問題105 ブラッドショウ(Bradshaw, J.)のニード類型論に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 規範的ニードは,同じ特性を持つ別の人や地域などとの比較により明らかにされる。
2 規範的ニードは,「望ましい」基準との対比において,専門家や行政官などが存在を認めたニードを指す。
3 規範的ニードは,クライエントとの契約によってその内容が定まる。
4 比較ニードは,クライエントによって体感的に自覚される。
5 比較ニードは,その存在が社会的に認知されているニードを指す。
この聞き方(形式)は、問100と似ている。交差法に対するアンチテーゼであろうか。なお、知識としては、現代社会と福祉で学ぶ内容である。
1の説明は比較的ニードなので×。2は、ずばり○。3であるが、規範的ニードは契約によって内容を定めるものではない。×である。4は感得されたニードのことで×。5は規範的ニードに関するものなので×である。
【正解2】
問題106 事例を読んで,Q市にある地域包括支援センターのC社会福祉士が行う援助過程において,この段階における対応として,適切なものを2 つ選びなさい。
〔事 例〕
大震災から年月が経過し,V災害復興住宅では高齢化が進み,生活課題も多様化し,孤立してしまう住民が多い。そのため,V災害復興住宅内での住民同士の助け合い活動はほとんど行われていない。ある日,この地域を担当するD民生委員がC社会福祉士の下に相談に訪れ,「先週発生した孤立死のことが悔やまれ,民生委員として無力さを痛感している。もう二度とこのようなケースが起きないように一緒に考えてくれないか」と訴えた。
1 V災害復興住宅周辺の住民も一緒に,孤立死の背景について話し合う機会を持つ。
2 見守り支援活動をV災害復興住宅内の住民に任せる。
3 V災害復興住宅内の掲示板に見守り支援を受けたい人を募るチラシを掲示して様子を見る。
4 V災害復興住宅の全戸を対象とした訪問活動を行う。
5 D民生委員の負担に配慮し,担当地域を変更することを提案する。
事例を読んで素直に考える。問われているのは、「Q市にある地域包括支援センターのC社会福祉士が行う援助過程」における,社会福祉士の適切な対応である。
「この段階における対応」として適切なものを考えるのがポイント!
1はよさそうな感じ。〇ぽい。2の「~に任せる」という対応は×ぽい。3は悪くはないが、チラシの掲示のみで様子を見るのはやや十分な感じがする(高齢化も進んでいるし)。△。4はたいへんそうだが、対応としては適切であろう。〇ぽい。5は、Dからの申し出もないのに、このような提案をするのはおかしい。×ぽい。
【正解1,4】
問題107 ソーシャルワークの援助過程におけるソーシャルワーカーの役割に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 ブローカーは,クライエントと必要な資源を結び付ける。
2 エデュケーターは,クライエントと社会システムの不調和から生じるニーズに対して,葛藤を解決し,調整する。
3 ネゴシエーターは,クライエントに必要な情報やスキルを学習する機会を提供する。
4 イネーブラーは,クライエントの問題解決のために利害関係のある関係者と話し合う。
5 メディエーターは,クライエントに支援,励まし,指示を与えることで,適切に課題を遂行したり,問題解決をできるようにする。
あまり記憶にない問われ方であるが、選択肢はどれも基本事項である。
1は、ブローカー(日本でもよく使う)の意味がわかっていれば、これが〇かなという感じ。2は、educate(教育)から来ていると思われるので、3の説明部分とつながる。3のネゴシエーターは交渉という意味であり(日本語にもなっている)、×である。4は、
イネーブラーは、enable(人が~できるようにする)から来ている。
共依存の関係にあるようなケースで「
支え手」を意味する(例えば、アルコール依存症から抜け出せない夫を実は支えてしまっている妻のような存在がいるときに使う)。4は×である。5のメディエーターは知らないため自信を持って判断できなかった。
ソーシャルワークの機能
アドボカシー |
代弁的機能 |
イネイブラー |
側面的援助・支援機能 |
ブローカー |
仲介機能 |
マネジャー |
運営・管理機能 |
ガーディアン |
保護機能 |
ネットワーク |
媒介的機能 |
ファシリテーター |
状況・条件整備的機能 |
エデュケーター |
教育機能 |
イノベーター |
組織変革機能 |
メディエーター |
調停機能 |
モビライザー |
