8.福祉行財政と福祉計画(R元年-第32回)

問題42 地方公共団体に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 特別区を設置できるのは, 都に限定されている。
2 都道府県が処理する社会福祉に関する事務は, 機関委任事務である。
3 中核市の指定要件として, 人口数は50 万以上と定められている。
4 広域連合は, 介護保険事業に関する事務を処理できないとされている。
5 政令指定都市は, 婦人相談所を設置することができる。
 
嫌な感じの問題である。
1は、知らないと自信を持って答えられない。△にして次に進む。2は×である。機関委任事務はすでに存在しない。3は、知らないと自信を持って答えられない。△にして次に進む。4は×である。広域連合は, 介護保険事業に関する事務を処理できる。5は、どうか。政令指定都市のレベルであれば、婦人相談所を「設置することができる」としても問題はないであろう。常識に考えて問題はない。1と2と比べれば、5を選ぶのが無難であろうか。
2と4については、基本的知識に属するといってよいだろう。1は、2012年に成立した「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に関わる。同法第3条は「地方自治法第281条第1項の規定にかかわらず、総務大臣は、この法律の定めるところにより、道府県の区域内において、特別区の設置を行うことができる。」と定めており、住民投票等の一定の手続きを踏み、総務大臣が認可をすれば道府県においても特別区を置くことができるようになった。これを知っていれば×とできるが、どの位の人が押さえていたであろうか。3の「中核市」については、5で「政令指定都市」という言葉が目に入った段階で、50万人以上は「政令指定都市」の要件ではなかったかと思い出した(推測した)人もいたと思われる。中核市は人口20万人以上である。過去問で問われたことがある。

【正解5】

問題43 次の社会福祉施設等の費用のうち, 法律上, 国が4分の3を負担することになっているものとして, 正しいものを1つ選びなさい。
1 救護施設の入所措置に要する費用
2 養設老人ホームの入所措置に要する費用
3 婦人相談所の行う一時保護に要する費用
4 母子生活支援施設の母子保護の実施に要する費用
5 児童養護施設の入所措置に要する費用
 
これも知識としてはやや細かめの問題である。ただ、発想を変えれば、それらしいものは見つかる。
本問は㉚-問44の焼き直しともいえよう。
本問では、「国が4分の3を負担する」ものが問われている。この数値を見て、生活保護費の負担割合が4分の3であることを思い出せればしめたものである(㉚-問44参照)。選択肢の中で生活保護法上の施設は1の「救護施設」のみである。おそらくこれが正解かなと推論できる。

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
実際の給付やサービス提供にかかる費用の財源に関する問題は過去問でもよくでている。この他のものについても、財源の構成はまとめて比較しながら覚えるようにした方が記憶しやすい。がんばれ!

【正解1】

問題44 「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち. 正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち, 民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では, 生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では, 扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では, 児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では, 人件費の割合が最も高い。
 
結構細かい知識を問う問題だあり、また細部を覚えていなければ本問を解くのは難しい。
2018年の直前講座のテキストには載せておいたし、解説としても触れたものである。
なぜかというと過去問に関連するものがあるからである。もっとも、深追いせずに、本問を正攻法で解くのをさっさと諦めた人は正しい選択だったと思う。
1の地方公共団体の目的別歳出純計で最も高いのは民生費である。よって×である。2の都道府県の目的別歳出で最も高いのは民生費なので、本肢は×である。3の都道府県の性質別歳出で最も高いのは人件費なので、本肢は×である。4の市町村の目的別歳出で最も高いのは民生費である。その理由は、市町村では、児童福祉生活保護に関する事務の比重が高いためである。5の市町村の性質別歳出で最も高いのは扶助費なので、本肢は×である。

【正解4】

問題45 次の計画のうち, 定めたとき, 又は変更したときに内閣総理大臣に提出しなければならないものを1つ選びなさい。
1 都道府県介護保険事業支援計画
2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画
3都道府県障害福祉計画
4都道府県老人福祉計画
5都道府県子ども・子育て支援事業支援計画
 
