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2.介護支援分野(R2年10月-第23回)2/5

問題 6 介護保険法第2条に示されている保険給付の基本的考え方として正しいものはどれか。3つ選べ。 1 要介護状態等の維持又は悪化の予防に資するよう行われる。 2 被保険者の選択に基づく。 3 総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。 4 快適な日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。 5 被保険者の要介護状態等に関し、必要な保険給付を行う。   介護保険法2条を知っていれば簡単に解けるが、知らなければ推論して解くしかない。法律の第1条、第2条のあたりには、理念や目的といった根本的な原理が書かれているのが通常である。 難易度B 法律の冒頭の条文には、理念や目的といったその法律の基本原理が書かれていることが多い。似たタイプの問題に、R元再-問1、H30-問1などがある。   1は一見するとよさそうだが、要介護状態等の「維持」の部分がおかしいことに気づく。改善ならまだしも「維持」はおかしいと感じられるようになって欲しい。 2は〇ぽい内容である。 3も〇ぽい。 4は「快適な」がおかしいと感じられるかどうか。快適な日常生活を営めることは素晴らしいことだが、法律がそこまで保障してくれるというのも変な話だなと思って欲しい。4は×であろう。 5は介護保険の仕組みそのものであり、〇であろうと推論できる。 以上から、1と4が×であることを理由に消去法で解くか、各肢を比較してより適切だと思われるものを選択すればよい。 【正解2,3,5】
介護保険法第2条 介護保険は、被保険者の要介護状態又は要介護状態となるおそれがある状態に関し、必要な保険給付を行うものとする。 2 前項の保険給付は、要介護状態の軽減若しくは悪化の防止又は要介護状態となることの予防に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。
問題 7 介護サービスに係る利用者負担が高額となった場合の取扱いについて正しいものはどれか。3つ選べ。 1 高額介護サービス費の負担上限額は、被保険者の家計に与える影響を考慮して、段階的に設定されている。 2 高額介護サービス費の負担上限額を超えた利用料は、常に現物給付となるため、利用者が直接事業者に支払う必要はない。 3 高額介護サービス費は、世帯単位で算定される。 4 施設介護サービス費に係る利用者負担は、高額介護サービス費の対象となる。 5 高額医療合算介護サービス費は、医療保険から支給される。   高額介護サービス費は、実務で携わっていないとイメージしづらいかもしれない。イメージしづらいものについては、ネットで検索するとわかりやすい説明に出会えることがある。 難易度A 過去問でもよく出ている。本問に近いものとしてH29-問7がある。   1は〇である。被保険者の家計に与える影響を考慮して負担上限額を段階的に設定することは制度設計上きわめて自然なことである。 2は「常に現物給付となる」の部分が×である。多くは償還払いであるし、それを知らなくても「常に」という言い回しがおかしいと感じて×にするのでもよい。 3は〇である。ちなみに生活保護も世帯単位で算定される。 4は〇である。居宅介護サービス費であっても施設介護サービス費であっても、利用者負担が高額となれば高額介護サービス費が支給される。 5は×である。高額医療合算介護サービス費は、介護保険から支給される。本肢は、高額介護合算療養費との混同を狙ったものであるが、中途半端に知識があると迷ってしまう肢かもしれない。 【正解1,3,4】   問題 8 特定入所者介護サービス費の支給について正しいものはどれか。3つ選べ。 1 対象となる費用は、食費と居住費(滞在費)である。 2 負担限度額は、所得の状況その他の事情を勘案して設定される。 3 対象となるサービスには、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は含まれない。 4 対象となるサービスには、特定施設入居者生活介護は含まれない。 5 対象者には、生活保護受給者は言まれない。   特定入所者介護サービス費は、高額介護サービス費よりもさらにイメージしにくいと思われる。介護保険負担限度額認定証といえば、ぴんとくる人もいるかもしれない。 難易度B 特定入所者介護サービス費は過去に何度か出題されているが、その基本的内容について立ち入った出題がされたのは本問が初めてだと思われる。比較的参考になる問題としてH26-問9がある。   1は〇である。特定入所者介護サービス費の支給対象は、食費と居住費(滞在費)である。 2は負担限度額を所得状況などを含めて設定するというものであり、制度設計上も合理性があるといえる。2は〇である。 3は地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護も対象となるので×である。いわゆる介護保険施設(介護老人福祉施設(≒特養)、老人保健施設、介護医療院)は対象となるサービスに含まれるが、このことを知っていれば3を判断しやすかったかもしれない。 4は〇である。特定施設入居者生活介護ときたら、有料老人ホームを思い浮かべるとよい。そこでの食費、居住費に特定入所者介護サービス費の支給はない。 5は×である。対象者には生活保護受給者も含まれる。

