問16 次の【図】は、「男女共同参画白書」(平成 29 年版)における「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に関する意識の変化を示している。以下の【設問】に答えなさい。
【設問】
次のA~Cのうち、【図】を説明する文として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正 しい組み合わせを一つ選びなさい。 ここでは、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方を性役割分担意識という。 性役割分担意識に賛成する者とは「賛成」及び「どちらかといえば賛成」を合わせた者とし、反対 する者とは「反対」及び「どちらかといえば反対」を合わせた者とする。
A 経年推移をみると、性役割分担意識に反対する者の割合は、男女とも長期的に増加傾向にある。
B 平成28年調査では、男女ともに反対する者の割合が賛成する者の割合を上回っている。
C どの調査年であっても、性役割分担意識に賛成する者の割合は、女性が男性を上回っている。
(組み合わせ)
A B C
1 ○ ○ ○
2 ○ ○ ×
3 ○ × ○
4 × ○ ×
5 × × ○
図を見れば、答えは出ます。しっかりと見てください。
ポイントは、性役割分担に賛成なのは女性よりも男性に多いということ。ただ、時代が進むにつれて、男女とも反対の人が増えている傾向があるということです。
【正解2】
問17
次の文は、乳幼児と養育者の関係性に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 乳幼児と養育者の関係性は、乳幼児の社会・情緒的発達に影響を与える。
B 養育者のもつ子どもについての認知、イメージ、表象は、子どもの親に対する行動のパターンには、ほとんど影響を与えない。
C 保育士と乳幼児との関係性は、小学校、中学校での社会・情緒的発達に影響を与えない。
D 乳幼児と養育者の関係は、愛着関係と同義であると考えられる。
E 乳幼児期に形成される愛着のパターンから、成人期の愛着のパターンを 95%予想できる。
(組み合わせ)
A B C D E
1 ○ ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○ ×
3 ○ × × × ×
4 × ○ × × ○
5 × × ○ ○ ○
常識問題と言えます。
A この文章が間違いのはずはないですね。
B 乳幼児は親の感情などを感じるものです。そして、その親の認知、イメージ、表象などは、子どもの親に対する行動のパターンに影響を与えます。
C 保育士は親とは違いますが、社会・情緒的発達に影響を与えないわけではありません。
D 愛着は大事ですが、それだけではありませんね。
E さすがに95%は無いと思います。
この問題は、AとBが分れば解けています。
試験問題を解く一般原則ですが、限定的、断定的な表現は間違いの事が多く、その可能性があるような表現は概ね正しい選択肢です。
【正解3】
問18
次の文は、乳幼児虐待に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 家庭が経済的困窮に陥り、母親がうつ病である場合、虐待が必ず起こると考えられる。
B 児童虐待は、子どもの社会・情緒的発達に影響を与えるが、脳の実質に変化を与える(器質的問題を生じる)可能性はない。
C 全ての虐待に対して親子の分離を行い、里親あるいは施設養育をすることが適切である。
D 被虐待乳幼児が保育所を利用することは、乳幼児の社会・情緒的発達にとってほとんど意味がない。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ×
5 × × × ×
文章表現から正誤が分かる問題です。
A 問17の一般原則と同様に、
限定的、断定的な表現が使われています。貧困家庭で母親がうつ病なら虐待が必ず起こるというわけではありません。
B 虐待は脳の器質的な変化も起こします。
C これも全ての虐待に限定して、分離を行うことが適切と
断定しています。常識的にあり得ないですね。そもそも保育士の仕事には親子関係の再構築や不適切な親に対する指導といった面もある訳ですから、この様なことが行われるということは、保育士の存在意義に関わることでもあります。
D これも間違いですね。
この問題は、すべての選択肢が✕ですので、少し戸惑うと思いますが、正解して欲しい問題です。
【正解5】
問19
次の文は、乳幼児期における情動の発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 新生児期は、周りの働きかけに対して微笑することが多い。
B 生後3~6か月頃から、悲しさと怒り、満足と喜び、興味と驚きなどの感情を表出する。
C 他者に対する相手を慰めるような行動にみられる共感反応は、一般的に1歳半頃から現れる。
D 嫉妬は、一般的に2歳頃になると現れる。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ×
乳幼児期における情動の発達問題です。
子供の発達段階における発達課題については、いろいろな学者が提起しています。一つひとつを年齢ごとに覚えるのは大変なので、試験対策という観点でいえば
文部科学省のまとめが役に立ちます。このまとめを参考に、
過去問を使って選択肢を
推論できるようにトレーニングしておきましょう。
A 新生児期に微笑は早過ぎますね。
B この頃には色々な感情の表出があります。少し早いと感じた人も多いのではないでしょうか。
C 個人差がありますが、概ねの目安として覚えておきましょう。
D 生まれた時には、シンプルな感情しかありませんが、三ヶ月くらいから少しづつ快や不快の感情が芽生え、概ね2歳頃には感情が完成すると言われています。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼
文科省がまとめた乳幼児期の発達の特徴
乳児は、外界への急激な環境の変化に対応し、著しい心身の発達とともに、生活のリズムの形成を始める。特に、視覚、聴覚、嗅覚などの感覚は鋭敏で、泣く、笑うなどの表情の変化や、からだの動き、「あーうー」「ばぶばぶ」といった 喃語(なんご)(まだ言葉にならない段階の声)により、自分の欲求を表現する。また、保護者など特定の大人との継続的な関わりにおいて、愛されること、大切にされることで、情緒的な絆(愛着)が深まり情緒が安定し、人への信頼感をはぐくんでいくが、特にスキンシップは大きな役割を果たすと言われている。
乳児は、この基本的な信頼感を心の拠りどころとし、徐々に身近な人に働きかけ、歩行の開始などとともに行動範囲を広げていく。
そして、幼児期になるにつれ、身近な人や周囲の物、自然などの環境とかかわりを深め、興味・関心の対象を広げ、認識力や社会性を発達させていくとともに、食事や排泄、睡眠といった基本的な生活習慣を獲得していく。また、子ども同士で遊ぶことなどを通じ、豊かな想像力をはぐくむとともに、自らと違う他者の存在や視点に気づき、相手の気持ちになって考えたり、時には葛藤をおぼえたりする中で、自分の感情や意志を表現しながら、協同的な学びを通じ、十分な自己の発揮と他者の受容を経験していく。こうした体験を通じ、道徳性や社会性の基盤がはぐくまれていく。
【正解4】
問20
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
Zちゃん(1歳半、男児)は、1か月前に保育所に入所した。入所以来園への行きしぶりが続いた。ある日登園中に雷が鳴るのを聞いて以来、全く園に行けなくなった。
【設問】
考えられる事項として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の組み合わせを一つ選びなさい。
A Zちゃんは、場所見知りがあるのかもしれない。
B Zちゃんは、分離不安があるのかもしれない。
C Zちゃんは、感覚過敏があるのかもしれない。
D Zちゃんは、雷を経験したことにより、トラウマ反応を起こしたのかもしれない。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × × ○ ○
5 × × × ×
どの選択肢も可能性としてありますね。
全く行けなくなったのは、雷が影響した時からですが、それ以前も行き渋りがあります。
従って、A、Bも関係ありますし、全く行けなくなった状態は雷の音か光に過剰に反応した可能性を感じさせますので、Cも外せません。
【正解1】