本問の知識を直接に有していなくても、そこから推論して5を選んだ人はかなりいたと思われる。
いずれも「都道府県~計画」となっている。選択肢を見ながらヒントがないかを探してみる。
ここで5の子ども・子育て支援計画の基本指針は内閣総理大臣が定めていること、あるいは子ども・子育て本部が内閣府に置かれていることを思い出せればいい。選択肢の計画のうち、定めたとき、または変更したときに内閣総理大臣に提出しなければならないものは5の都道府県子ども・子育て支援事業支援計画である。
福祉に関する政策、制度の多くは、厚生労働省の所管である。しかし、子ども・子育てについては、内閣府が主導していることは、標準的な参考書には掲載されている(㉚-問46も参照)

【正解5】

問題46 次の各計画の策定を規定している法律に, 計画の実績について評価を行うと明記されているものを1つ選びなさい。
1 市町村自殺対策計画
2 市町村介護保険事業計画
3 市町村障害者計画
4 市町村子ども・子育て支援事業計画
5 市町村老人福祉計画
 
「計画の実績について評価を行うと明記されているもの」を選ばないといけないのだが、知らなければ選択肢にある計画を眺めながら考えて解くしかない。
いずれも「市町村~計画」となっている。いずれも市町村が制定する大切な計画ではあるが、計画の実績について評価を行わなければならないものはどれであろうか。この中で社会保険方式を採用しているのは2の介護保険だけであり、かつ市町村は保険者として自ら保険料を設定して運営していく立場にある。このとこから、計画の実績についてもきちんと評価をしなければいけないとは考えられないだろうか。

【正解2】

問題47 福祉計画に関して,1990年(平成2年)の福祉関係八法改正より以前の記述として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 「エンゼルプラン」が策定された。
2 障害福祉計画が障害者自立支援法に規定された。
3 社会福祉施設緊急整備5か年計画が策定された。
4 「新ゴールドプラン」が策定された。
5 地域福祉計画が社会福祉法に規定された。
(注)1 「エンゼルプラン」とは.「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」のことである。
2 「新ゴールドプラン」とは,「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略」のことである。
 
知識がないと解けないが、時代背景も考慮にいれながら解いていけば、かなり絞れるであろう。
いずれも標準的なテキストには載っており、過去問でも一度は見たことがあるものである。
1の「エンゼルプラン」は1990年(平成2年)の福祉関係八法改正よりも後のことなので×。2の障害者自立支援法の制定は2000年よりも後のことなので×である。3は知らないと悩む。△にして次に進む。4は、1990年(平成2年)頃にゴールドプランができことを知っていれば、新ゴールドプランはそれよりも少し後のことなので×と判断できる。5の社会福祉法は2000年にスタートした法律である(これは過去問でも何度か問われている)。よって×である。以上から、消去法で3を選べる。 

【正解3】

問題48 第7期介護保険事業計画(2018年度(平成30年度)開始)に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 地域包括支援センターが, 創設されることになった。
2 市町村が実施主体となる地域支援事業が開始された。
3 介護保険事業計画が, 初めて地域包括ケア計画と位置づけられた。
4 「基本指針」において, 医療法に規定される医療計画との整合性を確保することの重要性が明記された。
5 第7期の第一号被保険者の保険料が全市町村で引き上げられた。
(注) 「基本指針」とは,「介設保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(平成30年3月13日厚生労働省告示第57号)のことを指す。
 
2018年改正法の知識がなくても、推論である程度までは肢を絞れる。
介護保険法の改正は3年ごとである。注意して欲しいのは、改正年と施行年を混同しないことである。
1の地域包括支援センターの創設は、2006年の話であり、本肢は×である。2の市町村が実施主体となる地域支援事業の開始は、2015年である(2018年までの3年間は経過期間とされた)。本肢も×である。3は、知らなければ△にして次に進む。4は、知らなければ△にして次に進む。5は、「全」市長村でという部分がひっかかる。このように「すべての」という記述がある肢は×であることが多い。保険料の設定は保険者である市町村が決めることなので、引き上げなかったところもあった可能性はある。×ぽい。以上から3と4に絞ることができる。
3であるが、2015年改正法のポイントが地域包括ケアシステムの構築だったことからすると、介護保険事業計画が初めて地域包括ケア計画と位置づけられたのは2015年(あるいはそれよりも前)ではないかと推測した人もいたと思う。そう推測できた人は、消去法で4を選んだであろう。あるいは、2018年改正に注意していた人は、積極法で4を選べたかもしれない。ただ、4の「医療法に規定される医療計画との整合性を確保する」ことは以前から言われていたことであり、その重要性が「基本指針」に明記されたのが2018年ということはないだろうと考えた人が多かったと思われる。

【正解4】