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12.ソーシャルワークの理論と方法(R7年2月-第37回)2/2

問題 75 ソーシャルワークの事後評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントが望んだ場合においてモニタリングの前に行う。
2 クライエントの状況の変化に応じて行う。
3 ワーカーがクライエントのプランニングに至る前に行う。
4 結果評価の他、クライエントの主観的な満足度や支援者の関わり方について行う。
5 クライエントの希望や望みを聞き、エンゲージメントのプロセスに基づいて行う。

1は×である。
事後評価は、援助が終了した際やひと段落した際などに、これまで行った援助過程について、結果を判定し、欠点や未来予測、それにくわえて今後の改善点を当事者とともに検討するものである。これに対し、モニタリングは、援助が継続している際に行うものなので、本肢は不適切である。
2は×である。
クライエントの状況の変化に応じて行うのは、モニタリングまたは再アセスメントである。
3は×である。
アセスメントについての説明である。
4は〇である。
㊱問105肢5参照。
5は×である。
エンゲージメントは、インテーク(受理面接)とほぼ同じものと考えてよい。本肢は、事後評価とは相容れない内容である。㉚問116肢5参照。

正解4

問題 76  コノプカ(Konopka,G.)の提唱したグループワークの原則に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 メンバー個々に新しい体験を付与することよりも、過去の体験を重視する。
2 援助者が積極的にプログラムに参加し、メンバーの問題を解決する。
3 グループ活動のルールを決め、メンバーの成長を阻害する場合には制限を設ける。
4 メンバー個人の相違点、及び当該グループが他のグループとは違う特徴をもつグループであることを認識するために個別化を行う。
5 メンバー間の相互作用の中で生じる葛藤は、表面化しないように働きかける。

1は×である。
経験の原則では、人間関係をもつことやものごとを成就することにおいて,多くの新しい経験を与えることとされている。
2は×である。
援助者は、メンバー間の協力関係の促進、問題解決過程へのメンバー自身の取り組みをサポートする存在である。
3は〇である。
制限の原則についての説明である。
4は〇である。
グループ内での個別化、グループの個別化についての説明である。
5は×である。
㊱問109肢3、㉚問113肢2参照。

正解3,4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
コノプカ(Konopka,G.)は,グループワークの14の原則を示し,治療教育的グループワークの発展に貢献した。
(㉝問113肢2参照)。
14の原則は以下の通り。
①グループ内での個別化
②グループの個別化
③メンバーの受容
④ワーカーとメンバーの援助関係の構築
⑤メンバー間の協力関係の促進
⑥グループ過程の変更
⑦参加の原則
⑧問題解決過程へのメンバー自身の取り組み
⑨葛藤解決の原則
⑩経験の原則
⑪制限の原則
⑫プログラムの活用
⑬継続的評価
⑭グループワーカーの自己活用
個々の内容については、各自のテキストで確認しておくこと。コノプカについては、㉝113で出題されているが、個々の原則については、解説で取り上げた過去問の中で出題されているものがある。

問題 77事例を読んで、地域活動支援センターのA社会福祉士がBさんの家族と面談を行った時点で用いた方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  〔事例〕
Aは、複数の利用者家族から子どもの自立と今後についての心配があるという声を聞くことが多くなった。このことから、家族同士が不安を話し合い。将来の子どもの生活について考えるグループワークを行うことにした。Aは、その一環として開催前に参加を決定した利用者家族と個別面談を行った。面談の際、利用者Bさんの母親は「皆さんになじめるか不安です」と話した。AはBさんの母親がグループに期待していることや不安に感じていることを聴いた。

1スクリーニング
2波長合わせ
3アイスブレイク
4集団規範の形成
5リーダーシップ

1は×である。
ソーシャルワークの過程では、ソーシャルワーカーがケースに対応できるかどうかを判断することを指す。㉝問111、㉚問109、㉘問115参照。本問では、グループワークを行うことは決まっているので、事例の面談はスクリーニングではないといえる。
2は〇である。
波長合わせとは、メンバーがどのような思いや感情を持ってグループの場面にやってくるのかを,援助者があらかじめ理解しておくことである。準備期で行われる。㊱問109、㉙問115参照。
3は×である。
アイスブレイクとは、研修やワークショップ、グループワークなどでの緊張をほぐすために、リラックスする時間を設けることである。
4は×である。
集団規範の形成は、作業期に問題となるものである。また、面談の内容からも集団規範の形成は誤りと判断できる。㉚問113参照。
5は×である。
面談の内容から、リーダーシップは誤りと判断できる。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
グループワークにおける波長合わせの意味を知らないと1と2のいずれを選ぶべきか決めかねたと思われる。

問題 78事例を読んで、A相談支援事業所のB相談支援専門員が新任のC相談支援専門員に行ったスーパービジョンについて、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Bは,一人暮らしのDさん(60歳)からCが不在中に電話を受けた。「担当のCに体調が良くないことを話したら、病院に付き添うから明日一緒に行こうと言ってくれたんですが、先週から保険証(マイナンバーカード)が見あたらなくて病院に行けないんです。明日も無理だと思うので断りたい」というものであった。Dさんを担当しているCに伝えると「Dさんは、昨日会った時にどうして言ってくれなかったんだろう」と落ち込み、どうしたらよいかわからない様子だった。Bは、Cにスーパービジョンを行った。

1 「DさんがCに話せなかったことをCはどう思っていますか」
2 「Dさんの安心のために保険証(マイナンバーカード)を一緒に探してあげてください」
3 「Cのような悩みはよくあることなので、あまり気にしすぎないようにしましょう」
4 「Dさんと約束した時の状況について詳しく聞かせてもらえますか」
5 「私が対応した類似事例を話すので、同じように対応してみましょう」

1は〇である。
Cは、Dが自分と会ったときに話してくれなかたったことを訝しんでいるので、その理由はC自身に考えさせることは教育的機能を有している。
2は×である。
BからCへの具体的な指示であり、スーパービジョンとはいえない。
3は×である。
Cは今後どのように援助を進めていったら良いのかについて悩んでいるが、Bの「あまり気にしすぎないようにしましょう」というのは、援助の進め方について考察を促すものとはなっておらず、スーパービジョンとはいえない。
4は〇である。
Cの悩みについて、一緒に原因を考えようとするものであり、スーパービジョンとして適切である。
5は×である。
これも肢3と同様に、BからCへの指示に近い内容であり、スーパービジョンとしては適切ではない。㊲問67肢参照。

正解1,4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
スーパービジョンの事例問題は、問67でも出題されている。類似した問題に、㉞問113がある。

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