資源動員・開発機能 |
ネゴシエーター |
交渉機能 |
【正解1】
問題108 次の記述のうち,アイビイ(Ivey, A.)のマイクロ技法の基礎となっている「基本的かかわり技法」として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 クライエントにソーシャルワーカー自身の経験を開示する。
2 クライエントに活用可能な資源の情報を提供する。
3 クライエントに特定の行動を行うように指示する。
4 クライエントの言葉を言い換えてクライエントに返す。
5 クライエントの言葉で矛盾する点を指摘する。
「げっ」と感じる問題である。アイビイ(Ivey, A.)のマイクロ技法の基礎となっている「基本的かかわり技法」なんて知らないよと思ってしまうが、気を取り直して解く方法を考える。
肢を読んでいるとカウンセリングや面接の場面での対応を考えればよいのではないかと気づく。
各肢の中でカウンセリングの「技法」といえば、4のような言い換えが用いられることが多い。これが〇であろうか。少し自信はないが、
※アイビイ(Ivey, A.)のマイクロ技法は心理学の問題(㉘‐13)で出されたことがある。そこでは「開かれた質問」がテーマになっていた。
【正解4】
問題109 事例を読んで,児童養護施設のE家庭支援専門相談員(社会福祉士)の退所に向けた援助に関する次の記述のうち,適切なものを2 つ選びなさい。
〔事 例〕
児童養護施設に入所しているFちゃん(11 歳,女児)は,母親の引取り希望をはじめのうちは喜んでいた。しかし,週末の一時帰宅を繰り返すうち,母親と二人で暮らすことの不安をE家庭支援専門相談員に訴えるようになった。
1 E家庭支援専門相談員が方針を考えて決定するので,Fちゃんは心配しなくてよいと伝える。
2 Fちゃんが不安を訴えていることを児童相談所に報告し,今後の援助について連携を図る。
3 母親の意向を大切にするよう,Fちゃんを励ます。
4 家に帰る計画についてどうするかを一緒によく考えていこうとFちゃんに伝える。
5 今の不安は退所する時には誰でも感じることだから考えなくてよいと伝える。
問われているのは、「児童養護施設のE家庭支援専門相談員(社会福祉士)の退所に向けた援助」に関する対応である。
1は×だろう。2はいい感じ。〇ぽい。3はFちゃんのことに目が向けられていなくないか。×ぽい。4はいい感じ。〇ぽい。5は、×でしょう。
【正解2,4】
問題110 アウトリーチに関する次の記述のうち,適切なものを2 つ選びなさい。
1 支援を求めて相談室を訪れるクライエントを対象とする。
2 相談援助過程の援助開始時だけではなく,援助が始まった後も有効である。
3 慈善組織協会(COS)の友愛訪問員活動に起源を持つ。
4 所属機関のバックアップを必要としない対応方法である。
5 地域住民とのつながりの構築は不要である。
アウトリーチは、「援助者が利用者のもとに赴くこと」である。受験生には必須の知識である。正解して欲しい。
1は、明らかに×。2はそうだろうなという感じで〇ぽい。3はわからなければ△だが、「友愛訪問員活動」という用語にはマッチしている。4は、そんことはないだろうと突っ込みたくなる。×でる。5も同様におかしな記述であり×である。3で迷っても、消去法で答えはでる。
【正解2,3】
問題111 事例を読んで,G医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応についての次の記述のうち,適切なものを2 つ選びなさい。
〔事 例〕
G医療ソーシャルワーカーは,末期がんのHさん(54 歳)の主治医から,「患者と夫には,今後は積極的治療ではなく緩和ケアが望ましいことについて説明済みである。緩和ケアができる病院を探してあげてほしい」との電話を受け,Hさんの夫と初回面接を行った。夫は面談室に入るなり,「誰だあなたは。この病院はどうして病人を見放すんだ」と声を荒げた。
1 夫に対してその態度を改めるよう促す。
2 夫に病状の説明を行う。
3 夫の怒りを受け止め,気持ちを聴く。
4 夫との面談を切り上げ,夫以外のキーパーソンを探す。
5 ソーシャルワーカーはどのようなことを支援するのかについて説明する。
問われているのは、「G医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応」である。正解すべき問題である。
1は、×である。2は、医師の役割であり×である。3はいい感じで○。4は、ソーシャルワーカーとしての対応としては×であろう。5はいい感じで〇。
【正解3,5】