3.社会理論と社会システム(R3年-第34回)
問題15 社会階層と社会移動の諸概念に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 純粋移動とは,あらかじめ定められたエリートの基準に見合う者だけが育成され,エリートとしての地位を得ることをいう。
2 構造移動とは,産業構造や人口動態の変化によって社会的地位の移動を余儀なくされることをいう。
3 業績主義とは,本人の努力によって変更することができない要素によって社会的地位が与えられることをいう。
4 属性主義とは,個人の能力や成果に応じて社会的地位が与えられることをいう。
5 世代間移動とは,一個人の一生の間での社会的地位の移動のことをいう。
言葉の意味から消去できる選択肢が多い問題です。
1:唯一間違いやすい選択肢。純粋移動とは,社会成員がそれぞれの社会的地位に基づく平等の機会の大きさを示すものです。
2:適切
3:業績主義なので、努力によって変更できます。
4:属性主義とは、実力や実績よりも、家柄、身分といった出自に関する要素(属性)を重視するものです。
5:世代間の移動なので、一個人の移動なわけありません。
【正解2】
問題16 「平成 27 年国勢調査」(総務省)に示された,現在の日本の就業状況に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。
1 15 歳以上就業者で従業上の地位が「雇用者」である人々のうち,女性で最も高い割合を占めているのは,「パート・アルバイト・その他」である。
2 15 歳以上就業者について,産業大分類別に男女比をみると,女性の割合が最も高いのは,「電気・ガス・熱供給・水道業」である。
3 15 歳以上就業者について,産業大分類別に男女比をみると,男性の割合が最も高いのは,「医療,福祉」である。
4 15 歳以上外国人就業者について,産業大分類別の内訳をみると,「宿泊業,飲食サービス業」に就業する者の割合が最も高い。
5 男女別労働力率を年齢 5 歳階級別にみると,35~39 歳の女性の労働力率は,90 %を超えている。
感覚的に選択肢は2つまで絞れます。1か4のどちらかです。
1:正しい。
2:ちょっと考えられない。
3:ちょっと考えられない。
4:製造業が最も多い。32.3%と約3分の1です。
5:M字カーブを思い出してください。35~39歳は女性の労働力率の低くなる年齢帯です。
【正解1】
問題17 次のうち,ベック(Beck, U.)が提唱した,産業社会の発展に伴う環境破壊等によって人々の生活や社会が脅かされ,何らかの対処が迫られている社会を示す概念として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 脱工業化社会
2 情報社会
3 ゲゼルシャフト
4 大衆社会
5 リスク社会
最近では、ロシアのウクライナ侵攻、ウクライナ国内の原子力発電所への攻撃がありました。ベックのリスク社会とチェルノブイリ原子力発電所の事故は関連しています。チェルノブイリ原発は旧ソ連のウクライナ地方にありました。
他の用語も重要ですので、教科書や参考書をもう一度確認しておきましょう。
【正解5】
問題18 「平成 27 年国勢調査」(総務省)並びに「2019 年国民生活基礎調査」(厚生労働省)における家族と世帯に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 国勢調査においては,世帯を「一般世帯」と「非親族世帯」の二つに大きく分類している。
2 国民生活基礎調査においては,「核家族世帯」には「三世代世帯」は含まない。
3 国民生活基礎調査においては,2019 年(令和元年)現在,「65 歳以上の者のいる世帯」の中で,「三世代世帯」の割合は「夫婦のみの世帯」の割合よりも高い。
4 国民生活基礎調査においては,2019 年(令和元年)現在,65 歳以上の単独世帯に占める割合は「男の単独世帯」の方が「女の単独世帯」よりも高い。
5 国民生活基礎調査においては,2019 年(令和元年)現在,全世帯に占める「児童のいる世帯」の割合は「児童のいない世帯」の割合よりも高い。
3,4,5は消去できると思います。一般常識とも言えるレベルです。
1:国勢調査において、世帯は一般世帯と施設等の世帯
2:適切。この選択肢も常識と言えます。
3~5は世の中をちょっと見れば分かりますね。
【正解2】
問題19 社会的行為に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 パーソンズ(Parsons, T.)は,相互行為における無意識的,習慣的な行為に着目し,そうした行為において利用される個人の文化的な蓄積を「文化資本」と呼んだ。
2 ハーバーマス(Habermas, J.)は,個人に外在して個人に強制力を持つ,信念や慣行などの行為・思考の様式,集団で生じる熱狂などの社会的潮流を「社会的事実」と呼び,社会学の固有の領域を定式化した。
3 ブルデュー(Bourdieu, P.)は,相互行為が相手の行為や期待に依存し合って成立していることを「ダブル・コンティンジェンシー」と呼んだ。
4 ヴェーバー(Weber, M.)は,社会的行為を四つに分類し,特定の目的を実現するための手段になっている行為を「目的合理的行為」と呼んだ。
5 デュルケム(Durkheim, E.)は,言語を媒介とした自己と他者の間で相互了解に基づく合意形成を目指す行為を「コミュニケーション的行為」と呼んだ。
人名と理論の合わせ技の問題です。理論の方から見てみましょう。
1:文化資本-ブルデュー。
2:社会的事実-デュルケム
3:ダブル・コンティンジェンシー-パーソンズ
4:適切
5:コミュニケーション的行為-ハーバーマス
【正解4】
問題20 次のうち,自我とは主我(I)と客我(me)の 2つの側面から成立しており,
他者との関係が自己自身への関係へと転換されることによって形成されることを指摘した人物として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 マートン(Merton, R.K.)
2 テンニース(Tonnies, F.)
3 ミード(Mead, G.)
4 ルーマン(Luhmann, N.)
5 ジンメル(Simmel, G.)
理論に人名を合せる問題。解答だけでなく、他の人物についても簡単に確認しておきましょう。
【正解3】
問題21 他者や社会集団によって個人に押し付けられた「好ましくない違いを表わす 印」に基づいて,それを負う人々に対して様々な差別が行われることをゴッフマン(Goffman, E.)は指摘した。次のうち,この「好ましくない違いを表わす印」を示す概念として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 自己成就的予言
2 マイノリティ
3 スティグマ
4 クレイム申立て
5 カリスマ
前問と似たような問題。用語を知っていればすぐに解ける問題ですが、消去法でも解けそうです。
【正解3】
一覧に戻る