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18.相談援助の理論と方法(H30年-第31回)3/3

問題112 相談援助における社会資源に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 フォーマルな社会資源とは,私的な人間関係の中で提供されるものである。 2 社会資源の開発の方法として,ソーシャルアクションは不適切である。 3 社会資源の活用の目的は,ソーシャルワーカーの自己実現を図ることである。 4 クライエントにとっては,ソーシャルワーカーも社会資源である。 5 社会資源の活用に際しては,インフォーマルな社会資源の活用を優先する。 問題105と同様に、社会資源は現代社会と福祉で主に扱われている。科目相互での問題の入替えは近年の特徴の一つである。 1は「フォーマル」と「私的な人間関係の中で提供されるもの」が噛み合わず×。2は、社会資源の開発の方法として,ソーシャルアクションは適切であり×。3はもちろん×。4は〇である。社会資源の概念は広く、利用者の主観でさえも含まれる。5は、「インフォーマルな社会資源の活用を優先する」というようなことはなく、×である。4にマーク

【正解4】

問題113 グループワークに関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。 1 最終目標は,まとまりのあるグループを作ることである。 2 メンバー自身やグループ内の葛藤は,回避することが必要である。 3 開始期では,メンバー間の相互援助システムの形成が促進される。 4 メンバー個々の問題を解決する主体は,ワーカーである。 5 プログラム活動は,グループワークの援助方法の一つである。   グループワークは集団で行うが、最終目標は参加者個々人の成長である。 1は、まとまりのあるグループを作ることが目的ではないから×である。2のような葛藤も成長の素材になる。×ぽい。3は、開始期では、「メンバー間の相互援助システムの形成が促進される」ところまではいけないだろう。×ぽい。4のようにワーカーが解決してしまっては、グループワークをする意味がない。×ぽい。5はそうだろうなという感じである。これが一番○ぽい。
集団援助技術の展開過程
準備期 ・ 利用者と予備的接触を行う。 ・ 利用者との波長合わせ(前もって把握しておくこと)を行う。
開始期 ・ グループ活動を成立させる。 ・ グループ活動のルール等を作りあげる。 ・ グループメンバーが相互に援助し合えるような環境づくりを行う。
作業期 ・ メンバー同士の主体性を中心に互いに助け合うなど相互作用が生じるように 援助する。 ・ サブグループができた場合は、グループ全体にどのような影響を与えるのか を見極めて対応する。
終結期 ・ 効果の評価を行う。 ・ メンバーが終結に向けて準備ができるように援助する。 ・ 必要であれば他のサービスの紹介を行う。
今回の学習で覚えてしまおう

【正解5】

問題114 事例を読んで,J医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の応答として,適切なものを2 つ選びなさい。 〔事 例〕 希少難病を患っているKさんは,J医療ソーシャルワーカーに,「自分は心理的にも社会的にも孤立しているのでとても苦しい。似たような立場の人と話してみたい」と相談した。   1 「同じような悩みをお持ちの患者さんの集まりを持ちましょう」 2 「一人ひとり事情が異なるので,他の人と話すことは難しいです」 3 「病気が関係しているので,相談に乗るには主治医の許可が要ります」 4 「カルテを調べて同じ病気の患者さんの連絡先をお教えします」 5 「思いを聞いてもらえるボランティアをお願いすることもできるかと思います」   問われているのは、「J医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の応答」として適切なものである。 1はあってもよい対応ではないだろうか。△にして先に進む。2は、いまいちな応答である。×ぽい。3も、Kさんが希少難病とはいえ、「似たような立場の人と話してみたい」という相談に乗ることについて主治医の許可はいらないと思われる。仮に主治医に確認する部分があるとしても、他の言い方があるであろう。×ぽい。4は、端的にJが連絡先を教えることは守秘義務に違反するであろう。×である。5は、ストレートにKさんの希望に応えるものではないかもしれないが、2,3よりはましである。

【正解1,5】

問題115 ソーシャルワークにおけるスーパービジョンに関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。 1 スーパービジョンの目的は,より多くのサービスを提供し,事業所の利益を高めることにある。 2 スーパービジョンの契約は,スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。 3 ピアスーパービジョンでは,スーパーバイジーが所属する職場内の上下関係を活用して行う。 4 パラレルプロセスとは,スーパーバイジーであるソーシャルワーカーとクライエントとの関係とよく似た状況が,スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係において起こることをいう。 5 スーパーバイザーがスーパーバイジーの能力に合わせて業務を調整するのは,スーパービジョンの支持的機能である。   スーパービジョンも頻出論点である。「管理・教育・支持」の3機能は必ず覚えておく必要がある。形式としての「個人、集団、ピア、ライブ」も押さえる。 1は、スーパービジョンの目的が「より多くのサービスを提供し,事業所の利益を高めることにある」はずはなく、×である。2の契約はもっと早い段階で締結するものなので、×である。3の「ピア」とは、仲間を意味する。同じような地位にある者同士で行うのがピアスーパービジョンなので、3は×である。4の「パラレルプロセス」は初めての登場ではないだろうか。ちなみに私は全然記憶にない。パラレルとは平行してというような意味であり、プロセス過程である。説明部分は、言葉の意味としてはつながるのではないだろうか。△にして次に進む。5の「スーパーバイザーがスーパーバイジーの能力に合わせて業務を調整する」のは少なくとも支持的機能ではない。管理的機能に近い気がする。×ぽい。 この類の出題は、今後も形を変えて出題される可能性大である。 柔軟に対応しよう!

