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22.精神保健福祉相談援助の基盤(R2年-第23回)1/3

問題21  次のうち、グリーンウッド(Greenwood, E.)が掲げたソーシャルワーク専門職の属性として、適切なものを1つ選びなさい。 1 個人的な責任を伴う、理論を携えた活動であること 2 地域社会の承認があること 3 専門職を養成するための教育システム及びその訓練課程があること 4 利他的な動機があること 5 構成員の大多数が加入している専門職能団体があること   知識がないと解くのが難しい問題である。 この類の問題は、できなくても気にする必要はない。それよりも、この問題に時間を費やしたり、後に続く問題に悪い影響がでたりしないように注意すべきである。

【正解2】

ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ グリーンウッド(Greenwood, E.)は、1957年に「専門職の属性」を発表し、 ①体系的理論 ②専門職的権威 ③社会的承認 ④倫理綱領 ⑤専門職的副次文化(サブカルチャー) の5つをあげた。
  問題22 次の記述のうち、精神保健福祉の理論や実践に影響を与えた人物の説明として、適切なものを1つ選びなさい。 1 ジョーンズ(Jones, M.)は、病院の全環境を治療手段として用いる治療共同体の概念を提唱した。 2 ミニューチン(Minuchin, S.)は、集団や人間の相互依存性によるグループダイナミクスに着目した。 3 ロジャーズ(Rogers, C.)は、様々な心理療法やカウンセリング理論の基本となっている面接技法を統合したマイクロカウンセリングを開発した。 4 レヴィン(Lewin, K.)は、システム理論に基づいた構造的家族療法を展開し、家族成員間の境界に着目した。 5 アイビイ(Ivey, A.)は、非指示的アプローチである来談者中心療法(クライエン卜中心療法)を確立した。   人名と説明が交差していることに気づけば、知識が曖昧でも交差法で答えを導ける。 ミニューチンとレヴィンついては、少し細かい知識のような気がする。   1は、〇である。 2は、×である。ミニューチンは構造的家族療法を展開した人であり、肢4の説明部分が該当する。 3は、×である。ロジャーズは来談者中心療法(クライエン卜中心療法)を確立した人であり、肢5の説明部分が該当する。 4は、×である。レヴインはドイツ生まれの心理学者で、「ツァイガルニク効果」や「境界人」の概念の提唱者として有名である。1940年にアメリカの市民権を取得した後に、コーネル大学の教授をつとめ、マサチューセッツ工科大学(MIT)にグループダイナミクス(集団力学)研究所を創設した。レヴインに対応するのは、肢2の説明部分である。 5は、×である。アイビイはマイクロカウンセリングの創始者であり、肢3の説明部分が該当する。

【正解1】

問題23 事例を読んで、この時点で、サービス管理責任者であるB精神保健福祉士がCさんに行うべき対応として、適切なものを1つ選びなさい。 〔事例〕 就労移行支援事業所を利用しているCさん(47歳、男性)は、企業への就職を目標としている。支援を受けながら就職活動を続けているが、採用面接を受けてもなかなか決まらないでいる。最近では、イライラを募らせ物に当たったり、反対に塞ぎ込んだりする様子が見られていた。昨日、Cさんは感情を抑えることができず、 若い職員に対して、「なぜ、他の人には良い職場を紹介するんだ」「どうせ俺は働けないと馬鹿にしているんだろう」「お前は素人か」と語気を強めた。そこでB精神保健福祉士は、今後のことについてCさんと話合いをすることにした。   1 就職に結び付かない現状を受け止められるよう、つらさをくみとる。 2 若い職員であっても、十分な知識や技術を持っていること、を説明する。 3 これからはCさんと同年代の職員が、常に担当することを提案する。 4 求職活動を一旦中断し、趣味の時間を増やすことを勧める。 5 感情を抑えることができなければ、利用中止になることを伝える。   相談援助の原理原則に従って解答を導くことが大切である。   Cは、就職活動がうまくいかないためイライラしたり、反対に塞ぎ込んだりする様子がみられ、感情をコンロールできずに若い職員に怒りをぶつけている。 このような場合、サービス管理責任者であるBがCに行うべき対応としては、まずは受容傾聴であろう。これが出来てはじめて、Cに現状を認識してもらうことが可能になる。※選択肢の中で、一番受容と傾聴の実践に近いものを選ぶ。

