問題 26 次の記述のうち、「障害者総合支援法」に基づくサービスを提供する者が行う業務として、正しいものを1つ選びなさい。
1 施設長(管理者)は、個別支援計画の策定や評価を行い、サービスの進涉状況を管理する。
2 生活相談員は、障害者からの相談対応、情報提供、連絡調整等の支援やサービス等利用計画の作成を行う。
3 相談支援専門員は、入所施設に必置とされ、入退所における面接や利用者の相談援助を行う。
4 サービス管理責任者は、社会福祉施設における専任の管理者であり、運営管理を行う。
5 居宅介護従業者は、地域で生活する障害者への訪問による介護を行う。
(注) 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
知識が無くても、用語と説明が交差していることに気づいた場合、解答の精度を高めることができる。
補充的に交差法や消去法でも解くことができる
1は、×である。施設長が行う業務内容というより、現場の実践者が行う内容である。
2は、×である。「サービス等利用計画の作成を行う」のは、相談支援専門員である。
3は、×である。入退所における面接や利用者の相談援助を行うのは、生活相談員である。分からなければ、△にして先に進む。
4は、悩む人も多かったかもしれない。社会福祉の専任の管理者と言う記載に気付いて欲しい。この説明は、施設長(管理者)を指す。×である。
5は、〇である。居宅介護従業者という名称からも、業務内容と合っていると感じられる。
【正解5】
問題 27 精神障害者の権利擁護に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 インフォームドコンセントとは、必要だと考えられる治療や検査の方法について、十分な説明をすることである。
2 リーガルアドボカシーとは、障害者自らが、法的な面から権利を主張する活動のことである。
3 援助の記録は、事実の経過や根拠を証明する資料として、権利擁護に貢献するものである。
4 ピアアドボカシーとは、地域の中で障害者が当たり前の生活を営めるように、市民参画型の活動を展開することである。
5 合理的配慮とは、障害者が他の者と平等に全ての人権や基本的自由を享有するための、必要かつ適当な変更や調整のことである。
権利擁護と成年後見制度の科目と併せて学習すると効果的な問題である。
1は、×である。治療者側の説明ではなく、
患者が十分な説明を受けて
同意を行うことがインフォームドコンセントである。
2は、×である。アドボカシーは本人に代わって主張する(代弁)という意味なので、「障害者自らが」という部分との整合性を欠く。
3は、〇である。
4は、×である。ピアは仲間という意味で、ピアアドボカシーは仲間による代弁という意味。説明の内容は、仲間による代弁とは異なる。
5は、〇である。合理的配慮を抽象化すれば、説明のような内容になるということができる。
【正解3,5】
問題28 ジェネラリスト・ソーシャルワークの成り立ちに影響を与えたモデルやアプローチに関する次の記述のうち、最も時期が古いものとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントと地域社会が有する問題解決能力の強さを評価し、積極的に活用しようとするストレングスモデルが提唱された。
2 ソーシャルワークの共通基盤を確立した上で、そこから全体を特質づける枠組みを再構築するジェネラリストアプローチにより統合化が進んだ。
3 エコロジカル・ソーシャルワークが台頭し、人と環境の相互作用に焦点を当てた生活モデルが提唱された。
4 社会的に不利な状況に置かれた人の自己決定の能力や主張性を高め、主体的にその状況に働きかけ、改善するエンパワメントアプローチが台頭してきた。
5 「状況の中の人」に焦点を当てて、クライエントの問題状況を捉える心理社会的アプローチが提唱された。
本問は、単に「最も時期が古いもの」はどれかという聞き方であれば、正答率が上がったと思われる。
社会福祉士試験では、難しそうに見える問題ほど、きちんと読んで素直に考えた方がうまくいく場合が多い。
本問は出だしに、「ジェネラリスト・ソーシャルワークの成り立ちに影響を与えたモデルやアプローチ」という部分があり、そこを選択肢の中で選別する必要があると考えた人がいたかもしれない。しかし、問題文を素直に読めば、「ジェネラリスト・ソーシャルワークの成り立ちに影響を与えたモデルやアプローチに関する次の記述のうち」とあるので、選択肢にあるものはすべて影響を与えたものであることを前提にてよいことに気付く。
すなわち、各肢の中で、「最も古いもの」を選ばせる問題だということだ。
1の、ストレングスモデルでは、ラップが思い浮ぶ。
2の、ソーシャルワークの共通基盤では、バートレットが思い浮かぶ。
3の、生活モデルでは、ジャーメインが思い浮かぶ。
4の、エンパワメントアプローチでは、ソロモンが思い浮かぶ。
5の、「状況の中の人」・心理社会的アプローチでは、ホリスが思い浮かぶ。
この中で最も時期が古い人は、ホリス(1907-1987)である。
【正解5】
ホリス主著の“Casework: A Psychosocial Therapy”は1964年に刊行されているが、他の選択肢にあるモデルやアプローチは1970年以降に登場したものである。
細かい年号を知らなくても、ホリスが診断学派の論者としては、パールマンが問題解決アプローチを提唱してケースワークの統合を図ろうとしたときよりも前の人物であることは多くの人が知っているであろう。
そして、肢1から肢4はパールマンの問題解決アプローチよりも後に提唱されたことも勉強している人なら気づいたと思われる。
問題29 次の記述のうち、マルチディシプリナリ・モデルの説明として、正しいものを1つ選びなさい。
1 専門職はあらかじめ決められた役割をこなす。
2 各職種の役割はおおむね固定的であるものの、一部流動することもある。
3 多職種間で役割固定がなく、横断的な支援を行う。
4 各職種の専門性を基に活発に意見交換する。
5 専門職間に階層性がなく、相互作用性は大きい。
マルチディシプリナリ・モデルが多職種連携に関する話であることは多くの人がわかっていると思われる(知っておくべき知識である)。
仮にうろ覚えでも選択肢を読んでいるうちに何となく思い出した人もいるであろう。
マルチディシプリナリ・モデル(以下、マルチDMと略す)は、多職種連携の中でも各職種の役割が最も固定的なものである。
選択肢の中では1が同モデルの説明として適切である。
【正解1】
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス
<マルチディシプリナリ・モデル具体的な内容を覚えていなかった場合の解き方>
肢1から肢5までの選択肢を比較すると、各職種の緊密性、役割の流動性は肢1が低いのに対し、肢2,肢3,肢4,肢5は多少高めであることがわかる。
「正しいものを1つ」選ぶのだから、肢1が正解だろうと推測できる(分類法による解き方)。
マルチDMは、インターDM,トランスDMとセットで覚えておくとよい。
各職種の緊密性、役割の流動性は、マルチDM<インターDM、<トランスDMの順に高くなっていくことは押さえておく必要がある。
5人一組での水中競技に例えるなら、マルチDMが水中玉入れ、インターDMがシンクロナイズドスイミング、トランスDMが水球という感じだろうか。
(※筆者が覚える上で考えたイメージであり、参考程度に)。