1. 人間の尊厳と自立(R2年-第33回)
問題 1 人権や福祉の考え方に影響を与えた人物に関する次の記述のうち,正しい
ものを 1つ選びなさい。
1 リッチモンド(Richmond, M.)は,『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』をまとめ,現在の社会福祉,介護福祉に影響を及ぼした。
2 フロイト(Freud, S.)がまとめた『種の起源』の考え方は,後の「優生思想」につながった。
3 マルサス(Malthus, T.)は,人間の無意識の研究を行って,『精神分析学入門』をまとめた。
4 ヘレン・ケラー(Keller, H.)は,『看護覚え書』の中で「療養上の世話」を看護の役割として示した。
5 ダーウィン(Darwin, C.)は,『人口論』の中で貧困原因を個人の人格の問題とした。
このような問題の場合は、人物と著書などが選択肢の中で入れ替わっていることが多いと言えます。上から順番に考えていくのではなく、自信のあるものから除いていきましょう。
私の場合は順番に、ダーウィン-『種の起源』、フロイト-『精神分析学入門』、マルサス-『人口論』で除きやすいです。
選択肢の中で、ヘレン・ケラーに対応するものはなく、『看護覚え書』はナイチンゲールです。もちろん、リッチモンド-『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』の一択が自信を持ってできる人は、そのまま選択をしても大丈夫です。
【正解1】
問題 2 自宅で生活しているAさん(87 歳,男性,要介護 3 )は, 7 年前に脳伷塞
(cerebral infarction)で左片麻痺となり,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用していた。Aさんは食べることを楽しみにしていたが,最近,食事中にむせることが多くなり,
誤嚥を繰り返していた。誤嚥による緊急搬送の後,医師は妻に,「今後も自宅で生活を続けるならば,胃ろうを勧める」と話した。妻は仕方がないと諦めていたが,別に暮らしている長男は胃ろうの造設について納得していなかった。長男が実家を訪れるたびに,Aさんの今後の生活をめぐって口論が繰り返されていた。妻は訪問介護員(ホームヘルパー)にどうしたらよいか相談した。介護福祉職の職業倫理に基づく対応として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 「医療的なことについては発言できません」
2 「医師の判断なら,それに従うのが良いと思います」
3 「Aさん自身は,どのようにお考えなのでしょうか」
4 「息子さんの気持ちより,一緒に暮らす奥さんの気持ちが優先されますよ」
5 「息子さんと一緒に,医師の話を聞きに行ってみてください」
不適切な対応を除いていき、判断が難しいもののどちらかを選ぶという解答の仕方になると思います。
1:これでは相手の気持ちに寄り添っていませんし、アドバイスにもなっていません。
2:医師の判断について意見が分かれているわけですので、これも良くないです。
3:本人の意思の尊重をしています。「これかな」という感じです。
4:審判的態度と言えますし、息子の意見を無視して強硬な姿勢を取った場合、家族仲が余計に悪くなるのは目に見えています。
5:これは悪くないと思いますが、最も適しているのは3ということになります。
【正解3】
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