問題 115 バイステック(Biestek,F.)による援助関係の原則に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 非審判的態度の原則とは、問題・課題に対してクライエントが負う責任についてワーカーが承認・非承認を決定することである。
2 自己決定の原則とは、クライエントが問題解決の方向などを自分で決める権利とニードをもっていることをワーカーがしっかりと認識し、クライエントの判断を促し、尊重することである。
3 統制された情緒的関与の原則とは、クライエント自らの情緒的感情を意識化することである。
4 意図的な感情表出の原則とは、クライエントの感情を大切にし、クライエントが特にその否定的感情も自由に表現できるよう、ワーカーが促すことである。
5 秘密保持の原則とは、他の個人の権利が侵書される場合においてもクライエントの密は保持されることである。
1は×である。
非審判的態度の原則」とは、クライエントを一方的に非難したり、判断したりしないことである。㉙問106、㉞問116参照。
2は〇である。
「クライエントの判断を促し、尊重すること」という自己決定の核となる部分が含まれており、前半部分も特に問題はない。
3は×である。
統制された情緒的関与とは、ソーシャルワーカーが、自らの感情を自覚し、適切にコントロールしてクライエントに関わることをいう。㉟問104肢2、㉞問116肢2参照。
4は〇である。
意図的な感情表出の原則とは、クライエントのありのままの感情を大切にし、その表出を促すことである。㉞問116肢2参照。
5は×である。
他人の権利が侵害される場合には、秘密保持の義務が解除される場合もある(社会福祉士法46条参照)。㉜問91肢2、㊱問91肢2参照。
正解2,4
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
バイステックの援助関係の原則は、過去問で繰り返し問われているテーマであり、どの参考書にも掲載されていると思われる。確実に正解したい問題であるが、本試験では答えを1つしか選ばずに間違えた人も意外にいたのではないだろうか。
問題 116 事例を読んで、A相談支援事業所のB相談支援専門員(社会福祉士)がCさんや同僚とともに取り組んだ実践として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Bは、担当するCさん(35歳)から相談を受けた。D市に住むCさんは難病で重度訪問介護を利用しており、自宅から外出することは難しい状態である。Cさんはパソコンスキルには自信があるが、在宅の重度の障害者には就労の機会がほとんどないことをBに訴えた。Bは、同僚とともにCさんと同様の重度の障害がある人達の自宅を訪問して話を聞いた。そして、Cさんらとともに重度障害者の就労の機会を増やしていくことについて行政に協力を呼び掛けた。
1 パーソナライゼーション
2 リファーラル
3 ソーシャルアクション
4 スクリーニング
5 アウトリーチ
1は×である。
パーソナライゼーションとは、法律に基づいて提供されるサービスの場合であれ、私費で利用するサービスの場合であれ、支援を受けるすべての人が、支援の形についての選択をし、統制することができることである(平岡公一(2012)「イギリス社会福祉における国と地方の関係」参照)。本問のCについて、パーソナライゼーションが実践されている形跡はない。
2は×である。
リファーラルとは,支援が望まれると判断された人々を,地域の関係機関等が支援提供機関などに連絡し,紹介することである(㉝問111肢4参照)。この事例で、リファーラルが用いられた形跡はない。
3は〇である。
ソーシャルアクションは、社会福祉制度やサービスの新設・改善を目指して行われる組織的な行動およびその方法である。事例では、BがCらとともに「重度障害者の就労の機会を増やしていくことについて行政に協力を呼び掛けた」との部分がソーシャルアクションに該当する。㊱問108肢4、㉝問117、㉙問35参照。
4は×である。
スクリーニングには、「審査」「選考」「ふるい分け」といった意味がある。ソーシャルワーカーが、ケースに対応できるかどうか判断することである。事例には、スクリーニングが行われたことをうかがわせる事情は書かれていない。㉝問111肢5、㉚問109肢1、㉙問110肢3参照。
5は〇である。
アウトリーチは、外に向かって手を差し伸べることである。ソーシャルワークでは、支援が必要であるにもかかわらず届いていない人に対し、行政や支援機関などが積極的に働きかけて情報・支援を届けるプロセスである。Bが同僚と一緒にCと同様な「重度の障害がある人達の自宅を訪問して話を聞いた」行動がアウトリーチに該当する。㉟問36肢4、㉟問109、㉜問35、㉛問110参照。
正解3,5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
肢1のパーソナライゼーションは、初登場と思われる。知らない用語や馴染みのない用語が登場したときこそ、基本的知識、自分にとって確かな知識を最大限利用するようにすべきである。
ソーシャルアクションとアウトリーチは、受験生であれば知っておくべきことであり、事例の中から該当する部分を見つけることも容易である。なお、受験勉強では、その他の用語の意味も合わせて押さえておくこと。
問題 117 ソーシャルワーカーの面接技法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1「明確化」によって、クライエントはワーカーから賞賛されたと理解する。
2「閉ざされた質問」によって、クライエントは面接における応答の自由度を逆に高める。
3「共感的応答」によって、クライエントはワーカーの持つ価値認識を理解する。
4「要約」によって、クライエントは今までの面接で自分の語った内容の整理を行う。
