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17.保育の心理学(R元年-後期)1/4

問1 次のA~Eのうち、「保育所保育指針」第2章「保育の内容」2「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」(2)「ねらい及び内容」エ「言葉」の一部として、正しい記述を○、誤った記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A 親しみをもって日常の挨拶に応じる。 B 生活の中で必要な言葉が分かり、使う。 C いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。 D 絵本や紙芝居を楽しみ、簡単な言葉を繰り返したり、模倣をしたりして遊ぶ。 E 保育士等や友達の言葉や話に興味や関心をもって、聞いたり、話したりする。 (組み合わせ)   A B C D E 1 ○ ○ ○ ○ ○ 2 ○ × ○ ○ × 3 ○ × × ○ ○ 4 × ○ ○ × × 5 × ○ × × ○   年齢がポイントになっています。 1歳未満の乳児保育との混同はしにくい。3歳以上児との違いを中心に学習しよう。 以下、該当箇所引用。赤字が答え。
エ 言葉 経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。 (ア) ねらい ① 言葉遊びや言葉で表現する楽しさを感じる。 ② 人の言葉や話などを聞き、自分でも思ったことを伝えようとする。 ③ 絵本や物語等に親しむとともに、言葉のやり取りを通じて身近な人と気持ちを通わせる。 (イ) 内容 ① 保育士等の応答的な関わりや話しかけにより、自ら言葉を使おうとする。 ② 生活に必要な簡単な言葉に気付き、聞き分ける。 ③ 親しみをもって日常の挨拶に応じる。絵本や紙芝居を楽しみ、簡単な言葉を繰り返したり、模倣をしたりして遊ぶ。 ⑤ 保育士等とごっこ遊びをする中で、言葉のやり取りを楽しむ。 ⑥ 保育士等を仲立ちとして、生活や遊びの中で友達との言葉のやり取りを楽しむ。 ⑦ 保育士等や友達の言葉や話に興味や関心をもって、聞いたり、話したりする。 (ウ) 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。 ① 身近な人に親しみをもって接し、自分の感情などを伝え、それに相手が応答し、その言 葉を聞くことを通して、次第に言葉が獲得されていくものであることを考慮して、楽しい 雰囲気の中で保育士等との言葉のやり取りができるようにすること。 ② 子どもが自分の思いを言葉で伝えるとともに、他の子どもの話などを聞くことを通して 、次第に話を理解し、言葉による伝え合いができるようになるよう、気持ちや経験等の言 語化を行うことを援助するなど、子ども同士の関わりの仲立ちを行うようにすること。 ③ この時期は、片言から、二語文、ごっこ遊びでのやり取りができる程度へと、大きく言 葉の習得が進む時期であることから、それぞれの子どもの発達の状況に応じて、遊びや関 わりの工夫など、保育の内容を適切に展開することが必要であること。

【正解3】

問2 次の文において、ピアジェ(Piaget, J.)理論とその後の展開として( A )~( D )の用語が適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 ピアジェの理論に基づく(A 社会的構成主義)では、子どもが活動を通して知識を構成していくという能動性を重視する。主に物理的環境との相互作用を中心とする子ども個人の知的構成の理論である。発達の主体はあくまでも子ども自身である。子どもの内的な枠組みである(B シェマ)と環境が与える情報とのズレを解消することで認知発達が促される。これを(C 同化)と呼ぶ。 ある発達段階に到達した子どもは、物理的事象でも社会的事象でも、共通した思考が適応できるとされ、領域一般性と名付けられた。しかしその後、領域によって発達の様相が異なることが多くの研究から明らかになってきた。これは(D 領域特殊性)と呼ばれる。 (組み合わせ)   A B C D 1 ○ ○ × ○ 2 ○ × ○ × 3 × ○ ○ × 4 × ○ × × 5 × × × ○   理論が少し難解ですが、頻出事項かつ重要人物です。   A:社会的構成主義ではなく、構成主義だと思います。 B:正しい。 C:同化ではなく、調節です。 D:領域特殊性ではなく、領域固有性です。   

