問題 11 介護保険料について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 普通徴収による第1号被保険者の保険料については、その配偶者に連帯納付義務がある。
2 第1号被保険者の保険料に係る特別徴収は、社会保険診療報酬支払基金が行う。
3 国民健康保険に加入する第2号被保険者の保険料は、都道府県が徴収する。
4 所得段階別定額保険料の所得区分は原則として9段階であるが、市町村の条例で さらに細分化することができる。
5 第2号被保険者負担率は、市町村が条例で定める。
混乱しそうになるかもしれないが、冷静に考えて正解を導きたい問題である。
難易度A H22-問12で出されているが、その問題を解いていなくても基本的知識に属するといえるだろう。
関連する肢はH25-問13にもある。
1は〇である。
H30-問10で出されている。
2は×である。第1号被保険者の保険料に係る特別徴収は年金保険者が行う。この肢は第2号被保険者の場合と混同させることを狙ったものである。逆のパターンが、
R2再-問3で出ている。
3は×である。国民健康保険に加入する第2号被保険者の保険料は、市町村が徴収する。
4は〇である。
5の第2号被保険者負担率は国が定めるので×である。なお、
今年度の問題4の肢3の解説も参照。
【正解1,4】
問題 12 介護給付及び予防給付に要する費用について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 国の負担分は、すべての市町村について同率である。
2 費用の総額は、公費と保険料によりそれぞれ50 %ずつ賄われる。
3 市町村の一般会計における負担分は、すべての市町村において同率である。
4 第2号被保険者の保険料負担分は、各医療保険者から各市町村に交付される。
5 保険料負担分の総額は、すべての市町村に係る第1号被保険者と第2号被保険者のそれぞれの見込数の総数の割合で按分される。
近時の過去問での出題がない肢もあったため、迷った人もいたのではないだろうか。たしかに迷う肢もあるが、1と4が×であることに気づけば、消去法で正解を導ける。
難易度C
1は調整交付金のことを聞いているのだと気づけば簡単に×とできる。
R元再-問11、R元-問10、H30-問11、H26-問5で出題されている。
2は〇である。基本的知識といえる。
3は〇であるが、知らないと悩むであろう。介護保険における財源構成において市町村が12.5%を負担するという基本事項に関する話である。しかし、本肢のような聞かれ方をすると迷ってしまう人が多いと思われる。
※
関連問題がH30-問11にあるが、そこでは市町村の12.5%の負担分が一般会計において負担されることに焦点が当たっている。
4は、少なくとも健康保険に加入している第2号被保険者の場合、保険料負担分は、社会保険診療報酬支払基金から各市町村に交付されるので×だと判断できる。
5は〇である。
【正解2,3,5】
問題 13 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 地域支援事業の実施に関する基本的事項を定める。
2 都道府県知事が定める。
3 変更に当たっては、市町村長と協議しなければならない。
4 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に規定する総合確保方針に即して定める。
5 介護給付等対象サービスを提供する体制の確保に関する基本的事項を定める。
法令の規定を含めて、選択肢のすべてについて知識として有していた人は受験生の中の一握りの人だったのではないだろうか。だが、本問が介護保険事業計画についての話だと気づけた人は正解を導けたであろう。
難易度B 国・都道府県、市町村の役割分担に関する問題はよく出される。大まかなイメージを持っておくと役立つことが多い。国は制度の根幹や大きな方針を定める。市町村はそれに基づいて具体的な計画を定め実際の運用を行う。都道府県は市町村を束ねて行ったほうがよいことを担う。
関連過去問にR元-問8、H25-問7がある。基本指針を定めるのは国なので2は×である。また、基本指針が国全体のものであることがわかれば、3のように変更に当たって市町村長と協議することは無理なことだと推測できるはずである。3も×である。
以上から、消去法で答えが導ける。
もし、まったく本問について知識がなかったとしたらどうするか。基本的な指針なのだから国が定めるのではないかと気づければ2が×だろうと判断できる。
そして、国が定めるのであれば、変更に当たって市町村長と協議することは無理なのではないかと感じるのではないだろうか。
【正解1,4,5】
問題 14 地域支援事業の任意事業として正しいものはどれか。2つ選べ。
1 地域リハビリテーション活動支援事業
2 家族介護支援事業
3 在宅医療•介護連携推進事業
4 地域ケア会議推進事業
5 介護給付等費用適正化事業
地域支援事業が大きく①総合事業、②包括的支援事業、③任意事業にわかれること、それぞれの中に何があるかを大まかにイメージできないと本問を解くのは難しい。
難易度B R元-問12で包括的支援事業について問われたばかりであるが、2年続けて関連分野からの出題となった。R元-問12と比べると、任意事業を選ばせる本問の方が相対的に易しかったと思われる。
選択肢の中で地域支援事業の任意事業に該当するものは2と5である。残りは包括的支援事業である。
【正解1,3,5】
問題 15 介護保険審査会への審査請求が認められるものとして正しいものはどれか。 2つ選べ。
1 要介護認定に関する処分について不服がある被保険者
2 介護報酬の審査•支払について不服がある介護サービス事業者
3 保険料の滞納処分について不服がある被保険者
4 財政安定化基金拠出金への拠出額について不服がある市町村
5 居宅介護支援事業者から支払われる給与について不服がある介護支援専門員
介護保険審査会への審査請求については近時の過去問にもあり(R元再-問14、R元-問14、H29-問14など)、基本的知識に属することから正解を導きたい問題である。
難易度A 審査請求についての理解は必須である。さらに、処分の取り消しの訴えとの関係も押さえておきたい
(H26-問4参照)。
介護保険審査会への審査請求については、条文に記載されているが、条文を正確に覚えていなくても、大まかにイメージできれば選択肢の中から1と3を導くことができるのではないだろうか。
【正解1,3】
介護保険法183条に「1.保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護認定又は要支援認定に関する処分を含む。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金(財政安定化基金拠出金、納付金及び第157条第1項に規定する延滞金を除く。)に関する処分に不服がある者は、介護保険審査会に審査請求をすることができる。
2.前項の審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。」と規定されている。