問題 11 精神保健に関する次の記述のうち, 正しいものを 2つ選びなさい。
1 歴史的に精神衛生を発展させた概念である。
2 精神疾患の一次予防を目的とした活動を意味し, 治療を目的とする精神医療に対比する言葉として用いられる。
3 精神医学の領域に初めて予防の概念を取り入れたのはアメリカのビアーズ(Beers, C.)である。
4 精神疾患に罹患している人を対象とした訪問指導は, 吉川武彦が提唱した3側面のうちの積極的精神保健に含まれる活動である。
5 全ての人々の精神的健康を保持・増進させていく活動を含む。
すぐに正解を絞れないときは、ざっと一読して閃いた肢から攻めていくとよい。
その上で、肢が絞れてきたら、再度判断がつきにくい肢を検討する。そうすると最初に読んだときには気づかなかった視点が思い浮かぶこともある。
1は、間違いとまではいえなさそう。△にして次に進む。2は、
一次予防だけに限らないと感じるので×ぽい。3の
ビアーズは、こんなことを主張していなかった気がする。×ではないかな。4であるが、精神疾患に罹患している人の訪問指導を「積極的精神保健」というのは少し違う気がする。
積極的というのだから、罹患していない人を対象としたものではないかと感じるからである。×ぽい。5は、特に問題がない記述であり〇ぽい。3は知らないと絶対の自信を持って判断できないが、消去法で正解を目指そう。
【正解1,5】
問題 12 次のうち, セルフヘルプグループにおけるヘルパー・セラピー原則の説明として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 専門家が有する専門的知識と同等の体験的知識を取得すること
2 自らが他のメンバーを援助することによって自分自身に効果が生まれること
3 専門資格の取得を目指してグループに参加すること
4 主治医と共にグループミーティングに参加すること
5 自助具などの作成プログラムにより自立を目指すこと
セルフヘルプグループは自助グループのことである。
このグループでのヘルパーは参加者を指すと推測できる。参加者によるセラピー(療法)としてもっともよさそうなものを選択肢の中から探してみる。
1は明らかに×。2はよさそう。参加者同士が援助し合う中で自分への効果も生まれるであろう。3は×。4も×。5も×。
ヘルパー・セラピー原則の意味を知っていれば、いきなり選択肢を検討すればよい。一方、覚えてない人も冷静に考えれば答えを導き得る。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼
リースマンが提唱した「誰かを援助した(助けた)者が、それ以上の援助を受ける(メリットを得る)」という考え方が著名。
【正解2】
問題 13 次のうち, WHOが作成したものとして, 正しいものを1つ選びなさい。
1 DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)
2 WRAP(元気回復行動プラン)
3 ヘルシー ピープル2010
4 メンタルヘルスアクションプラン2013-2020
5 THP (トータルヘルスプロモーションプラン)
最近、評判の悪いWHOの作成したものである。
1は
APA(アメリカ精神医学会)が作成したものなので×。残り2から5は知らないと悩む。
WHOは世界保健機関のことなので、そこが作成するのにどれが相応しいかという観点から選ぶという方法が一つある。もう一つは、この問題は
精神保健福祉士試験なのでそれに関連したものではないかと推測してみる方法である。前の視点からは絞りづらいが、後ろの視点からは何とかなりそうである。つまり、5つの選択肢の中で、どれが精神保健福祉士に関係が深いだろう?という視点で考えてみる。全ての選択肢の中では、1と4が関連が深いと考えられる。先に記した通り、1は×だから、残るは4ということになる。仮に、1を知らなくても、ここまでくれば確率は50%である。
がんばれ!
【正解4】
問題 14 ギャンブル等依存症に関する次の記述のうち, 正しいものを2つ選びなさい。
1 ギャンブル等依存症対策基本法では, ギャンブル等依存症問題啓発週間を設けることとされている。
2 GA(ギャンブラーズ・アノニマス)は, ギャンブル等依存症の民間治療施設である。
3 家族への支援を開始する際には, ギャンブル等依存症本人の同意を得ることが必須条件とされている。
4 ギャンブル等依存症対策基本法におけるギャンブル等には, 法律の定めるところにより行われる公営競技だけでなく, ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為が含まれる。
5 ギャンブル等依存症対策基本法において, 都道府県は, 都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画を策定しなければならないとされている。
今ある知識を総括用しよう。
1は知らなければ△にして次に進む。2は、
AA(アルコホーリクス・アノニマス)を参考に考えると、
GAが民間治療施設ということはないであろう。3は、家族への支援を開始するのに、「ギャンブル等依存症本人の同意を得ることが必須条件」とすることをどう評価するかである。
依存症本人の同意がなくても支援をする必要はあると考えられるので×ぽい。4は、公営競技だけでなくその他の射幸行為も含むとするが、これは特に問題ないであろう。〇ぽい。5は知らないと悩むが、このような計画の作成を義務づけるべきかは疑問が残る。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼
AA(アルコホーリクス・アノニマス):飲酒を辞めたい人の自助グループ。(アルコール依存症の支援で活用される)
GA(ギャンブラーズ・アノニマス):ギャンブルを辞めたい人の自助グループ。(ギャンブル依存症の支援で活用される)
【正解1,4】
問題 15 犯罪被害者の精神保健に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 「第3次犯罪被害者等基本計画」(警察庁)では. 犯罪被害者等に関する専門職養成機関の設置計画が盛り込まれた。
2 「平成29年度犯罪被害類型別調査」(警察庁)によると, 殺人・殺人未遂または障害等の暴力被害を受けた者のうち「重症精神障害相当の状態」にある者は約1割であった。
3 犯罪被害者等基本法において, 犯罪被害者等とは, 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族とされている。
4 「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」では, 支援機関からの情報提供は被害者からの支援の要望を待つことが原則とされている。
5 全国被害者支援ネットワークに加盟している民間被害者支援団体は,市町村に各1か所ずつ存在する。
(注) 「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」とは, 平成24年度厚生労働科学研究「大規模災害や犯罪被害等による精神疾患の実態把握と対応ガイドラインの作成・評価に関する研究」において作成されたものである。
肢すべてを知っている人はいないであろう。
常識力と推論で解く。
1は、内容そのものから間違いとは判断しづらい。△。2は、殺人・殺人未遂または傷害等の暴力被害と受けた者であれば、「重症精神障害相当の状態」にある者は1割以上いると推測すべきではないだろうから。×ぽい。3は内容そのものから間違いとは判断しづらい。△。4の「支援の要望を待つことが原則」との記述は消極的すぎる気がする。×ぽい。5のような団体が市町村に各1つずつ存在するとは思えないので、×ぽい。
知らなければ、1と3を比較して正しそうな方を選ぶしかないが、決め手に欠ける。
【正解3】