19.保育の心理学(R元年-後期)3/4
問 11 次のA~Dのうち、成人期・高齢期の特徴に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 成人期では、子どもの巣立ちや老親介護などを通して心理的変化に直面しやすく、時として人生の転機となり、アイデンティティの再構築がみられることがある。
B 知能には、加齢の影響を受けやすいものと受けにくいものがあり、結晶性知能は成人期以降減衰するが流動性知能は高齢期でも低下しにくい。
C 身体機能は、加齢に伴い程度の差はあるものの少しずつ低下する。聴覚では母音、低音域の音、ゆっくりしたテンポでの聞き取りづらさを感じる人が多くなる。
D 高齢期には、加齢による変化に対処しながら自分の特徴を最大限に活かすなど、幸福に年齢を重ねることをサクセスフル・エイジングと呼ぶ。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ○
4 × ○ × ○
5 × ○ ○ ×
高齢者に関わるソーシャルワーカーやケアマネジャーには常識的な問題。
A:適切な記述。
B:反対である。流動性知能は成人期以降減衰するが結晶性知能は高齢期でも低下しにくい。
C:高音域や子音が聞こえにくくなることが多いと言われています。
D:適切な記述。
【正解3】
問 12 次の1~5のうち、子どもの遊びと運動に関する記述として不適切なものを一つ選びなさい。
1 運動能力には、筋力や持久力などの運動体力と、視聴覚や筋運動感覚などの知覚を手がかりに運動をコントロールする能力がある。この運動コントロール能力が急激に発達するのは幼児期から児童期である。
2 幼児期は、走る、跳ぶ、登る、くぐるなど多様な動きをする遊びよりも、特定の動きを繰り返す運動の方が身体の発達に効果がある。
3 近年、地域や家庭において、戸外での遊びの面白さに気づかないまま、室内の遊びに偏りがちな子どもも少なくない。
4 保護者に運動習慣がある家庭の幼児は、そうでない家庭の幼児よりも戸外遊びを多く行っているという報告がみられる。
5 運動が得意な幼児は、普段一緒に遊ぶ仲間の数が多く、仲間関係が良好で、協調性が高いなど社会性が発達していることが多い。
消去法ではなく、1択の問題。
2がおかしいのは明らかです。多様な動きの方が身体の発達には良いでしょう。
【正解2】
問 13 次の文は、感情と自己に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる用語を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
・ 子どもは遊びの中で、思うように自分を表現したり、自分の力でやり遂げたりできることに自信を持ち、( A )を感じるようになる。
・ 幼児は、ごっこ遊びを通してお母さんやヒーローのように、自分にはできないことができる人にあこがれ、( B )し、自分の中に取り込む。
・ 自分も使いたかった一つしかないおもちゃを貸してあげるといった( C )が起こるためには、仲間の考えや感情を理解し、相手と同じ感情を自分も共有することができることを必要とする。
・ 自分の世界を持ち始めると、自分がしていることやしたことを「見て、見て」と他者に訴えるようになる。他者の視線を自分に集めて( D )し、自己を拡張していく。
【語群】
ア 自己高揚 イ 自己肯定感 ウ 向社会的行動 エ 自己顕示 オ 他律的行動 カ 自己制御感 キ 社会化 ク 同一視
(組み合わせ)
A B C D
1 イ キ ウ ア
2 イ ク ウ エ
3 カ キ オ エ
4 カ ク オ ア
5 カ ク オ エ
問題文と【語群】だけを見ると難しく感じるが、(組み合わせ)を見て考えれば答えは出そうです。
ABCDすべて2択になっています。珍しいパターン。2つのうちのどちらかを選ぶのは、国語の問題と言っていいでしょう。この問題で大事なのは、組み合わせを早く確認し、解答することに活用することです。
【正解2】
問 14 次の文は、自己に関する記述である。【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
A 幼児に気付かれないように鼻の頭に口紅をつけておく。その後その子どもに鏡を見せた時、子どもが鏡の像ではなく、自分の鼻を触るかどうかを基準として判断する。
B 乳児が自分の手や足の指をしゃぶったり触ったりして得られる感覚は、物をしゃぶったり触ったりした時に生じる感覚とは異なることに気付く。
C 青年は「自分は他者と違って自分である」という感覚と、「自分はいかに自分になってきたか」という感覚を、問い直す。
D 「そうなりたい自分」と「そうである自分」とのズレや不一致の程度によって、その人の適応をあらわしているとされる。
【Ⅱ群】
ア 自己実現 イ 自己認知 ウ 身体的自己 エ 自己開示 オ モラトリアム カ アイデンティティ キ 現実自己・理想自己 ク 私的自己・公的自己
(組み合わせ)
A B C D
1 ア ウ オ キ
2 ア ウ カ ク
3 ア エ オ ク
4 イ ウ カ キ
5 イ エ オ ク
この問題もできるだけ早い段階で(組み合わせ)を確認しておく。【Ⅰ群】と【Ⅱ群】だけを見ていても中々答えに辿り着けない。
Aはアかイのどちらか。自己実現である訳ありません。
Bはウかエのどちらか。自分を開示している訳ではありませんね。
Cはオかカのどちらか。モラトリアムは端的に言うと猶予です。違いますね。
Dはキかクのどちらか。【Ⅰ群】の記述から、現実と理想がより近い。
どの選択肢も、しっくりこないところがあります。【Ⅰ群】と【Ⅱ群】がピッタリ当てはまるかと言えば疑問ですが、どちらが近いかといった問題だったと考えれば良いでしょう。
【正解4】
問 15 次の【事例】を読んで、以下の【設問】に答えなさい。
【事例】
砂場で、一度に4個ずつケーキが作れる容器を使って遊んでいたG君(3歳、男児)。砂を容器に入れて、ベンチの上に引っくり返しては、ケーキの形ができることを繰り返し楽しんでいた。保育士が「そろそろ給食だから、お片付けだよ。」と声をかけると、G君は「やだ、もっと作る。」と言った。そこで保育士は、「ケーキ、あと何個作ったらおしまいにできるかな。」と尋ねると、「あと、50 個。」と応えるG君。「じゃあ、急いで 50 個作ろう。」と保育士が言うと、急いで何度も繰り返した。そして、ケーキを保育士が食べる真似をして、「ごちそうさまでしたぁ。」と言って、ベンチの上の砂を落とした。再び、ケーキを作るG君。同様のやりとりを数回繰り返した後、G君は自ら使っていたケーキの容器をカゴにポンと戻した。
【設問】
次の文のうち、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A G君は、片付けに取り組む前に、自分の遊びの世界を受け止めてもらっていた。
B 保育士は、子どもの気持ちに寄り添いながら、子どもが納得して片付けに取り組むよう援助した。
C G君は、やりたいことを十分に実現して、主体的に片付けるという経験をした。
D 保育士は、子どもが遊び続けることよりも、片付けを優先させていた。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × ○ ×
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ×
5 × ○ × ○
ケーキを4個作れる容器を数回使っても50個は作れません。
子どものこの様な行動は珍しくありませんね。
A、B、Cは適切な記述。
Dは不適切な記述。しかし、時間の制限のある現場では、この様な目的があっても不思議ではないです。
【正解1】
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