27.福祉サービス(R元年3月-第22回)3/3
問題56介護保険における認知症対応型共同生活介護について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 利用者の処遇上必要と認められる場合であっても,居室を二人部屋にすることはできない。
2事業者は,共同生活住居ごとに,非常災害対策などの事業運営.についての重要事項に関する規程を定めておかなければならない。
3 事業者は,利用者の負担により,当該事業所の介護従業者以外の者による介護を受けさせることができる。
4 事業所の管理者は,厚生労働大臣が定める研修を修了していなければならない。
5 共同生活住居ごとに,認知症対応型共同生活介護計画の作成を担当する計画作成担当者を置かなければならない。
認知症対応型共同生活介護は、地域密着型サービスなので市区町村により現実の対応に相違があるかもしれませんので注意して下さい。
1であるが、利用者の処遇上必要があるなら、居室を二人部屋にすることくらいは許されてもよいのではないだろうか。本肢は×である。2は、仮に知らなくても〇ではないかと判断できるであろう。3のようなことは許されず、本肢は×である。4は知らないと判断しづらいであろう。〇であるが、自信がなければ△にして次に進む。5も細かい知識である。〇であるが、自信がなければ△にしてもよい。本問は1と3が×であることを見抜いて消去法で解くのがよい。
1は細かいと感じた人もいるかもしれないが、常識的に考えると許されてもよいのではないかと感じられる内容ではないだろうか。平28-問55、平21-問54で出題されている。2と3と4は平24-問54で出ている。なお、3は次の問57でも出題されている。5は平21-問7で出ている。
【正解2,4,5】
問題 57 指定介護老人福祉施設について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 配置される介護支援専門員は,非常勤でもよい。
2 入所者数が30人以上50人未満の場合は,常勤換算で2人以上の看護職員を配置しなければならない。
3 医務室は,医療法に規定する診療所でなければならない。
4 入所者が入院する場合には,3月間は当該ベットを空けておかなければならない。
5 利用者の負担により,当該施設の従業者以外の者による介護を受けさせることができる。
ところどころに細かい知識を問う肢がある。
1は×である。介護保険施設には介護支援専門員が必置であるし、常勤で置かなければならない(問題44参照)。2は知らないと判断するのが困難である。自信がなければ△にして次に進む。3であるが、指定介護老人福祉施設の医務室は、医療法に規定する診療所でなければならないため〇である。4は×である。3月間ベットを確保するよう努めなければならないが「空けておく必要はない」。届出をしておけば、入院中のベットを短期入所生活介護で利用することも可能である。細かい知識を問う肢である(特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準22条参照)。5は×である。このようなことは許されない(問題56に似たような肢が出ていることにお気づきだろうか?)。
1と2は平27-問57で、3と5は平29-問57で出題されている。4を除く肢は、いずれも5年以内に出題されているため、もしそれらがきちんと判断できれば本問は積極法で正解を導くことができる。
【正解2,3】
問題 58 障害者総合支援法について正しいものはどれか。3つ選べ。
1自立支援医療費の支給は,自立支援給付の一つである。
2市町村は,介護給付費等の支給決定を行うにあたり障害程度区分の認定を行う。
3対象となる障害者の範囲には,難病の患者も含まれる。
4成年後見制度利用支援事業は,市町村の任意事業である。
5介護給付費の支給には,行動援護が含まれる。
正しい肢は障害者総合支援法の知識がないと判断が難しい上に、誤りの肢も判断しづらいと感じた。
1は〇であるが、知らないと判断しづらいであろう。2であるが、介護給付費等の支給決定と障害程度区分の認定はいずれも市町村の役割である。しかし、2つは関連してはいるものの、「介護給付費等の支給決定を行うにあたり障害程度区分の認定を行う」という関係にはない。本肢のような問われ方は過去になく、悩んだ受験生も相当数いたと思われる。3は〇であるが、1と同様に知らないと判断しづらいであろう。4は×である。これも知らないと判断しづらい。なお、本肢は介護保険法との混同を狙ったものだと思われる。5は〇であるが、知らないと判断できないであろう。
とても難しいと感じた人もいるかもしれないが、3は平27-問60で、4は平29-問59で、5は平30-問23で出題されている。それらをきちんと判断できれば、1か2のいずれが正しいのかさえ判断できれば正解を導くことができる問題でもある。障害者総合支援法については、共生型サービスがさらに増えていくと考えられるこれからの福祉の状況下において、今後も出題される可能性は高い。介護保険とよく似た仕組みであることをうまく利用して大枠を掴む、両方の差異を意識しながら勉強していけば割と早く骨格を押さえることができると思う。
【正解1,3,5】
問題 59 生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 医療扶助は,原則として,指定医療機関に委託して行われ,一部負担相当額は金銭給付として被保護者に支給される。
2 介護施設入所者基本生活費は,生活扶助として給付される。
3 生活保護は,原則として,個人を単位として行われる。
4 生活保護の補足性の原理により,介護扶助よりも介護保険の保険給付が優先して給付される。
5 要保護者が急迫した状況にあるときは,保護の申請がなくても,必要な保護を行うことができる。
正解しないといけない問題である。生活保護には4つの原則と4つの原理がある。本問はその知識だけで解ける。
1は×である。医療扶助は現物給付が原則であることがわかっていれば×と推論できる。2は細かいが〇である。3は×である。世帯を単位として行われる。4は〇である。5は〇である。申請保護の原則の例外を聞くものである。
【正解2,4,5】
問題 60 後期高齢者医療制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 後期高齢者医療給付には,髙額療養費及び高額介護合算療養費の支給が含まれる。
2 一部負担の割合は,原則として1割であるが,現役並み所得者は3割である。
3 後期高齢者医療給付には,入院時食事療養費及び移送費の支給は含まれない。
4 生活保護を受けている者も,被保険者となる。
5 運営主体は,都道府県ごとにすべての市町村が加入する後期高齢者医療広域連合である。
消去法、積極法のいずれでも構わないので、確実に得点したい問題である。
1は〇であるが、自信がなければ△にして次に進む。仮に知らなくても、通常の健康保険にもある制度だからこの場合も〇だと推論することもできよう。2は〇である。3は×である。後期高齢者医療給付には,入院時食事療養費及び移送費の支給が含まれる。健康保険でも給付されるのだから、後期高齢者医療給付にもあると考えて欲しい。ひっかかるとすれば、療養病床における入院時生活療養費との混同が考えられる。ちなみに、まだケアマネ試験では入院時生活療養費は出題されていない。4は×である。介護保険の被保険者との混同を狙った肢である。5は〇である。
1は平29-問60、2は平30-問60、3は平25-問59、4は平28-問60、5は平30-問(※ズバリの肢は平25-問59)で出題されており、内容も基本的なものばかりだといえる。
【正解1,2,5】
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