改革」は,中小企業は対象でない。
(注) ここでいう「働き方改革」とは,「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に基づく諸施策の実施のことである。
変な選択肢を消去していけば答えに辿り着きます。
(注)にあるように、一般的なニュアンスの働き方改革ではありません。所謂、法律に基づいた施策です。
1:働き方改革の考え方ではなく、単なる日本社会の特質の記述になっている。加えて、望ましくない特質である。
2:な、わけないですよね。
4:な、わけないですよね。
5:中小企業も対象です。
【正解3】
問題 7 Bさん(80 歳,女性,要介護 1 )は,身寄りがなく一人暮らしをしている。
老齢基礎年金で暮らしてきたが,貯金が少なくなり,生活が苦しくなってきた。このため 2 万円の家賃支払いも困難になり,通所介護事業所のC生活相談員に,費用がかかる通所介護(デイサービス)の利用をやめたいと言ってきた。
C生活相談員の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護支援専門員(ケアマネジャー)に,通所介護(デイサービス)の利用中止を依頼する。
2 介護支援専門員(ケアマネジャー)に,サービス担当者会議で利用中止の検討を依頼する。
3 福祉事務所に相談するように助言する。
4 これまでどおりの利用を説得する。
5 無料で利用できる地域の通所型サービスを探す。
自己決定の捉え方に関する問題です。
やめたいという利用者の発言は自己決定に値するのかどうか。判断が分かれたり、迷う問題ですね。
ポイントになるのは、表出されているニーズと真のニーズという考え方です。
問題文を良く読んでみると、貯金が少なくなってきたことで、Bさんの生活が苦しくなってきたとあります。その為、Bさんは、通所介護事業所のC生活相談員に「費用がかかる通所介護の利用をやめたい」と言っています。裏を返せば、費用の問題が解決したら、通所介護は辞めたくないということになります。
ここで、1と2は自己決定でないと判断し、消去されます。4は、「説得」というワードから、訴えが自己決定であろうがなかろうが問題となりそうです。
残った3と5で、どちらを選ぶか。ということですが、5は、対処的療法としては、アリかもしれませんが、何分、国家試験の問題ですから、ここは、Bさんの困りごとの根本的解決に繋がる対応を選びたいものです。
【正解3】
問題 8 2015 年度(平成 27 年度)以降の社会保障の財政に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 後期高齢者医療制度の財源で最も割合が大きいものは,後期高齢者の保険料である。
2 社会保障給付費の財源では,税の占める割合が最も大きい。
3 生活保護費の財源内訳は,社会保険料と税である。
4 国の一般会計予算に占める社会保障関係費の割合は,30%を超えている。
5 社会保障給付費の給付額では,医療費の構成割合が最も大きい。
財源の中で保険料と税金の関係を整理しよう。
1:後期高齢者医療制度では、公費(税金)の割合が一番大きい。基本構造は、公費50%、現役世代の負担が40%、後期高齢者の保険料10%です。但し、後期高齢者の中にも現役並みの所得の方がいますので、その分の調整は入ります。
2:税金よりも保険料が大きいです。1の後期高齢者医療制度は例外になります。
3:生活保護費は税金が原資です。国庫負担が75%で地方負担が25%です。
5:年金関係の給付額が最も大きくなっています。
【正解4】
問題 9 介護保険制度の被保険者に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 加入は任意である。
2 第一号被保険者は,65 歳以上の者である。
3 第二号被保険者は,20 歳以上 65 歳未満の医療保険加入者である。
4 第一号被保険者の保険料は,都道府県が徴収する。
5 第二号被保険者の保険料は,国が徴収する。
介護保険の仕事をしている人にとっては常識問題。落とせない問題です。
1:任意ではありません。保険者である市町村は、地方税と同様な位置づけにすることができます。
3:第二号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。第一号被保険者の要件に医療保険加入者というのはありません。生活保護の方は医療保険に加入していませんので、第二号被保険者にはなれませんが、第一号被保険者になることはできます。
4:介護保険料の徴収は市町村が行います。
5:第二号被保険者の保険料は、医療保険者が医療保険料と一緒に徴収します。医療保険者には、健康保険組合(主に大企業の社員が加入)、協会けんぽ(主に中小企業の社員が加入)、共済組合(公務員などが加入)、国民健康組合(自営業者、無職、年金生活者等の地域の住民が加入)があります。この医療保険者が徴収した保険料は、社会保険診療報酬支払基金に納付されます。そして、社会保険診療報酬支払基金から介護保険の保険者に交付されるという流れです。
【正解2】
問題 10 介護予防・日常生活支援総合事業に含まれる事業として,適切なものを1つ選びなさい。
1 家族介護支援事業
2 予防給付
3 介護給付
4 権利擁護事業
5 第一号訪問事業(訪問型サービス)
地域支援事業の中の介護予防・日常生活支援総合事業です。
介護保険法の中でも一番ややこしい領域です。
1:家族介護支援事業は、地域支援事業の任意事業となっています。介護予防・日常生活支援総合事業ではありません。
2:要支援者に対する従来からの給付です。介護予防・日常生活支援総合事業は保険者である市町村が独自に利用料などを決めることができますが、予防給付には全国統一の基準があります。
3:要介護者に対する従来からの給付です。介護予防・日常生活支援総合事業は保険者である市町村が独自に利用料などを決めることができますが、予防給付には全国統一の基準があります。なお、予防給付も介護給付も基準が全国統一ということであり、金額が同一ということではありません。地域区分のより、人件費の高い都市部などには加算がありますね。
4:権利擁護事業は、地域包括支援センターが行います。
5:訪問型サービスの他には、通所型サービス・ その他の生活支援サービス(配食、見守り等)・ 介護予防ケアマネジメントが介護予防・日常生活支援総合事業です。 【正解5】
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