問題 64 次の記述のうち、社会福祉士及び介護福祉士法において社会福祉士が努めなければならないと規定されていることとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会福祉士の信用を傷つけるような行為をしないこと。
2 福祉サービス関係者等との連携を保つこと。
3 相談援助に関する知識及び技能の向上を行うこと。
4 正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秋密を漏らさないこと。
5 常にその者の立場に立って誠実にその業務を行うこと。
1は×である。
信用失墜行為の禁止は、義務である(社会福祉士及び介護福祉士法45条)。
2は×である。
連携も義務である(同法47条)。
3は〇である。
資質向上については、「努めなければならない」とされている(同法47条の2)。
4は×である。
秘密保持は、義務である(同法46条)。
5は×である。
誠実にその業務を行わなければならない(同法44条の2)。
正解3
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
㉛問91で出題されている。何となく見た記憶があるが、明確に違いを覚えていなかった人も多かったであろう。
「社会福祉士が努めなければならないと規定されている」ものを選ぶ問題だが、選択肢を読んでいると、法律上、そうしなければならないのか、あるいは、そうするように努めなければならないと規定されているのかが問われているのだろうと推測できる。 この観点から選択肢のうち、そうするように「努めなければならない」と規定されていても許されそうなものを選べばよい。
問題 65 「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年)におけるソーシャルワークの知(Knowledge)に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 ソーシャルワークの理論的基盤及び研究は、専ら医学の知見に基づいて構成されている。
2 ソーシャルワークの研究と理論の独自性は、閉鎖性と応用性にある。
3 人々と作り上げてきたソーシャルワークの知は、それぞれの国や各地域においても、また国を越えて普遍的に、それぞれの形で、より適切に実践されることになる。
4 ソーシャルワークの知は、西洋の理論や知識を根拠としたものであることが期待されている。
5 多くのソーシャルワーク研究と理論は、サービス利用者との双方向性のある対話的過程を通して共同で作られている。
(注)「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」とは、2014年7月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。
1は×である。
「専ら医学の知見に基づいて」構成されているはずがない。
2は×である。
閉鎖性ではなく、開放性である。
3は〇である。
㉝問92肢4参照。
4は×である。
グローバル定義は、従来の考えが西洋の理論や知識を根拠としていることへの反省から生まれた。㉜問92肢1参照。
5は〇である。
㉟問92肢4参照。
正解3,5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
消去法で解いた方が解きやすい。
問題 66 事例を読んで、A社会福祉士の発言の基盤となっている考え方を提示した 人物として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
地域活動支援センターで指導員として勤務するAが、地域自立支援協議会の実務者会議に出席したところ、管轄地域内における今後の生活支援の方向性を問われた。そのため、日頃の相談支援活動を踏まえて「私は、障害のある方々の様々な活動が価値ある役割として、社会に認められていくための取組を、私たちはこれからも続けていくことが大切だと思います」と発言し、出席者から賛同を得た。
1 バンクーミケルセン(Bank-Mikkelsen, N.)
2 ニイリエ(Nirje, B.)
3 ソロモン(Solomon,B.)
4 ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger, W.)
5 バンクス(Banks,S.)