【正解1】

  本問の選択肢を読むと、実際にしてしまいそうな対応もかかれている。 他方で、問題文は「適切なもの」はどれかを聞いているので、正解の肢以外は、適切ではないということになる。 本問は実際の支援のあり方に示唆を与えてくれる問題といえるだろう。   問題24 次の記述のうち、精神保健福祉士が行う自立支援として、適切なものを1つ選びなさい。 1 サービス担当者会議では、クライエントの混乱を避けるため、必要なサービスの利用に関する説明は最小限で行う。 2 福祉制度の活用を希望しているクライエントには、その理由について聞くとともに、申請の手続の説明を行う。 3 地域で生活をしているクライエントには、フォーマルネットワークよりインフォーマルネットワークを優先した支援を行う。 4 非自発的入院となったクライエントには、任意入院に切り替わってから退院支援を行う。 5 セルフヘルプグループの活動では、グループワークの技法を積極的に使用して、援助を行う。   迷うとしたら、肢2か肢5かの選択であろう。 5の判断にあたっては「セルフグループ」、「積極的に使用する」といった部分を見落とさないことがポイントである。   1は、×である。クライエントの混乱を回避するために、必要なサービスの利用に関する説明を最小限にするなら、自立支援につながらない。 2は、〇である。クライエントから理由を聞いて、申請の手続の説明を行う(申請はクライエント自らが行う)のは、自立支援として適切な内容である。もし、迷うなら△にして次に進む。 3は、×である。フォーマルネットワークとインフォーマルネットワークには、それぞれに長所と短所があり、インフォーマルネットワークを優先した支援を行うことが自立支援として適切というわけではない。 4は、×である。退院支援は任意入院に切り替わる前から行うべきであり、任意入院に切り替わってから退院支援を行うことが自立支援として適切というわけではない。 5は、×である。セルフヘルプグループの活動については、グループメンバーの活動を最大限尊重すべきであり、精神保健福祉士は補助的にサポートすべきである。この場合、グループワークの技法を積極的に使用することは、自立支援としては適切ではない。

【正解2】

問題25 福祉行政・関連行政機関に勤務する職員の主たる業務に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。 1 児童福祉司は、子どもや保護者からの相談に応じ、家族関係の調整等を行う。 2 障害者職業カウンセラーは、障害者の職場で支援計画に基づく直接支援を行う。 3 知的障害者福祉司は、公共職業安定所(ハローワーク)に配置され、職業紹介を行うために必要な援助について明らかにする。 4 保護観察官は、医療観察制度の対象者の精神保健観察を行う。 5 精神保健福祉相談員は、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、必要な指導を行う。   各職種の業務内容を問うものである。各職種の業務内容を正確に覚えていなくても、問題を丁寧に読めば、答えを導くことが可能だ。   1は、〇である。児童福祉司という名称に合った業務内容であり、事実、その通りである。 2は、×である。障害者職業カウンセラーは、障害者職業センターに配置され、障害者の就職を支援する。 3は、×である。知的障害者福祉司は、主に、知的障害者更生相談所や福祉事務所に勤務して、知的障害者の援助相談を担当する専門職である。公共職業安定所(ハローワーク)に配置されるというのは聞いたことがない。 4は、×である。保護観察官は「医療観察制度の対象者」の「精神保健観察」を行う職種ではない。本肢の内容業務を担うのは、社会復帰調整官である。 5は、〇である。精神保健福祉相談員という名称に合った業務内容であり、事実、その通りである。

【正解1,5】

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