5「焦点化」によって、クライエントは面接で触れたくないテーマを回避することが可能となる。
1は×である。
明確化されたからといって、クライエントがワーカーから賞賛されたと理解するとは限らない。反対に、非難されたと感じる場合もあり得る。
2は×である。
閉ざされた質問の場合、答えは限定されていることから、クライエントの応答の自由度は下がると考えられる。㉟問129肢1、㉙問108肢1参照。
3は×である。
共感的理解とは、クライエントの世界を、あたかもソーシャルワーカーも体験したかのように理解することである(㊱問106肢1)が、共感的応答がなされたからといって、クライエントがワーカーの持つ価値認識を理解するとまではいえない。
4は〇である。
選択肢の中では、これが最もしっくりくる内容である。
5は×である。
焦点化によって、クライエントは、触れたくないテーマに直面せざるを得ない場合もあり得る。㊱問118肢4、㉟問106参照。
正解4
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
選択肢の内容が、これまでにない聞き方のものになっている。哲学的に考えて深みにはまらないように注意する必要がある。1や5のように、明らかに不適切なものを早めに除外して、残った選択肢を比較する。そして、最も適切なものを選ぶ。
問題 118 事例を読んで、事例分析の視点から見て、クライエントのAさんに関する 事例検討会における参加者からの発言のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
地域の居宅介護支援事業所がケアマネジャーを対象とした定例の事例検討会を開 催した。事例提供者のB居宅介護支援事業所のCケアマネジャーから、一人暮らしのAさん(85歳)の事例が報告された。CケアマネジャーはAさん宅を訪問した際、近隣住民から「Aさんは約2か月前からゴミ収集のない日にごみ出しをしている」「自分の部屋がわからなくなりマンションの管理人が何度も付き添って帰宅している」という話を聞いていることを参加者に報告し、今後の支援について参加者に意見を求めた。
1「Aさんについて近隣住民が困っていることをヒアリングしてはどうでしょうか」
2「Cケアマネジャーは、Aさんの強みや状態をどのように捉えていますか」
3「まずは、マンションの管理人にAさんの今後についての考えを聞いてみてはいかがでしょうか」
4「一人暮らしの継続は難しいので、グループホームの利用を促してはどうでしょうか」
5「Aさん自身は、今の状況についてどのようにお考えなのでしょうか」
近隣住民へのヒアリングによって新たな課題が見つかる可能性があるが、本件の事例分析そのものからは離れてしまう。
2は〇である。
この事例分析は、Aのために行われているものであるから、参加しているCケアマネに、Aの強みや状態についての見解を聞くことは、適切といえる。
3は×である。
肢1で述べたのと同様に、マンションの管理人の考えを聞くことによって、新たな課題が見つかる可能性があるが、本件の事例分析そのものからは離れてしまう。
4は×である。
Aの意向を確認することなく、一人暮らしの継続は難しいと判断して、グループホームの利用を促すことは、悪しきパターナリズムといえる。
5は〇である。
事例検討会は、Aの現在の生活に焦点を当てて、その問題点や改善点を明らかにするものであるから、A自身が今の状況についてどう考えているのかを聞くことは適切といえる。
正解2,5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
「事例分析の視点から見て」をどう解釈すべきかで、迷った受験生がいたと思われる。ここでは、Aの事例検討会における事例分析ということに着目し、事例分析は、Aの現在の生活の状況、問題点、改善点を明らかにするために行うものというふうに捉えて、解説を作成している。
なお、問題を解くという観点からは、4が不適切であることは容易にわかる。残る選択肢を分類すると、本人の意思や状況を明らかにするための2・5のグループと周囲の人の意見を聞く1・3のグループにわかれることがわかる。それをもとにして、Aの事例検討会における発言として、より適切なものはどちらなのかと考えることも可能である。
問題 119 事例を読んで、A社会福祉士が事例検討を行う際に配慮すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
B市高齢福祉課のAは、ある日後輩のC相談員(社会福祉士)から「最近複雑な生活課題を持っているクライエントへの対応に苦慮しているので、事例検討の場を設けてほしい」と依頼を受けた。
1 クライエントも含めて参加者を組織する。
2 参加者は、Cと同じ経験年数の者で構成する。
3 時間にとらわれずに、結論が出るまで検討する。
4 Cが事例報告をする際には、資料を活用せず口頭で行う。
5 Cが他の参加者からのコメントに防衛的にならないようにする。
1は×である。
クライエントが複雑な生活課題を持っていること、Cが対応に苦慮していることを考慮すると、参加者にはクライエントを含めない方が良いと考えられる。
2は×である。
Cと同じ経験年数の者だけで構成すると、活発な議論が行われなくなる可能性がある。
3は×である。
時間に制約を設けないことは現実的に厳しいであろう。
4は×である。
資料を活用せずに口頭のみで行うと、事例を正確に理解できなくなる可能性が高い。なお、資料を用いたからといって、秘密保持義務に違反するわけではない。
5は〇である。
A社会福祉士が事例検討を行う際に配慮すべきこととして、選択肢の中では、もっともしっくりとくる内容である。
正解5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
類題に㉞問107があるが、事例をもとに具体的に考えさせる本問の方が、難易度が高い。選択肢を素直に検討すれば、5が最も適切であることに気づけるはずである。

