問題 61 精神医療審査会に関する次の記述のうち, 正しいものを 1つ選びなさい。
1 退院請求は, 口頭では認められず, 書面による請求が不可欠である。
2 合議体の委員数は. 自治体が決定する。
3 医療保護入院者の入院届の審査を行う。
4 処遇改善請求の審査は. 対象外である。
5 精神科病院の所在する市町村に設置される。
精神医療審査会については、何かしらの形で目にしていた人が多いであろう。
もしマークしていなかったとしても、選択肢のいくつかは常識的に正誤を判断できる。
1は、口頭による退院請求が認められないとする点が×である。普通に考えても、おかしいと感じて欲しい。2は、「自治体」が決めるという部分が×である。
合議体の員数は大切な要素と考えられ、自治体が独自に定めることはできないだろうと推測すべきである。3は〇である。4の
処遇改善請求の審査も行っているので、×である。5は、市町村という部分がおかしいと気づいて欲しい。
精神医療審査会という名称からして、広域的に精神医療の妥当性を判断する機関と考えられるが、市町村ではその区域が狭いのではないかと感じられるからである。
ソーシャルワンカーからのワン ステップUP‼
精神医療審査会は、精神障害者の人権に配慮しつつ、その適正な医療及び保護を確保するために精神科病院に入院している精神障害者の処遇等について専門的かつ独立的に審査を行うために設置された機関です。病院管理者からの定期の報告等(医療保護入院者の入院届、医療保護入院者や措置入院者の定期病状報告書)、また精神科病院に入院中の方やその家族等から退院等の請求があったときに、その入院中の方について、その入院の必要があるかどうか、またはその処遇が適当であるかどうかについて審査を行っています。(精神保健福祉法12条参照)。
【正解3】
問題 62 次のうち, 精神科病院の管理者が選任し, 医療保護入院者の退院に向けた相談支援を担う者として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 精神保健福祉相談員
2相談支援専門員
3 地域援助事業者
4 退院後生活環境相談員
5 生活支援員
専門職等の名称の知識が必要です。
問題文の条件を満たすものは、4の
退院後生活環境相談員である。
平成25年精神保健福祉法改正による医療保護入院者の退院促進措置の一環として設けられた職種である。名称と実際の業務内容にギャップを感じる人は、この機会にしっかりと覚えておこう。
⑱-問48に類題がある。
1の
精神保健福祉相談員は、保健所や保健センターで、精神障害者やその家族の相談に応じて、病状の悪化を防ぐとともに、社会復帰できるようにさまざまな援助を行う。2の
相談支援専門員は、障害のある人や、その家族の生活に関する全般的な相談支援を行う。
資格取得のために実務経験と相談支援従事者初任者研修修了が要件となる。主な職場は、指定相談支援事業所、基幹相談支援センター、市町村である。3の
地域援助事業者は、入院者本人や家族からの相談に応じ必要な情報提供等を行う相談支援事業者等を指す用語である。要は、4の
退院後生活環境相談員の主要な連携先が地域支援事業者である。5の
生活支援員は、生活を支援する人、より具体的には、身体や知能、精神に障がいを持つ方々の日常生活や就労に向けたサポートを行う。以上のうち、1,2,5に関しては知識を有していた人が多いと思われる。3と4まで絞れた場合、4の地域支援事業者は、名称からして地域でサポートする側の人であることは推測しやすい。
【正解4】
問題 63 次のうち,「障害者総合支援法」における障害支援区分の認定を前提とするものとして,正しいものを 1つ選びなさい。
1 行動援護の利用
2 障害基礎年金の受給
3 通所介護の利用
4 地域活動支援センターの利用
5 自立支援医療(精神通院医療)の受給
(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
設問を言い換えると、障害支援区分の認定を受けられないと利用できないものはどれか、ということである。
正しいものは1の
行動援護である。
行動援護は障害者福祉論でもよく登場するので、これを選べた人が多かったと思われる。迷うとしたら(間違えるとしたら)3の通所介護の利用であろう。
