18.保育の心理学(R元年-後期)2/4
問6 次の乳児期の発達に関する記述のうち、下線部分が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 新生児が、大人の話しかけに同期して自分の体を動かすクーイングと呼ばれる現象が報告されている。
B 新生児が数人いる部屋で、一人が泣きだすと、他の新生児も泣きだすことがよくみられる。この現象は社会的参照と呼ばれる。
C 乳児の身体に比して大きな頭、丸みをもった体つき、顔の中央よりやや下に位置する大きな目、といった身体的特徴は幼児図式と呼ばれ、養育行動を引き出す効果があると考えられている。
D 乳児は特定の人との間にアタッチメント(愛着)を形成し、不安や恐れの感情が生じるとその人にしがみつく、あるいはくっついていようとする。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × × ○ ○
5 × × × ○
新生児と乳児が登場します。
A:新生児が大人の話しかけに同期して自分の体を動かす現象はエントレインメントと呼ばれる。また、グーイングとは「アー」「ウー」といった声を出すことです。
B:新生児が数人いる部屋で、一人が泣きだすと、他の新生児も泣きだす現象は情動伝染と呼ばれている。これは社会的理解の根幹と考えられている。また、社会的参照とは親等の表情や様子を参考にして、物事を判断して行動することです。仮に、社会的参照の意味を知らなかったにしても、新生児と社会的参照が結び付かないのは明らかです。さすがに、まだそんな能力はないでしょう。
C:記述の通り。
D:記述の通り。
【正解4】
問7 次のA~Dのうち、学童期の発達についての記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 低学年では、具体的な事物については論理的思考ができるようになる。また、不特定多数の聞き手を意識して発言することが求められるようになる。
B 中・高学年になると、特定の仲間と排他的ではない集団を作って行動することが増える。また、同時に仲間よりも大人からの承認を求めるという特徴がみられる。
C 学校生活の中では、自己概念は現実的で複雑になるため、社会的比較をすることにより劣等感を抱いたり、自尊心が低下したりすることがある。
D 学童期は、学年が上がるとともに記憶のための方略が多様化し、自分の思考を振り返るメタ認知能力が発達していく。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × × ○ ×
5 × × × ○
学童とは、小学生のことです。
A:適切な記述。
B:特定の仲間と集団を作るという記述は適切だが、排他的なことも多いため、排他的ではないという箇所は適切ではない。
C:適切な記述
D:適切な記述
【正解3】
問8 次のA~Dのうち、幼児期の他児との関わりに関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 1歳児クラスでは、他児が物を使い始めると、それを見て自分も使いたくなり、物のやりとりや取り合いが生じる。
B 幼児期を通して、物をめぐるいざこざは日常的に生じるが、その対応や解決の方略は年齢によって変容していく。
C 幼児期を通して、他児たちが遊んでいる場面で、仲間に入れてもらうためには、「入れて」と言えることが必須である。
D 5歳になると、遊びの目的を共有し、自分たちで工夫してルールのある遊びを楽しむ姿、より面白くなるようにルールを作り替える姿がみられるようになる。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × × × ○
5 × × × ×
自信のある選択肢から手を付ける。
BとCが分かりやすい。
Bの物をめぐるいざこざは日常的に生じる、対応や解決方法が年齢によって変容していく、
不適切な要素がありません。
Cの仲間に入れてもらうためには、「入れて」と言えることが必須、という話しは聞いたことがありません。
Bの〇、Cの✕で既に答えは出ました。この時点で、後の選択肢は軽く確認するという姿勢で良いでしょう。
AとDの記述も適切。
【正解2】
問9 次の文において、集団への関わりとして( A )~( D )の語句が適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
レイヴとウェンガー(Lave, J. & Wenger, E.)は、(A 師弟制度)のように参加を通して学ぶことを(B 「伝統的参加学習」)と呼び、そのプロセスに多くの学びが発生する可能性があることを指摘した。
この論を踏まえて、幼児の集団への関わりについて解釈を試みると、保育所に途中入所してきた幼児は、その園では(C 新参者)であるが、活動や場にその子なりに参加する。少し離れたところから同じクラスの幼児たちの遊び方を観察したり、共同的行為のなかで自分にもできる(D 役割)を担ったりする中で、次第に園での過ごし方、生活や遊びの理解、そこでの人間関係など、多くのことを学んでいく。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × × ○ ○
5 × × × ○
人名を知らなくても、CとDの正誤が判断できれば解けると考える。
A:師弟制度ではなく、徒弟制、という翻訳が多い気がします。
B:伝統的参加学習ではなく、正統的周辺参加です。
C:適切な記述。
D:適切な記述。
【正解4】
問 10 次のA~Dのうち、保育における発達援助に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 小学校との連携では、遊びを主導的活動として展開する幼児期の生活と、学習を主導的活動として展開する児童期の教育とを、双方で内容的・方法的に工夫することによって接続を図る。
B 保育所の生活の中で協同遊びの経験を積み重ねておくことは、小学校における協同的な学びにつながっていくものである。
C 保育所保育を小学校教育への準備段階として捉えるのではなく、幼児期の教育と小学校の教育を相互に理解し、生かしあう視点をもつことが大切である。
D 一人一人の子どもに「どのような」支援や配慮が必要となるかについて、保育所で今までに蓄積された情報を保育所幼児保育要録として小学校に送付することが「保育所保育指針」に記されている。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×
読めば分かる問題。
A:要点は、工夫することによって接続を図る。適切ですね。
B:要点は、協同遊びの経験が協同的な学びにつながる。適切。
C:要点は、相互に理解し、生かしあう視点をもつ。適切。
D:保育所保育指針に保育所幼児保育要録を小学校に送るという記述はありません。
【正解1】
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