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11.低所得者に対する支援と生活保護制度(H30年-第31回)

問題63  低所得者の状況などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 「平成26 年全国消費実態調査 所得分布等に関する結果」(総務省)によると,1999 年(平成11 年)から2014 年(平成26 年)にかけて,貧困かどうかを判断する貧困線(等価可処分所得の中央値の半分の額)が上昇している。 2 「平成26 年所得再分配調査報告書」(厚生労働省)によると,2002 年(平成14 年)から2014 年(平成26 年)にかけて,所得再分配後のジニ係数は上昇傾向にある。 3 「平成28 年度被保護者調査」(厚生労働省)によると,2012 年度(平成24 年度)から2016 年度(平成28 年度)にかけて,世帯類型別被保護世帯数のうち母子世帯の割合は上昇している。 4 「生活困窮者自立支援制度における支援状況調査集計結果(平成29 年度)」(厚生労働省)によると,新規相談受付件数は年間30万件を超えている。 5 「平成29 年度医療扶助実態調査」(厚生労働省)によると,医療扶助受給者の入院に係る傷病分類別構成割合のうち最も多いのは精神・行動の障害である。   知識がないときつい。推論して、できる限り肢を絞る。  1は、1999年以降一貫して貧困線が上昇しているかには疑問がある。途中でリーマンショックもあったし。×ぽい。2は「所得再分配後のジニ係数」を聞いている。何もしない段階では上昇傾向にあるとしても、所得再分配後はそれなりの手当てをしているだろうから、上昇傾向とまではいえないのではないだろうか。3は、高齢世帯の増加に加え、少子化もあるので、母子世帯の割合が上昇している可能性は低いと思われる。×ぽい。4は知らないと△。5も知らないと△。 最近の動向は資料室でチェックしよう

【正解5】

問題64  現在の生活保護の基準に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 生活保護基準は, 3 年に1 回改定される。 2 生活保護基準は,財務大臣と厚生労働大臣の連名で改定される。 3 生活保護に係る施策との整合性に配慮して,地域別最低賃金が決定される。 4 生活扶助基準は,マーケット・バスケット方式によって設定される。 5 生活保護基準に連動して,障害基礎年金の水準が改定される。   生活保護基準に関する問題である。少々細かい選択肢だが、基本事項なので正解して欲しい。 1は知らなければ△。2は厚生労働大臣が改定するので×である。3は、あってもよさそうな内容であるが、自信がなければ△。4は、いつの時代の話なんだと突っ込んで欲しい。×である。5は知らなければ△。1は、仮に事実ならどこかで目にしていてもよい内容である。しかし、見聞きしたことがないので、×であろう。3と5は良く似た内容である。どちらがより適切かと考えると、3のほうではないだろうか。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップアップ‼ 保護基準の区分は所在地別に定められている。生活様式や物価の違いによる生活水準の差に対応するため、全国の市町村を6区分の級地に分類。 生活保護基準は、5年に1回検証し、見直される。前回の改定は2018年。 生活扶助基準は、毎年改定される水準均衡方式の考え方を踏まえ、消費動向を基にしている。これは、一般国民の消費水準と生活扶助基準の均衡を図るためである。

【正解3】

問題65  生活保護の扶助の種類とその内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 介護扶助には,介護保険の保険料は含まれない。 2 生業扶助には,就職のための就職支度費は含まれない。 3 葬祭扶助には,遺体の検案のための費用は含まれない。 4 生活扶助には,小学生の子どもの校外活動参加のための費用が含まれる。 5 教育扶助には,小中学校への入学準備金が含まれる。   生活保護の扶助の内訳に関する問題である。過去問でも違う形で出題されており、知っておくべき内容である。 1が〇である。後は、馴染のない感じの出題が多く、積極法で解いて正解して欲しい問題である。 類似の問題を利用してしっかりチェック

【正解1】

問題66  事例を読んで,生活保護における扶養義務者との関わりについて,最も適切なものを1つ選びなさい。 〔事 例〕 Kさん(67 歳)は,福祉事務所で生活保護の申請をした。Kさんには長年音信不通の息子(40 歳)がいる。福祉事務所は息子の居住地を把握し,Kさんに対する扶養の可能性を検討している。   1 息子が住民税非課税であっても,息子はKさんに仕送りをしなければならない。 2 Kさんは,息子と同居することを条件に生活保護を受給することができる。 3 福祉事務所は,息子の雇主に対して給与について報告を求めることができない。 4 感情的な対立があることを理由に息子が扶養を拒否した場合,Kさんは生活保護を受給することができない。 5 福祉事務所は,息子が仕送りを行った場合,その相当額を収入として認定する。   おもしろい形式の問題である。生活保護における「扶養義務者」について、基本的知識をもとに推論する。  1は住民非課税でも息子という理由だけで仕送りをさせるのは無茶である。×である。2は、同居を受給の要件としているが、そんな決まりはない。×である。3は、一見もっともらしいが、果たしてどうか。迷うなら△にして次に進む。4が正しいと仮定すると、Kさんは生活保護を受給できず困るであろう。×だと推論できる。5は、仕送りのうち相当額を収入として認定できるというものである。これが〇だろう。3で迷うとしても5のほうがより正しい感じがするであろう。
ソーシャルワンカーと一緒に ステップアップ‼ 資料の提供等(生活保護法第29条) 保護の実施機関及び福祉事務所長は、必要があると認めるときは、官公署、日本年金機構若しくは国民年金法に規定する共済組合等に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求めることができる。また、銀行、信託会社、雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。 (一部改編)