【正解4】

問題116 ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。 1 ソーシャルワーカーの判断や主観的な解釈を含めず,客観的な事実を記述する。 2 説明体は,事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。 3 実践の根拠と証拠を示し,援助の評価にも活用される。 4 SOAP方式で記録する場合,Aはソーシャルワーカーが行う今後の援助計画のことである。 5 クライエントに不利益となるような情報を記載しないようにする。   問われているのは「ソーシャルワークの記録」に関してである。 1は、自然科学の実験記録ではないのだから、「ソーシャルワーカーの判断や主観的な解釈を含め」ていけないわけはなく、×である。2は、何これという感じの肢である。口語体、文語体という言葉があるが、説明体もその仲間のようなものであろう。2の内容は一見よそうだが、「クライエントによる説明や解釈を記述する」のではなく、ソーシャルワーカーによる説明や解釈を記述するものではないかと思われる。△にして次に進む。SOAP看護記録で用いられる方式である(※石鹸のことではない)。知識がないために本肢で迷った人も多いであろう。Aはアセスメント、Pはプランニングの略である。よって、「Aはソーシャルワーカーが行う今後の援助計画のこと」だという部分は×である。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ ■SOAPは、Subject(主観)、Object(客観)、Assesment(アセスメント)、Planning(プランニング=援助計画)の頭文字から成っている。 SOAPに限らず、略語が出たら一度は調べてメモしておくとよい。すべてを正確に言えなくても主要な部分に着目しておくと試験のときに役立つことがある。 例えば、今年出てしまったが、ウェクスラー式知能検査がある。 Wはウェクスラーの頭文字である。成人用、児童用、就学前用にわかれているが、判別がつくだろうか。 WAIS=成人用、WISC=児童用、WPPSI=就学前用だが、順にA=Adult、C=Child、PP=Primary,Pre-schoolの頭文字である。

【正解3】

問題117 個人情報の保護に関する法律の規定について,次のうち,正しいものを2つ選びなさい。 1 個人を識別できない情報も個人情報の保護の対象である。 2 この法律において「個人情報」とは,生存する個人に関する情報である。 3 業務に関して知り得た個人情報は,理由のいかんを問わず漏らしてはならないとされている。 4 個人情報取扱事業者は,個人情報を取り扱うに当たり,その利用目的をできる限り包括的に設定しなければならない。 5 国は,個人情報の取扱いに関し事業者と本人との間に生じた苦情の適切かつ迅速な処理を図るために必要な措置を講ずるものとされている。   個人情報保護に関する出題を、この科目で出してきたか~。肢の中にズバリのものと紛らわしいものを混ぜて、ケアレスミスを誘っているように感じる。 1は、個人を識別できない情報であれば、個人情報の保護の対象としなくてもよいのではないだろうか。×ぽい。2は、〇である。知らないと迷うであろう。3は「理由のいかんをかかわらず」が×である。4はかなり悩ましい肢である。利用目的を包括的にすると、取り扱いにより慎重になると考えれば、〇ぽい。5のようなケースで、国が必要な措置を講ずるものとされているのであろうか。△。

【正解2,4】

問題118 日系人のMさん(45 歳,男性)は,13 年前に来日し,35 歳の時に日本人女性と結婚した。現在は県営団地に住んでいる。来日理由の一つである祖国に住む父母への定期的な送金も実現したが,働いていたW社が3 か月前に倒産してしまい,現在はアルバイトをしつつ,公共職業安定所(ハローワーク)を通じて求職活動を行っている。また,家賃の安い住宅への転居を検討しているものの,まだ見付かっていない。アルバイトの収入と貯金の取崩しで生活しているMさんは,今後の収入に不安を感じたため,外国人を支援する団体のLソーシャルワーカー(社会福祉士)に相談した。 次のうち,この段階においてLソーシャルワーカーがMさんに対して行うこととして,適切なものを2 つ選びなさい。 1 帰国するよう助言する。 2 祖国への送金をやめるように助言する。 3 生活保護の申請を勧める。 4 日本で支えてくれる知人・友人の状況を尋ねる。 5 家賃減免の仕組みの有無と適用条件を県営団地の管理者に確認したか聞く。   問われているのは、「この段階においてLソーシャルワーカーがMさんに対して行うこと」であるが、本問は、3をどう考えるかにある。答えが割れた問題だったのではないだろうか。 1は、ありえない対応であろう。×である。2も同様にLソーシャルワーカーの対応として不適切であろう。×である。3はどうか。迷うとしたら本肢であろう。△にして、次に進む。4は、LソーシャルワーカーがMさんに行うこととして不適切とまではいえまい。知人、友人の存在は、Mの不安感を軽減させる可能性が高いからである。〇ぽい。5もLが行うこととしては適切であろう。Mさんは県営団地に住んでいるが、設問のような家賃減免の仕組みについて検討していない可能性があるからである。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス 本問における選択肢3「生活保護の申請」について Mさんは永住権を取得していないが、13年前に来日し、日本人女性とも結婚している。定住外国人といってよく、一般的に保護の申請そのものは認められる可能性がある。 しかし、「この段階において」は、「今後の収入に不安を感じた」程度であり、生活に当たられるお金が僅少だという差し迫った感じはない。加えて、アルバイトをしつつ、公共職業安定所(ハローワーク)を通じて求職活動を行っている。 従って、まだセーフティネットを利用せざるを得ないという段階ではない。

【正解4,5】

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