問題 91 意見表明等支援事業などに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 意見表明等支援員は、子どもの未熟さを補い、専門知識に基づいて児童を指導するものである。
2 児童福祉に関する知識等を有する者が、児童の意向などを勘案して、児童相談所等の関係機関と連絡調整を行う。
3 児童養護施設等に入所中の児童、里親委託中の児童、一時保護中の児童は、この事業の対象である。
4 児童相談所の児童福祉司は、意見表明等支援員とは別に、単独で児童の意見を聴取することを控えなければならない。
5 児童養護施設の職員や里親は、児童の最善の利益を考慮して、意見表明等支援員に対して、養育についての自分の意見は述べないことが望ましい。
1は×である。
2は〇である。
意見表明等支援事業の内容として適切だと推測できる内容である。
3は〇である。
事業の名称からして、すべての児童を対象にしても良いと推測できる。
4は×である。
児童相談所の児童福祉司が、必要なときには単独で児童の意見を聴取すべきであるし、そのことは児童の意見表明の支援にもつながると推測できる。
5は×である。
児童養護施設の職員や里親は、児童の身近にいる存在であり、児童の最善の利益を考慮するのであれば、養育についての自分の意見を述べた方が、意見表明等支援に資すると推測できる。
正解2,3
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
意見表明等支援事業の詳細を知らなくても、児童の自発的な意見表明が行えるように支援していくものだろう程度の推測はできる。そして、児童の意見表明の支援として望ましいと考えられるかどうかという観点から、選択肢の適否を判断していく。
問題 92 事例を読んで、A市子育て支援課が最優先すべき初期対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Bさん(3歳)は、保育所を利用しているが、週1回も登園していない。父親は病気がちで仕事が続かず、母親は精神疾患があり自宅で寝ていることが多いため就労が難しく、家族は経済的に困窮している。Bさんはまだ発語がなく、このまま発育が遅れていくことを保育所は懸念している。Bさんがめずらしく登園した日、何日も入浴していないことに気づいた保育所は、Bさんがいる間にA市の虐待通告窓口にもなっている子育て支援課へ連絡し、ネグレクトの懸念を伝えた。
1 保育所に児童相談所へ通告するよう、働きかける。
2 保育所に児童発達支援センターと相談するよう、助言する。
3 緊急の受理会議を行い、Bさんが保育所にいる間に複数の職員で訪問し、児童の状況を把握する。
4 児童相談所へ連絡し、一時保護するように要請する。
5 保育所に父母への生活保護制度の情報提供を依頼する。
1は×である。
もし、児童相談所へ通告する必要がある状況であれば、A市子育て支援課が自ら行うべきであろう。
2は×である。
これも肢1と同様に消極的過ぎる対応である。
3は〇である。
事例の内容からして、速やかに状況を把握する必要がある。
4は×である。
A市子育て支援課は、まだ状況を十分に把握できていない。この段階では、一時保護の要請よりも、状況の把握を優先すべきである。
5は×である。
Bの家庭は生活保護が必要な状態かもしれないが、情報提供するのであれば、A市子育て支援課が行う方が良いであろう。また、最優先すべきはBの状況の把握であり、5 < 3といえる。
正解3
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
問われているのは、「A市子育て支援課が最優先すべき初期対応」であることを確認し、事例と選択肢を照合しながら解く。
最も適切なものを選ぶことが求められている。すぐに不適切だと判断できるもの、例えば、1や2は除外する。その上、残った肢を比較して、最も適切なものを選ぶ。
問題 93 事例を読んで、Aさんの状況を踏まえ、B市子育て支援課がAさん親子の支援のために、この時点で危機介入として速やかに連携すべき機関・施設として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(32歳)から、これまでも「夫(35歳)から繰り返し暴言を浴びせられ、時に暴力を振るわれている。どうしたらよいか悩んでいる。夫から逃れたい」という相談を受けてきた。ある日「もう限界です」という訴えがあった。Aさんは、4歳の子を帯同しており、子には母親をかばう様子もみられる。Aさんの家庭は夫の収入によって生計を立てているが、その収入はほとんど夫が管理しており、Aさんは手元に所持金が全くない状況である。Aさんは、子とともに生活したいと望んでいる。B市子育て支援課は緊急受理会議を行った。
1 児童養護施設
2 母子生活支援施設
3 B市の女性相談支援員
4 女性自立支援施設
5 女性相談支援センター
1は×である。
「Aさんは、子とともに生活したいと望んでいる」から、児童養護施設は不適切である。
2は×である。
母子生活支援施設は、さまざまな事情の母親と子どもに対して、生活の安定のための相談や援助を行いながら、自立を支援する施設である(㉟問137参照)。A親子のために連携すべき施設として悪くないように思われるが、本問の「危機介入として」は、根本的な問題解決を目指すのではなく、当面のストレス反応を緩和する短期的な支援を指していると考えられる(危機介入アプローチ参照)。そのため、まずは専門機関との連携を取る方が適切だということになる。
3は〇である。
女性相談支援員とは、困難な問題を抱える女性に対して心理的、社会的、法的なサポートを提供する専門職である。従来は「婦人相談員」と呼ばれていたが(改正前の売春防止法34~36条)。2024年4月に施行された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」により、名称が変更された。
4は×である。
肢3について書いたことと同じ理由により、危機介入として速やかに連携すべき機関・施設としては適切ではないことになる。なお、女性自立支援施設は、困難な問題を抱える女性の心身の回復と自立を支援するための施設であり、DV被害者の一時保護施設としても位置付けられている。かつての婦人保護施設が、新たに女性自立支援施設として定義し直されたものである(女性支援新法12条参照)。窓口は、各都道府県に設置されている女性相談支援センターである。
5は〇である。
肢3と肢4の解説参照。女性相談センターは、女性からのさまざまな相談に応じているほか、配偶者からの暴力で悩んでいる人のための支援も行う機関である(女性支援新法9条)。
正解3,5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
本問は、悩んだ受験生が多かったと思われる。それは「危機介入として」をどう解釈するか、事例におけるA親子の状態をどう把握するか、問題の「連携すべき機関・施設」に拘泥すべきかが関係していると考えられる。ここでは、危機介入アプローチを参考にして解説をまとめている。
問題 94 事例を読んで、市で子育て相談を担当するA職員(社会福祉士)が保護者に伝える内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aのもとに保護者から下記の相談があった。3歳児健診の際に医師から発達に課題があるかもしれないと指摘され、専門医を受診したところ、軽度の発達障害(自閉スペクトラム症)と診断された。しかし両親ともに発達障害や障害児福祉サービスについての知識がなく、不安だとのことだった。両親はともに常勤の会社員で、子どもは現在保育所を利用している。