【正解5】

問題67  社会福祉法に定める福祉に関する事務所(福祉事務所)の組織と業務に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 福祉事務所の指導監督を行う所員及び現業を行う所員は,都道府県知事又は市町村長の事務の執行に協力する機関である。 2 現業を行う所員は,援護,育成又は更生の措置を要する者の家庭を訪問するなどして,生活指導を行う事務をつかさどる。 3 厚生労働大臣の定める試験に合格しなければ,社会福祉主事になることができない。 4 福祉事務所の長は,福祉事務所の指導監督を行う所員の経験を5 年以上有した者でなければならない。 5 福祉事務所の指導監督を行う所員及び現業を行う所員は,社会福祉主事でなくてもよい。   一見、基本事項に関する問題のようだが、少し嫌な感じの問題である。 1は知らなければ△。2も知らなければ△。3は×である。社会福祉主事は任用資格に過ぎない。4は知らなければ△。5は社会福祉主事であることが必要なので×。(過去問㉗-69参照)。1,2,4を比較する。4のような制限は聞いたことがなく、テキストにも掲載されていない。おそらく×であろう。1の所員が都道府県知事又は市町村長の事務の執行に協力する機関というのも変な感じである。×ぽい。(過去問㉗-69参照)2は特に問題になるようなところもなく無難な記述である。 類似の問題を利用してしっかりチェック

【正解2】

問題68  事例を読んで,L相談支援員(社会福祉士)の支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。 〔事 例〕 夫と死別したT市在住のMさん(39 歳)は,長男(14 歳)とアパートで生活している。Mさんは長男の高校進学を考え,パート勤務をしているが生活が苦しく,安定した生活を望んでいる。そこでMさんは,T市の生活困窮者自立相談支援事業を実施している市役所のL相談支援員に相談した。   1 Mさんの生活が苦しいので,給料を上げるよう勤務先の店長にお願いした。 2 長男の中学校の学級担任に相談内容を記載した相談記録票を見せて,家庭の状況を説明した。 3 公共職業安定所(ハローワーク)のキャリアコンサルティングに従事する職員と協働してMさんを支援することにした。 4 婦人保護施設への入所を勧めた。 5 住居確保給付金の利用を勧めた。   社会福祉士の基本的な姿勢を問う問題である。この手の問題は落としたくない。 1は、絶対にしそうもない内容である。また、それをしても何になるのだろうか。×である。2も何のためにするのかという疑問が湧く。×ぽい。3は、あってもよいであろう。△にして次に進む。4はいきなり婦人保護施設へ入所させるか、という疑問が湧く。また、Mの状況に照らし合わせても疑問である。×ぽい。5は、良さそうな内容である。3と5を比較してもより適切なものを選ぶ。5の住居確保給付金は、「生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)第5条に基づき、離職又は自営業の廃業(以下「離職等」という。) により経済的に困窮し、住居を喪失した方又は住居を喪失するおそれのある方を対象に、家賃相当額(上限あり)を支給する制度」である。 本問では、住居を失う可能性等、住居喪失の事情はうかがわれないので、3を選ぶのが最も適切となる。 ここはポイント

【正解3】

問題69  生計困難者に対する無料低額宿泊所に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 食事を提供することができない。 2 生活保護法の住宅扶助を利用することができない。 3 事業開始に当たっては,都道府県知事の許可を受けなければならない。 4 第二種社会福祉事業である。 5 運営することができるのは,社会福祉法人及びNPO法人に限定されている。   世間では問題になることの多い無料低額宿泊所であるが、試験問題に出題されるということの意味は果たして・・・ 1の食事の提供を禁じる理由がみあたらない。×ぽい。2の住宅扶助を利用してはいけない理由は見当たらない。×ぽい。3は知らないと悩むところ。ただし、許可を必要とすること自体はあってもよいであろう。4は、第2種社会福祉事業とすることはあってもよいであろう。5のように主体を制限する理由はあるにせよ弱いので、×ぽい。知識がないと3か4で迷うであろう。

【正解4】

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