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2.心理学と心理的支援(R7年2月-第37回)

問題 7 次の記述のうち、エピソード記憶の事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 暗算をする際に、途中の計算結果を覚えておきながら計算を進めた。
2 相手の電話番号を聞いて、携帯電話に登録するまで覚えていた。
3 カナダは北アメリカ大陸にある国だと覚えていた。
4 昔、練習して乗れるようになった自転車に、今でもうまく乗ることができた。
5 昨日の晩御飯にとんかつを食べたことを思い出した。

1は×である。
ワーキングメモリ―の事例である。㊱問10肢5参照。
2は×である。
短期記憶の事例である。
3は×である。
意味記憶の事例である。㊱問10肢3参照
4は×である。
手続記憶の事例である。㊱問10肢1参照。
5は〇である。
エピソード記憶の事例である。休みの日に外出したなど、個人の経験に関する記憶である。

正解5

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
前年の試験で出題されている。不明なものがあっても、エピソード記憶の事例を積極法で選べればよい。

問題 8 職場における人間関係や意思決定に関する課題が生じたときに、その原因を理解したうえで、対応策を考えることが重要である。次の記述のような課題が職場で生じたときに、社会的抑制による事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 上司があまり成長を期待していなかった職員よりも、期待をしていた職員の方が次第に業績が向上するようになった。
2 会議中、本当は反対したかったが、他の多くの参加者が賛成したので賛成してしまった。
3 一人で考えていた内容よりも、全員が参加した会議で決めた内容の方が極端な結論になった。
4 上司が仕事上の指導をするときに非常に近い距離まで接近してくるため、強い不快感が生じた。
5 個室で一人で作業に取り組んだときよりも、大勢が一緒にいる部屋で取り組んだときの方が、他人の目が気になって効率が悪くなってしまった。

1は×である。ピグマリオン効果の事例である。㉝問10肢4参照。
2は×である。同調圧力の事例である。
3は×である。リスキーシフトの事例である。
4は×である。パーソナルスペースの事例である。
5は〇である。社会的抑制とは、近くに他者が存在することによって、個人の活動が抑制されることである。

正解5

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
関連する問題が㉙問122で出題されている(社会的促進の事例)。うろ覚えだった場合、問題文や用語の意味を推測しながら解く。
問題は他者の存在が個人の判断や作業効率に影響を与える場面を聞いている。,br> 社会的抑制ということなので、他者の存在が個人の判断や作業効率にブレーキをかけるものだろうくらいの意味だと理解して、それに最も近い事例を選ぶ。

問題 9 エリクソン(Erikson,E.)の発達段階説における青年期の心理社会的危機として、正しいものを1つ選びなさい。
1 基本的信頼 対 基本的不信
2 同一性 対 同一性混乱
3 勤勉性 対 劣等感
4 自発性 対 羞恥心
5 ジェネラティビティ 対 停滞

1は×である。
乳児期の発達課題である。
2は〇である。
3は×である。
児童期の発達課題である。
4は×である。
幼児期前期の発達課題である。
5は×である。
青年期後期の発達課題である。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
関連問題に㉞問11がある。本問はエリクソンの発達段階説の中でも著名な青年期の同一性の獲得について聞くものである。
積極法で2を選びたいところ。

問題 10 に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ストレスをもたらす原因となる出来事のことである。
2 強いストレスや心理的傷つきを伴う経験から、個人が持つ回復していく力のことである。
3 ストレスに伴って生じた不快な情動を、意識的に低減する方略のことである。
4 心的外傷となった過去の出来事を、あたかも今生じているかのように経験することである。
5 社会的な関係の中で行われる支え合いや支援のことである。

1は×である。
ストレッサーに関する記述である。㉜問12肢3参照。
2は〇である。
㉜問12肢1参照。
3は×である。
コーピングに関する記述である。㉜問12肢1参照。
4は×である。
PTSDにおけるフラッシュバックの記述である。㉝問12肢2参照。
5は×である。
出題者が何を想定していたかは不明であるが、社会心理学の用語でいえば、最広義では、向社会的行動に分類される記述である。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
レジリエンスは、精神保健福祉士試験では頻出の用語であるが、社会福祉士試験では初の出題だと思われる。
本問は、レジリエンスの意味さえ知っていれば、簡単に解ける問題である。

問題 11 事例を読んで、マイクロカウンセリングのかかわり行動や基本的傾聴技法に基づいた面接の最初の段階の応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。 〔事例〕
認知症のある親の介護について負担を感じている相談者が、地域包括支援センターを訪れ、社会福祉士が面接を行った。相談者は「何度も同じことを開いてくるのでイライラして、つい強い口調で怒ってしまう」と訴えた。

1 「同じことを聞かれても、いつも初めてのように答えるといいですよ」
2 「それは適切な行動ではないですよね」
3 「私もあなたと同じような経験をしたので、あなたの気持ちがよくわかります」
4 「その状況について、もう少し詳しく話してもらえませんか」
5 「正確に記録したいので、ゆっくり話してもらえませんか」

1は×である。
2は×である。
傾聴どころか、相手の行動を非難している。
3は×である。
4は〇である。
5は×である。

正解4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
基本的知識を頼りに、その場で考えて解く問題である。マイクロカウンセリングを知らなくても、「かかわり行動や基本的傾聴技法」から「最初の段階の応答として、最も適切なもの」を選べばよい。
このような観点からすると、1,2,3は不適切だと判断できる。残る4と5を比較した場合、4の方がより適切だと判断できる。
なお、マイクロカウンセリングの基本的かかわり技法については、㉘問13で出題されている。

問題 12 認知行動療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 不安を「生の欲望」と捉え、不安にとらわれずに行動するよう指導する。
2 クライエントが記憶や夢などを語る自由連想法が用いられる。
3 抑圧されていることによって、対象者が気づいていない無意識への気づきを促す。
4 不適応を生み出している行動や思考を、適応的なスタイルに変化させるように働きかける。
5 クライエントの行動に焦点を当てて、強化因子を用いて介入するため、感情面の変化は目標としない。

1は×である。
森田療法である。
2は×である。
精神分析療法である。㉘問14参照。
3は×である。
精神分析療法である。㉘問14参照。
4は〇である。
5は×である。
行動療法に関する記述である。

正解4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
認知行動療法の基本的イメージを基に、その場で考えれば解ける問題である。
㉝問14、㉚問14肢1参照。一言でいえば、認知療法はクライエントの思考に焦点を当て、行動療法はクライエントの行動に焦点を当て、認知行動療法は思考と行動に焦点を当てる。
この程度のイメージがあれば、4を選ぶことができる。また、本問を解く上で、5の行動療法に関する記述が大きなヒントになっている。

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