介護保険には通所介護があるが、障害福祉サービスでこれに近いものは「生活介護」「児童発達支援」「放課後等デイサービス」であり、名称が異なる。
【正解1】
問題 64 精神保健参与員に関する次の記述のうち.正しいものを1つ選びなさい。
1 地方検察庁により任命される。
2 鑑定入院における鑑定書の内容に関する妥当性を審査する。
3 通院処遇時の指定通院医療機関との連絡・調整を行う。
4 厚生労働大臣が作成した名簿に基づき選ばれる。
5 入院処遇時におけるCPA会議に出席し,意見を述べる。
精神保健参与員の知識があれば簡単に解けるが、なければ名称から推測して解くしかない。
精神保健参与員には、医療観察法における審判において裁判官と精神保健審判員が行う対象者への処遇決定に対し、精神保健福祉の観点から必要な意見を述べる役割がある。
1は×と判断できる。もし、
精神保健参与員が患者を訴追する検察側で任命されたとすれば、対等な審判を実現するのは難しいと推測できるからである。2の
鑑定書の内容に関する妥当性の審査は精神保健指定医が行う。3の
通院処遇時の指定通院医療機関との連絡・調整を行うのは社会復帰調整官である。4は〇である。5の
CPAとは、ケア・プログラム・アプローチ(Care Programme Approach)を指す。入院決定となった対象者に対し、社会復帰調整官や家族を含め退院後の支援を担う関係機関の支援者と指定入院医療機関が集まり話し合いを持つ場である。当然のことながら
精神保健参与員は出席しない。
精神保健参与員の大まかなイメージがあれば、1,2,3、5は×と推測できるのではないだろうか。4はやや細かい知識だが、消去法で正解を導くことが可能な問題である。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス
医療観察法では、裁判官、付添人(弁護士)、審判員(精神科医)、精神保健参与員(精神保健福祉士)、社会復帰調整官(精神保健福祉士など)のほかに、鑑定医(精神科医)、鑑定入院中の担当医(精神科医)が、ひとりの対象者の処遇の決定に関わる。誰がどこでどのような役割を果たすのかについては、大まかなイメージを持っておいて欲しい。医療観察法に関係する問題は、今回の試験では問16、問67でも出題されている。過去の試験でも度々登場している。
【正解4】
問題 65 次のうち,「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付に位置づけられる居住型の支援として,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉ホーム
2 共同生活援助(グループホーム)
3 更生施設
4 救護施設
5 自立更生促進センター
知識がないと自信を持って答えを選べないが、1と2までは絞れるであろう。
正しいものは、2の
共同生活援助(グループホーム)である。1の
福祉ホームは地域生活支援事業の一つである。知識がなくてもすぐに諦めてはいけない。3は
更生保護法、4は
生活保護法に根拠を有するので×だろうと推測できる。また、5の自立更生促進センターは少なくとも障害者総合支援法ではないだろうとわかれば×と推測できる。
【正解2】
問題 66 Jさん(36歳男性)は, 19 歳の時に統合失調症を発症して精神科病院への入院経験がある。頻回な窃盗による逮捕歴があり, 最終的には実刑判決を受けて服役した。服役中は適切な精神科治療を受けていたこともあって病状も落ち着いた。
刑期が終わる時期が近づいてきたが, 身元引受人のいないJさんは出所後の生活基盤もなく, 再出発は極めて困難なことが予測された。そこでJさんが服役している刑事施設は, 保護観察所に特別調整を依頼した。その結果, Jさんは, 法務大臣から事業の認可を受けて宿泊場所や食事の提供など, 自立の準備に専念できる生活基盤を提供しているW施設へ, 保護観察所の長の委託により入所が決まり, 刑期満了日にそのまま入所となり再出発への道を歩み始めた。
次のうち, Jさんが入所したW施設として, 正しいものを 1つ選びなさい。
1 地域生活定着支援センター
2 宿所提供施設
3 自立準備ホーム
4 自立訓練(生活訓練)事業所
5 更生保護施設
これは、当然に知っていないとならないことである。
正解は5である。他の用語も自分で検索しておこう。
【正解5】