【正解1,2,4】

介護老人福祉施設(≒特養)では、所得に応じて多床室であれば、10万、7万、6万、1万以下と利用料に大きく差がでる。これは特定入所者介護サービス費の支給があるからである(※1万以下は生活保護受給者の場合)。 まだ試験では出されていないが、特定入所者介護サービス費の支給には、所得だけでなく預貯金の額まで考慮されるようになっている(2017年改正から)。 一方、有料老人ホームの食費、居住費には特定入所者介護サービス費は適用されない。
問題 9 定率の利用者負担を市町村が減免する場合として正しいものはどれか。2つ選べ。 1 要介護被保険者の要介護度が著しく悪化した場合 2 要介護被保険者の属する世帯が住民税非課税世帯になった場合 3 要介護被保険者が災害により住宅に著しい損害を受けた場合 4 要介護被保険者と同居する家族が心身に重大な障害を受けた場合 5 要介護被保険者の属する世帯の生計維持者の収入が冷害による農作物の不作により著しく減少した場合   定率の利用者負担とは、利用したサービス費の1割から3割の負担部分のことである。本問ではそれが減免される場合を聞かれているが、それは極めて特殊な場合であろうということに気づいて欲しい。 難易度A 類似している問題にH25-問5がある。その問題を解いていれば、本問は比較的容易に解けたと思われる。   1は×である。要介護度が重くなれば、利用者負担は実質的には増えるように設計されている。 2は×である。この程度のことでは定率の利用者負担の減免は認められない。 3は減免を認めてもよさそうなケースだと感じられる。 4は×である。同居の家族が心身に重大な障害を受ければ困惑するかもしれないが、本人はお金持ちかもしれないし、定率の利用者負担の減免を認めるようなケースとはいえない。 5は、3と同様に、減免を認めてもよさそうなケースだと感じられる。以上から、3と5を選ぶ。

【正解3,5】

ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス 介護保険は応益負担であり、利用者負担はその根幹となる部分だからである。このことを念頭に置いて、選択肢から減免が認められるような異常な事態を見つければよい。 まったく閃かないときは、選択肢を仲間ごとに集めて、災害により困った状況にある3と5が同じグループだと考えて、それを選ぶという方法もある。
問題 10 通所によるサービスについて正しいものはどれか。3つ選べ。 1 指定地域密着型通所介護では、機能訓練を行う必要はない。 2 指定介護予防通所リハビリテーションでは、医師等の従業者により介護予防通所 リハビリテーション計画の実施状況の把握が行われなければならない。 3 介護予防•日常生活支援総合事業における通所型サービスは、市町村の保健•医療専門職による運動器の機能向上に限定して実施される。 4 共用型指定認知症対応型通所介護は、指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間や食堂を活用して行うことが認められている。 5 指定療養通所介護は、難病等を有する重度要介護者又はがん末期の者のうち、常時看護師による観察が必要なものを対象者とする。   知らないものがあっても、素直に各肢を検討していけば正解を導けると思われる。 難易度A 一見細かそうだが、落ち着いてその場で考えれば正解を導ける問題もある。   1は「機能訓練を行う必要はない」としているが、通所介護であれば地域密着型であっても機能訓練をするのが普通のことだと考えられる。1は×ぽい。 2は内容的に問題がなく〇ぽい。 3はもっともらしく書かれていて、知らないと迷うかもしれない。△にして先に進む。 4は「共用型」指定認知症対応型通所介護であれば、認知症対応型共同生活介護事業所の居間や食堂を活用してもよいとなっているが、これは特に問題のない記述といえるので〇ぽい。 5も内容的に大きな問題はなさそうであり、〇ぽい。1の×は確定として、残りをどうするか少し迷うが、△とした3が一番怪しい感じがする。 特に、介護予防•日常生活支援総合事業における通所型サービスを、「市町村の保健•医療専門職による運動器の機能向上に限定」する必要はあるのだろうかと感じられればよい。 以上から、消去法で1と4を除いた肢を選べばよい。

【正解2,3,5】

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