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18.精神疾患とその治療(R元年-第22回)1/2

問題 1 次のうち, 交感神経の活動の高まりを示すものとして, 正しいものを1つ選びなさい。 1 瞳孔の縮小 2 脈拍の減少 3 血圧の低下 4 消化液の分泌減少 5 腸管蠕動(ぜんどう)の亢進(こうしん)   共通科目の人体の構造と機能及び疾病で何度か出題されている。 交感神経の活動の高まりは興奮状態にあるときである。そのようなとき、自分の体がどのような変化を起こすかイメージして欲しい。 1は×、2×、3は×である。悩むとすれば4か5である。交感神経が働いているときは、消化は抑制される(過去問で出ている-人体の構造と機能及び疾病)。この知識があれば、4が〇で、5が×だと推測できる。 

【正解4】

問題 2 次のうち, ICD-10 において, 解離性(転換性)障害に含まれているものとして, 正しいものを1つ選びなさい。  1 トランスおよび憑依(ひょうい)障害 2 強迫性障害 3 パニック障害 4 身体化障害 5 離人・現実感喪失症候群   一つの用語の正確な理解が必要である。 2と3は解離性(転換性)障害とは別のものだと判断しやすいが、残りの中から解離性(転換性)障害に含まれているものを探すことは、解離性(転換性)障害をイメージできないと難しいであろう。正しいものは1である。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ 解離性(転換性)障害の「解離」とは、こころが本来あるところから離れた状態を指す。 具体的には、自分のしたことを覚えていなかったり(健忘)、自分の意思に関係なく勝手に蒸発したり(遁走)といった状態である。 「転換」とは、無意識の葛藤(解決できないこころの悩み)から生まれる不安があるとき、体に症状が生じることによって不安から逃れられる状態を指す。もうろう状態では周囲に正しく反応できない。恍惚としていたり、ものにつかれたような状態(憑依)になったりすることもある。解離性同一性障害(多重人格)、解離性運動障害(手足のまひ、声が出なくなる)が現れることもある。

【正解1】

問題 3 次のうち, 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の典型的な症状として, 正しいものを1つ選びなさい。 1 アンヘドニア 2 多重人格 3 疾病恐怖 4 考想吹入 5 的外れ応答   正確に症状を覚えていなくても推論でかなり絞れる。 心的外傷後ストレス障害(PTSD)について何となくのイメージは持てるであろう。PTSDのTはトラウマティックの頭文字である。 2の多重人格、4の考想吹入、5の的外れ応答が×であることはすぐにわかるであろう。残る1と3のいずれを選ぶべきか。3の疾病恐怖は、心的外傷後ストレス障害とのつながりを感じにくい。アンヘドニアを知らなくても、消去法で選ぶことができる。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ アンヘドニアとは、ポジティブ感情の低下、意欲の減退、報酬に対する感受性の低下、喜びの喪失などといわれているものです。アンヘドニアはうつ病の中心的な症状の1つですが、うつ病に限らず様々な疾患(例えば、統合失調症、強迫症、外傷後ストレス障害など)においてもみられる症状です。

【正解1】

問題 4 次のうち,成人で発症した神経性無食欲症の典型的な症状として,正しいものを2つ選びなさい。 1 頻脈 2 無月経 3 過活動 4低身長 5 過呼吸   問われているのは、成人で発症した神経性無食欲症の典型的な症状である。 このヒントを最大限に活かす。 1の頻脈は、無食欲症とはつながりにくい。2は、食べないことにより無月経といった症 状が現れることが予想できるので、〇か△にして先に進む。3の過活動はどうか。知らないといずれとも判断しにくい。4の低身長はどうか。ここで「成人で発症した」の部分が活きてくる。成人であれば、食欲に関係なく身長が伸びることも縮むことも考えにくい。これは×だと判断するのが素直ではないだろうか。5は知らないと悩むが、神経性無食欲症が過呼吸につながるという結論はやや唐突な感がある。2は〇だとして、もう一つどれを選ぶか。最終的には知識がものをいう問題だが、1,3,5を再度比較すると、食べないことにより1,5が生じにくい気はするので、そこから3を選ぶという方法がある。無食欲症が肥満への恐怖を持っているのではないかということに気づいて、太ることを避けるために過剰な運動をするのではないかと考えて3を選べればしめたものである。

【正解2,3】

問題 5 小児自閉症に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 症状は急性に出現する。 2 女児に多く発症する。 3 3歳までに症状が明らかになる。 4 虐待が原因で発症する。 5 コミュニケーション能力は高い。   小児自閉症は、勉強していなくてもイメージすることができるであろう。  1は×である。2は男児に多く発症すると言われているので×(これは知らないと判断しづらい)。3は何となくそうかなという気がするが自信がなければ△にして進む。4のように虐待が原因で発症するようなものではない。×である。5は明らかに×である。コミュニケーション能力が髙ければ自閉症ではないだろう。2の知識があれば、消去法で3を選べる。もし知らなければ、自閉症が先天的な要因が大きいことから3ではないかと推測してもよい。

【正解3】

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