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17.保育の心理学(H31年-前期)1/4

問1  次の文は、人の発達に関する記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A 生涯の発達的変化に影響を及ぼす要因として、人生のなかで出会う重要な意味をもつ個人的出来事があげられる。 B 発達に関して、子どもが活動を通して知識を構成していくという能動性を重視した構成主義として、ピアジェ(Piaget, J.)の発達理論があげられる。 C 成長は身体面の形態・構造の量的変化をさすのに対して、発達は心理・人格面の質的変化をさすとされるが、その区別は厳密ではない。 D 発達には個人差があり、それには2種類の個人差を理解する必要がある。一つは個人間差であり、もう一つは個人内差であり、一般に個人差というと後者をさすことが多い。 (組み合わせ)   A B C D 1 ○  ○  ○  × 2 ○  ○  ×  × 3 ○  ×  ○  ○ 4 ×  ○  ×  ○ 5 ×  ×  ○  ○   発達に関する理論や人名を知らなくても解ける問題です。 Dが明らかに間違いですので、後はCが間違いかどうかを考えれば良いだけです。 A 重要な意味を持つ個人的出来事が発達的変化に影響を及ぼさない訳はありません。 B 正しい。ピアジュの理論は試験だけではなく、仕事や生活の上でも大切です。 C 心理・人格面の質的な変化を明確に区別するのは難しいと言えます。 D 個人差とは、基本的には個人間の差です。あまり難しく考えずに、✕としましょう。

【正解1】

問2  次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人名を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 【Ⅰ群】 A 生得的に内在する能力が、時期に応じて自然に展開し、発達すると考える。 B 発達は漸次的に展開すると捉え、乳児期から老年期に至る8つの発達期それぞれに危機があると考える。 C 発達を環境との相互作用として捉え、人を取り巻く環境を4つのシステムと考えた後に、時間の影響・時間経過をつけ加え、5つのシステムとした。 D 受胎から死に至る過程の行動の一貫性と変化を捉え、生涯発達の一般的原理や発達の可塑性と限界を明らかにした。 【Ⅱ群】 ア マッコール(McCall, R.B.) イ ゲゼル(Gesell, A.L.) ウ ブロンフェンブレンナー(Bronfenbrenner, U.) エ エリクソン(Erikson, E.H.) オ バルテス(Baltes, P.B.) (組み合わせ) A B C D 1 ア イ オ ウ 2 ア ウ エ オ 3 イ エ ウ ア 4 イ エ ウ オ 5 エ オ ア イ   理論から人名を探していくか、人名から理論を探すか、自分の得意な方で解いていきましょう。 心理学の理論は似たようなものもあり、正確に記憶するのが難しい、若しくは自分が読んだ参考書などと違った表現になっていたりすると分からなくなります。そこで、お勧めするのが数字に着目することです。 例えば、この問題では8、4、5が出てきます。 8つの発達期→これはエリクソンですね。 人を取り巻く環境を4つのシステム+時間の影響・時間経過をつけ加え、5つのシステム→ブロンフェンブレンナーです。 B=エ C=ウ 残念ながら、今回はこれで正解に辿り着けませんでしたが・・・ Aはゲゼル Dはバルテスです。