1 障害児福祉手当の受給が可能である。
2 保育所の利用はできなくなる。
3 児童発達支援の利用が可能である。
4 放課後等デイサービスの利用が可能である。
5 医療型障害児入所施設への入所が可能である。
1は×である。
障害児福祉手当は、精神または身体に重度の障害がある20歳未満の子どもに支給される手当である(㉝問53肢5参照)。当該子どもは、軽度の発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されているので、本肢は不適切である。
2は×である。
軽度の発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されたとしても、保育所の利用ができなくなるわけではない。本肢は、常識的におかしいと判断して欲しい。
3は〇である。
児童発達支援とは、児童発達支援とは、障害児につき、児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに集団生活への適応のための支援その他の内閣府令で定める便宜を供与し、又はこれに併せて児童発達支援センターにおいて治療(上肢、下肢又は体幹の機能の障害(以下「肢体不自由」という。)のある児童に対して行われるものである(児童福祉法6条の2の2第2項)。
4は×である。
放課後等デイサービスとは、学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう(法6条の2の2第4項)。㉛-問141、㉞問117参照。当該子どもは小学校就学前と考えられるので、本肢は不適切である。
5は×である。
医療型障害児入所施設とは、入院による医療が必要な、肢体不自由のある児童、重度の知的障害及び身体障害が重複している児童、自閉症の児童が利用できる施設である(㉞問141参照)。医療型とつくことから、軽度の発達障害(自閉スペクトラム症)しか有しない当該子どもには適用がないと判断できる。
正解3
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
個別には、判断に迷う肢もある。事例から子どもの特徴を把握した上で、選択肢から最も適切なものを選ぶ。その際、子どもの年齢、障害の内容と、選択肢に書かれている制度、施設の名称から、適切か不適切かを判断する。
問題 95 こども基本法に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 「こども」について、18歳に満たない者と定義されている。
2 「こども施策」には、子育てに伴う喜びを実感できる社会の実現に資するため、就労、結婚、妊娠,出産、育児等の各段階に応じて行われる支援が含まれている。
3 基本理念の一つとして、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく 与えられることとされている。
4 都道府県は、こども大網を勘案して、都道府県こども計画を定めなければならない。
5 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者の通告義務が明記されている。
1は×である。
子ども基本法において、「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう(法2条1項)。年齢についての要件はない。なお、児童福祉法4条参照。
2は〇である。
法2条2項参照。
3は〇である。
子ども施策は、全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること、を基本理念として行わなければならない(法3条2号参)。
4は×である。
都道府県こども計画を定めるよう努めるものとする(10条1項参照)。ちなみに、市町村こども計画の策定も努力義務である(同条2項)。
5は×である。
子ども基本法という法の名称からして、含まれていないと考える方が素直であろう。また、そのように考えても、児童虐待防止法があるので不都合も生じない。
正解2,3
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
こども基本法という名称から、1のように子どもの定義は細かく規定されているとは考えにくいし、5のような虐待の通告義気のような詳細な規定が設けられていることも想定しづらい。よって、1と5は消去できる。また、2は、内容から考えて適切だと判断して良いだろう。残る3と4については、知識がないと迷うであろう。
問題 96 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(女性支援新法)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 本法成立前までは、配得者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に 婦人相談所や婦人保護施設が規定されていた。
2 本法における困難な問題を抱える女性とは、障害及び社会的障壁により継続的に 日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある女性を指す。
3 都道府県は、厚生労働大臣が定めた困難な問題を抱える女性への支援のための施 策に関する基本的な方針に即して、基本的な計画を定めることができるとされている。
4 都道府県は、女性相談支援センターを設置しなければならない。
5 都道府県は、困難な問題を抱える女性を入所させて、その保護及び支援を目的する女性自立支援施設を設置しなければならない。
1は×である。
本法成立前までは、売春防止法に婦人相談所や婦人保護施設が規定されていた。
2は×である。
「困難な問題を抱える女性」とは、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活又は社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性(そのおそれのある女性を含む。)をいう(法2条)。なお、この条文を知らなくても、「困難な問題」を選択肢の説明のように解する必要性がないことは判断できるのではないだろうか。説明は、障害者基本法2条の障害者の定義規定をもとにしたものである。
3は×である。
都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県における困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画(以下この条において「都道府県基本計画」という。)を定めなければならない(法8条)。
4は〇である。
法9条参照。
5は×である。
都道道府県は、女性自立支援施設を設置することができるとされている(法12条)。すなわち、設置は義務ではない。
正解4
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
1と2が誤りであることは、判断できると思われる。これに対し、3,4,5は義務なのか、義務ではないのか(≒任意、努力義務)を聞いており、知識がないと判断しづらい。

