16.認知症の理解(R2年-第33回)2/2
問題 82 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)に関する次の記述のうち,適切なものを 1つ選びなさい。
1 脳伷塞(cerebral infarction)が原因である。
2 初発症状は記憶障害である。
3 けいれんがみられる。
4 人格変化がみられる。
5 誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)の合併が多い。
レビー小体型認知症と言えば幻覚幻聴が特徴的です。この問題は典型的で分かりやすい症状ではないものになっています。
知らない人が多かったのではないでしょうか。WEB等で解説を読んでもあまり出てきません。ただ、レビー小体型認知症のもう一つの特徴を考えると納得できます。他の認知症にはなく、レビー小体型認知症にあるものは不随意運動です。この不随意運動により誤嚥をしやすいと考えれば良いでしょう。
【正解5】
問題 83 Bさん(80 歳,女性,要介護 2 )は, 1 年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)の診断を受け,服薬を継続している。同居の息子は日中不在のため,週に 3 回,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し,訪問介護員(ホームヘルパー)と共に活発に会話や家事をしていた。不眠を強く訴えることが増えたため, 1 週間前に病院を受診したときに息子が主治医に相談した。その後,午前中うとうとしていることが多くなり,飲水時にむせることがあった。歩くとき,ふらつくようになったが,麻痺はみられない。バイタルサイン(vital signs)に変化はなく,食欲・水分摂取量も保たれている。
訪問介護員(ホームヘルパー)のBさんと息子への言葉かけとして,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 「日中は横になって過ごしたほうがよいでしょう」
2 「歩行機能を保つためにリハビリを始めませんか」
3 「嚥下障害が起きてますね」
4 「処方薬が変更されていませんか」
5 「認知症(dementia)が進行したのでしょう」
訪問介護員の方はピンときたのではないでしょうか。表現の仕方が分かり難いのですが、最も疑われるのは薬の飲み忘れか、薬の飲み過ぎです。
4が答えになっていますが、「服薬がちゃんとできているか確認してみましょう。」というのが良いような気がします。
【正解4】
問題 84 認知症(dementia)の原因疾患を鑑別するときに,慢性硬膜下血腫(chronicsubdural hematoma)の診断に有用な検査として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 血液検査
2 脳血流検査
3 頭部CT検査
4 脳波検査
5 認知機能検査
血が溜まっているかどうかを画像で確認します。
【正解3】
問題 85 認知症(dementia)に伴う注意障害に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 周囲から物音が聞こえてくると,食事を中断したままになる。
2 毎日,同じ時間に同じ行動をする。
3 旅行の計画を立てることが難しい。
4 話そうとすることを言い間違える。
5 介護職員から説明を受けたことを覚えていない。
注意障害とは、他の刺激に関心が移りやすく、一つのことに集中できなくなるような障害です。注意障害の用語の意味を選択する問題です。
【正解1】
問題 86 Cさん(87 歳,男性,要介護 5 )は,重度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)である。現在,介護老人福祉施設に入所しているが終末期の状態にある。できる限り経口摂取を続けてきたが,誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を繰り返し,経口摂取が困難となった。臥床状態が続き,声かけに対する反応も少なくなっている。医師から,「死が極めて近い状態である」と伝えられた。施設で看取ることになっているCさんへの介護福祉職の対応として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 離床している時間をつくる。
2 会話によって本人の希望を聞く。
3 事前指示書を作成する。
4 苦痛があるかないか,状態を観察する。
5 本人の好きな食事を用意する。
平時のQOLの向上とは違った対応になります。
死が極めて近い状態ですので、離床、希望は時間軸が長すぎます。好きな食事を摂る段階でもなさそうです。
この様な状態では、苦痛の減少とこころの安らぎ等への配慮になります。
【正解4】
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