【正解4】

問3  次の文は、「保育所保育指針」第2章「保育の内容」3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」のイ「人間関係」の一部である。A~Eの文のうち、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。 B 周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする。 C 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。 D 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりがあることや、その大切さに気付く。 E 友達と楽しく活動する中で、共通の目的を見いだし、工夫したり、協力したりなどする。 (組み合わせ)   A B C D E 1 ○  ○  ○  ○  × 2 ○  ○  ×  ○  ○ 3 ○  ×  ○  ×  ○ 4 ×  ○  ○  ×  ○ 5 ×  ×  ×  ○  ×   保育所保育指針からの出題ですが、少し難しかったかもしれません。 保育所保育指針は、整理がしにくい内容になっています。時々、どこの部分の何を読んでいるのかが分からなくなりますね。再度整理しておきましょう。 この問題は、第2章「保育の内容」3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」のイ「人間関係」からの出題です。 まず、第2章「保育の内容」の1と2が何かを確認しましょう。 1「乳児保育に関わるねらい及び内容」、2「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」です。 次に、4や5がないかの確認。 4「保育の実施に関して留意すべき事項」で5はありません。 つまり、この問題は、1歳以上3歳未満児3歳以上児保育に関するねらい及び内容の違いが分かるかどうかという問題です。まさか、乳児と間違うことはないでしょうから。マーカーが答えです。 イ 人間関係 他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。 (ア) ねらい ① 保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。 ② 身近な人と親しみ、関わりを深め、工夫したり、協力したりして一緒に活動する楽しさ を味わい、愛情や信頼感をもつ。 ③ 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。 (イ) 内容 ① 保育士等や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。 ② 自分で考え、自分で行動する。 ③ 自分でできることは自分でする。 ④ いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。 ⑤ 友達と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共感し合う。 ⑥ 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。 ⑦ 友達のよさに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。 ⑧ 友達と楽しく活動する中で、共通の目的を見いだし、工夫したり、協力したりなどする。 ⑨ よいことや悪いことがあることに気付き、考えながら行動する。 ⑩ 友達との関わりを深め、思いやりをもつ。 ⑪ 友達と楽しく生活する中できまりの大切さに気付き、守ろうとする。 ⑫ 共同の遊具や用具を大切にし、皆で使う。 ⑬ 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみをもつ。 BとDの選択肢は、1歳以上3歳未満児のところに記述があります。 また、イは人間関係ですが、アは健康、ウは環境、エは言葉、オは表現です。各々、イと同様に(ア)ねらい、(イ)内容、(ウ)内容の取扱い、があります。解答に関係が無かったので、イの(ウ)内容の取扱いは省いています。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス 保育所保育指針は、第1章 総則 第2章 保育の内容 第3章 健康及び安全 第4章 子育て支援 第5章 職員の資質向上 と大きな見出しがあります。 更に、各章ごとに、1、(1)、ア、(ア)、① と細分化されていきます。①までが、最も細分化された箇所であり、アなどで細分化が終わる場合もあります。常に、どこの部分を読んでいるかを意識しましょう。

【正解3】

問4 次の文は、児童期から青年期の移行に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の適切な組み合わせを一つ選びなさい。 児童期から青年期に移行する第二次性徴が出現する時期は( A )とも呼ばれる。心理的には、一般に児童期の( B )傾向から、( C )傾向への準備が始まる。その基底に親からの( D )があり、精神的独立に向かって歩みだすが、その不安定さと葛藤は、しばしば反抗として現れる。 【語群】 ア 潜伏期  イ 心理的離乳  ウ 自己に基準をおく  エ 仲間に基準をおく  オ 経済的自立  カ 思春期 (組み合わせ)   A B C D 1 ア ウ エ イ 2 ア エ ウ オ 3 カ ウ エ イ 4 カ ウ エ オ 5 カ エ ウ イ   思春期の特徴として自我同一性はよくいわれます。 Aの候補は、潜伏期か思春期になりますが、常識的に思春期となります。 次にDが心理的離乳か経済的自立の選択ですが、一般的に思春期と言われる時期は学校に通っている人がほとんどで経済的に自立しているわけではないので、心理的離乳になります。 BとCが迷いますが、自我という言葉に注目すると仲間→自己という流れになると思います。

【正解5】

問5  次の文は、固定遊具での遊びに関する記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A 固定遊具に複数の幼児が集まると、動きの速さや回数を競ったりして互いに刺激し合いながら遊ぶ姿が見られる。数の限られた遊具では、順番に並んだり、交代したりすることを経験することにもなり、体を動かして遊びながら、人との関わりを学ぶことができる。 B 固定遊具のある園庭は、全園児が使用する共有スペースである。そのため、使い方や遊び方については、幼児と保育士が相互に話し合うことも必要である。 C 固定遊具は他の遊具や用具と組み合わせて使ったり、ごっこ遊びなどのイメージを取り込むことで遊びを広げていくことができる。その一方で、黙々と逆上がりに取り組んでいる幼児もおり、固定遊具での遊びの楽しさは一人一人異なる。 D 固定遊具の高い所で押し合うなど、保育士からは危ないように見えても、幼児は友達の様子や状況を考えながら行動している。そのため、声をかけずに見守ることが大切である。 (組み合わせ)   A B C D 1 ○  ○  ○  × 2 ○  ○  ×  ○ 3 ○  ×  ○  ○ 4 ×  ○  ×  ○ 5 ×  ×  ○  ×   自主性と安全の問題と言えます。 A 記述の通り。/B 記述の通り。/C 記述の通り。 D 自主性は大切かもしれませんが、これほどの危険な状態を見守るだけでは保育士としての責務を果たしたとは言えません。高い所から落ちるということは、重大な事故に繋がります。取り返しのつかない事態になりますね。

【正解1】

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