【正解4】

問3 次の文は、ヒトの出生時の特徴についての記述である。( A )~( E )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 哺乳類は、生まれた時は未熟で自分の力で動きまわることのできない( A )のものと、生まれた時からすでに成熟していて自力で移動することのできる( B )の二つに分類することもできる。 ヒトの場合は、胎児期から音声に反応して母親の声を聞き分けるなど、感覚や知覚の能力を有するが、運動能力が未発達な状態で生まれてくることから、( C )はこれを二次的( A )と呼び、( D )という考え方で説明した。つまり、人間は大脳の発達が著しいため、十分な成熟を待って出産することは体の大きさの問題から難しく、約( E )早く未熟な状態で生まれるといわれている。 【語群】 ア ローレンツ(Lorenz, K.)/ イ 2年 / ウ 離巣性 / エ 生理的早産 / オ 就巣性 / カ ポルトマン(Portmann, A.) / キ 放巣性 / ク ハーロウ(Harlow, H.F.)/ ケ 帰巣性 / コ 身体的早産 / サ 1年  (組み合わせ)   A B C D E 1 オ ウ ア エ イ 2 オ ウ カ エ サ 3 オ キ ア コ イ 4 ケ ウ ク エ サ 5 ケ キ カ コ サ   知識がない状態で解いてみよう。 Aは、オかケのどちらかです。自分の力で動きまわることができない、ということは帰ることはできないということです。巣に就くのは、巣で生まれた場合(基本的には巣で生まれる)動けなくてもできます。従って、どう考えてもオになります。 Bは、文脈から反対的・対立的な言葉が入ります。就くの反対は、離れる。就職・離職の例が分かりやすい。 これで、1か2に絞られました。 例え、人名を知らなくても、早く生まれたのが1年か2年のどちらかを当てれば良い事になります。 問題文を見て、知らないことが多くても諦めずに解答の糸口を探そう。 実際、私も知らないことはあったが、答えは出せた。

【正解2】

問4 次の記述に該当する理論として正しいものを一つ選びなさい。 ギブソン(Gibson, J.J.)が提唱した知覚理論であるが、より発展的に生態学的な立場から知覚の機能を論じている。それによれば、人は環境内にある情報を知覚し、それによって行動を調整していると考えている。例えば、いつも入り口が開いている部屋で保育をしていると、室外に出て行く子どもがみられるが、入り口を閉めておくと、室外へ出ていくことが少なくなる。このような子どもの行動は、環境によって適応的なものとなっている。 1 アニミズム論 2 生態学的システム論 3 自己実現論 4 アフォーダンス論 5 発生的認識論   平たく言うと、人は環境によって行動を変えているということ。 1:アニミズムとは、無生物も霊魂をもっているという世界観です。 2:生態学的システム論とは、ブロンフェンブレンナーの理論。様々なシステムが、発達しつつある子どもと相互に影響を与え合い、子どもはその影響を通して発達していくというもの。 3:自己実現論というのと、記述は合わないですね。これは日本語の知識でわかります。 4:正しい。 5:発生的認識論ピアジュが確立した考え方と言えます。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ ピアジュは次のようなことを言っています。「認識,特に科学的認識を,歴史や社会発生に基づいて,とりわけ認識の基盤になっている諸観念,諸操作の心理的起源に基づいて説明しようとするものである。」※ピアジュはちょっと難しい・・・。でも、保育士を目指すなら、是非!学んでおいて欲しい。

【正解4】

問5 次の文は、生活や遊びを通した学びに関する記述である。【Ⅰ群】の記述と、【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 【Ⅰ群】 A 相手の行動を観察し、その人の意図、期待、信念、願望などを理解するようになると、相手の行動を説明したり、予測したりするようになる。 B 文化的に規定され、ステレオタイプ化された知識で、日常的なできごとを理解したり解釈したりできるようになる。 C 内発的動機づけを構成する要素で、自分の知らないことに興味をもったり、興味をもったものを深く探究したりしようとする。 D ある行動をすると、特定の環境変化が引き続いて生じることに気付いて、その行動を繰り返し行うようになる。 【Ⅱ群】 ア 帰属理論     イ 心の理論   ウ モニタリング  エ スクリプト  オ 知的リアリズム  カ 知的好奇心  キ 観察学習    ク オペラント学習 (組み合わせ)   A B C D 1 ア ウ オ キ 2 ア エ オ ク 3 イ ウ カ キ 4 イ エ オ ク 5 イ エ カ ク   有名な理論もあれば、日本語的なものもある。 ア:帰属理論とは、ハイダー(Heider,F)提唱。あいまいな因果関係を特定の原因に帰属させることを帰属過程と言うが、帰属理論は、その帰属過程に関する理論の総称です。 イ:心の理論とは、Aの記述。 ウ:>モニタリングとは、福祉的にはプランに照らして状況把握を行い、決められたサービスや支援が約束どおり提供されているかどうかや利用者の満足度などを確認すること。心理学的にはセルフ・モニタリングという言葉がある。セルフ・モニタリングとは、自分の行動や他者に与えている印象を客観的に観察して、それを適切な状態に統制しようとすること。 エ:スクリプトとは、Bの記述。 オ:知的リアリズムとは、絵の世界で使われます。例えば、目に見えるように描くのではなく、自分で理解しているように描いたりすることです。レントゲン画法などが知られています。 カ:知的好奇心は、Cの記述。 キ:観察学習とは、自分では行動せずに他者の体験を見聞きすることによる学習。社会的学習とも呼ばれている。 ク:オペラント学習とは、Dの記述。

【正解5】

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