1は×である。
バンクーミケルセンは、ノーマライゼーションの生みの親である。Aの発言とまったく無関係とはいえないが、やや遠い。
2は×である。
ニイリエは、ノーマライゼーションの育ての親である。障害のある人の生活をそうでない人の生活に近づけるための提言をしているが、Aの発言は、障害のある人の活動そのものが価値ある役割として社会に認められていくための取組みを強調しているので、やや遠い。
3は×である。
ソロモンは、エンパワメントアプローチの提唱者である。Aの発言は、エンパワメントアプローチとも異なる。
4は〇である。
Aの発言は、ヴォルフェンスベルガーの提唱したソーシャル・ロール・バロリゼーションを基盤にしていると推測することができる。
5は×である。
バンクスは、ソーシャルワークを現代社会の一部分として最定位した。
正解4
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
ノーマライゼーションに関わる3人の人物が登場しているが、ヴォルフェンスベルガーのソーシャル・ロール・バロリゼーションについてきちんと押さえていた人は少なかったのではないだろうか。
それに加えて、本問では、なじみの薄いバンクスが登場しているため、悩んだ受験生が多かったと思われる。
問題 67 事例を読んで、被保護者との関係に苦慮するA現業員に対する査察指導員B(社会福祉士)のスーパービジョンの助言として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
C福祉事務所の査察指導員Bは、生活保護を担当して1年目のAから、単身世帯のDさん(70歳)への対応について相談を受けた。Aによると、Dさんは、Dさんの誤解によるトラブルから近隣とのつきあいはほとんどなく、買い物以外は家に閉じこもっている。私(A)が訪問すると毎回のように「あなたも近所の人たちと同じだ。あなたの話もわからない。福祉は困っている人を助けるためにあるはずだ。なのに、なぜ、もっと自分を助けてくれないのか」と言われる。内容を尋ねるも具体的なことはわからず、どのように応答してよいのか困っているとのことであった。
1 「家庭訪問でのDさんとのやりとりを振り返ってみましょう」
2 「話し相手がいる近隣のサロンを紹介すると伝えてみましょう」
3 「日頃の生活をご近所の方々に尋ねることについてDさんから了解を得てください」
4 「他の事例を適用してDさんへの対応を検討してみましょう」
5 「生活保護担当者としての業務と役割について、一緒に確認してみましょう」
1は〇である。
このやりとりは、教育的機能を果たすものである。
2は×である。
BからAへのアドバイスであり、スーパービジョンの助言として適切ではない。
3は×である。
BからAへの指示であり、スーパービジョンの助言として適切ではない。
4は×である。「
他の事例を適用して」考えることについて、Aが自ら気づけるようなかかわり方がより望ましいと思われる。
5は〇である。
一緒に考えることにより、教育的機能だけでなく、管理的機能、支持的機能も果たしうる助言になっている。
正解1,5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
スーパービジョンの助言として、適切なものを選ばないといけないので、Bの発言が教育・管理・支持の機能を果たしているのかを考えなら読む。
迷う肢があれば、比較して決める。2・3<4<1・5と感じられれば、正解である。
問題 68 アメリカにおける初期のセツルメントに関する次の記述のうち、最も適切 なものを1つ選びなさい。
1 「施与ではなく友人を」を掲げて友愛訪問活動を行った。
2 貧困を社会的・経済的な問題として捉えた。
3 ケーススタディを通して貧困状態にある人の救済を行った。
4 援助の効率化を図るために「援助に値する貧民」を選別した。
5 シカゴにはトインビーホールが設立された。
1は×である。
慈善組織協会(COS)に関する記述である。
2は〇である。
3は×である。
慈善組織協会(COS)に関する記述である。
4は×である。
慈善組織協会(COS)に関する記述である。
5は×である。
トインビーホールは、バーネット夫妻によって、ロンドンの貧民地区イースト・エンドに設立された。シカゴに設立されたのは、アダムス,Jのハル・ハウスである。
正解2
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
ソーシャルワークの発展に寄与した慈善組織協会(COS)とセツルメントについての問題である。
問題 69 ドルゴフ (Dolgoff, R.)らによって提示された倫理原則に関する姿の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 平等と不平等に関する倫理原則では、同じ環境に置かれている人には誰に対しても同じように対応しなければならない。
2 プライバシーと守秘義務に関する倫理原則では、全ての人が自らのプライバシーと守秘義務を強化しなければならない。
3 自律と自由に関する倫理原則では、全ての人々の生活の質を高めるような選択肢を選ばなければならない。
4 最小限の害に関する倫理原則では、あらゆる人の生活や生命を守らなければならない。
5 誠実と情報の開示に関する倫理原則では、クライエントへの関連の有無に関係なく、全ての情報を伝えなければならない。
(注) 「ドルゴフ (Dolgoff, R.)ら」とは、2009年にEthical Decisions for Social Work Practice (8th ed.)を著したドルゴフ、ローウェンバーグ (Loewenberg,F.M.)とハリントン(Harrington,D.)のことである。
1は〇である。
2は×である。
「全ての人が」という部分が不適切である。
3は×である。
「全ての人々の」という部分が不適切である。
4は×である。
「あらゆる人の」という部分が不適切である。
5は×である。
「クライエントへの関連の有無に関係なく」という部分が不適切である。
正解1
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
ドルゴフについては、倫理的ジレンマの対応に関する倫理的原則のスクリーンが有名であるが、本問は、ドルゴフが挙げている7つの倫理的原則の内容を問うものとなっている。
詳細について押さえていた受験生は少なかったと思われる。問題を解くうえでは、例外を認めないような極端な言い回しになっている部分に着目して、各選択肢の正誤を判断するがよい。

