8.社会的養護(H31年-前期)2/2
問6
次の文は、施設職員に求められるソーシャルワークの援助技術に関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。
1 ケースワークとは、地域にあるニーズや生活問題の解決のために、サービスの開発や組織化を図り、住民が主体的に問題解決に取り組めるようにする技法である。
2 アウトリーチとは、支援において他領域の専門的知識や技術を要するときに、他の専門職から助言を受けることである。
3 ソーシャルアクションとは、福祉ニーズの充足のために、社会環境の改善や制度等の創設・改善等を目指して、市民・組織・行政等に働きかける技法である。
4 ネットワーキングとは、複合的な問題を抱える利用者の生活上のニーズを充足させるため、適切な社会資源と利用者を結びつけ調整する技法である。
5 ソーシャル・アドミニストレーションとは、意図的なグループ体験やメンバー相互の関係を活用して、個々の力を高め問題解決するための対人援助技術である。
正しい選択肢を選ぼうとすると迷走する可能性あり。消去法で解答すべき問題です。
1のケースワークは、個別的なものであり、「地域にあるニーズ」の解決と直接的に関係するものではありません。
2のアウトリーチとは、積極的に対象者の居る場所に出向いて働きかけるというニュアンスであり、他の専門職から助言を受けることではありません。
4のネットワーキングとは、様々なものをネットワーク化するという働きです。適切な社会資源と利用者を結びつけ調整するならば、特定の社会資源だけを活用するというニュアンスになります。
5のソーシャル・アドミニストレーションとは、ソーシャル・サービスを研究,教育するというニュアンスです。アドミニストレーションの直訳は、統治、管理などです。意図的なグループ体験やメンバー相互の関係を活用することではありません。
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
ケースワークとは、様々な人が定義づけていますので、ケースワーク=なになに、という明確な等式があるわけではありません。これは、他の用語に関しても同様です。一方で、ソーシャルワークに関しては、一般的に、2014年7月IFSW(国際ソーシャルワーカー連盟)でまとめられた「グローバル定義」が採用されている。
【正解3】
問7
次の文は、「社会的養護自立支援事業」に関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。
1 この事業が対象とする年齢は、年度末の時点で 26 歳までの者である。
2 対象となる者は、里親等への委託や、児童養護施設等への入所措置の経験がない在宅で生活している者を含んでいる。
3 実施主体は、市町村に限定されている。
4 継続支援計画は、原則措置解除後に作成することとされている。
5 この事業を行う際には、生活相談支援担当職員を配置することとされている。
難しい問題ですね。この問題は落としてもやむを得ないかなと思います。
1 原則22歳の年度末までです。大学卒業までというニュアンスです。ただ、疾病等やむを得ない事情による休学等で22歳を超えて支援されることもあります。
2 対象となる者は、里親等への委託・措置経験者です。
3 実施主体は、都道府県、指定都市、児童相談所設置市です。
4 字の意味が示す如く、継続支援ですので解除後から行われるというわけではありません。
【正解5】
問8
次の文は、「社会的養護関係施設における親子関係再構築支援ガイドライン」(平成 26 年3月 厚生労働省 親子関係再構築支援ワーキンググループ)に記された「家庭支援専門相談員に求められる技術」の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
親とのコミュニケーションにおいて、家庭支援専門相談員に求められる技術は、「受容」「( A )」「傾聴」である。虐待を行ったため、否定されている親の持ついろいろな思いを「受容」や「( A )」することで、親との( B )を作り出されることが支援の大きな伴となる。親を( C )するという姿勢も大切である。その前提としてそれぞれの親たちが持っている困難を乗り越える力を正しく評価し伝えると共に、かかわりを通じて更に前向きな力に変容できるよう支援することが重要である。その支援において大切なことが積極的な「傾聴」である。
【語群】
ア 指示 / イ 共感 / ウ 信頼関係 / エ 愛着関係 / オ エンパワメント / カ 指導
(組み合わせ)
A B C
1 ア エ オ
2 ア オ カ
3 イ ウ オ
4 イ エ カ
5 カ ウ オ
仮に、ガイドラインを読んでいなかったとしても、問題文を読んで十分に正解が推測できると思います。正解して欲しい問題です。
保育士等は親に対する指導も役割の一つですが、指導と指示は違いますね。福祉関係者が指示を行うのは、同一事業所や施設内の職場関係者だけだと考えて良いと思います。この指示という語句は最初に消去して欲しいところです。
Aに入る語句は、他に受容と傾聴がありますので、同一のカテゴリーと考えられます。やはり、指導ではなく共感ですね。
Bの候補はウかエになりますが、愛着とは主に親子関係(特に乳幼児期)に使われるものです。職業人と対象者の関係において、愛着というのは行き過ぎです。
Cの候補はオかカになります。所謂エンパワメントに対する解説ですね。
【正解3】
問9
次のうち、社会的養護における専門職名と専門職の配置が義務づけられている施設の組み合わせとして、正しいものを一つ選びなさい。
1 母子支援員 ―――― 児童養護施設および乳児院にのみ配置が義務づけられている。
2 心理療法担当職員 ― 児童心理治療施設にのみ配置が義務づけられている。
3 児童指導員 ―――― 児童自立支援施設にのみ配置が義務づけられている。
4 看護師 ―――――― 乳児院において配置が義務づけられている。
5 児童福祉司 ―――― 児童養護施設において配置が義務づけられている。
この種の問題のアプローチは、資格、職種、施設のどれで整理するかということになります。
資格と職種の関係においては、職種の資格要件を満たす資格と職種と資格名が同一のものを整理して学習しましょう。基本的には、施設をベースにその施設にはどんな専門職が配置されるのかを学習するのがやりやすいと思います。
「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」にある施設の定義の中に、職員に関する記述があります。
1母子支援員は、母子生活支援施設に配置されます。
2心理療法担当職員は、児童心理治療施設だけでなく、母子生活支援施設にも配置されます。
3児童指導員は、最も配置が多い専門職の一つです。児童心理治療施設だけでなく、児童護施設、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設、福祉型児童発達支援センター、医療型児童発達支援センターに配置されます。
4看護師は、乳児院に配置されます。※その他は、サブノートを参照してください。
5児童福祉司は、児童福祉施設の職員としての明記はありません。
【正解4】
問10
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
Lさん(50 代、女性)と、その夫のMさん(50 代、男性)は、一人娘が大学に入学したことを機に、養育里親として子どもを育てたいと考えていた。そこで、どのようにしたら養育里親として子どもを養育することができるのか、児童相談所に相談することとした。
【設問】
次の文のうち、相談を受けた児童相談所の担当職員が行う説明として不適切な記述を一つ選びなさい。
1 里親を希望する理由や動機について確認する必要があることを伝える。
2 里親として委託児童を養育するにあたっては、家族の理解や協力が必要であることを伝える。
3 委託後に、子どもの発達の遅れや障害が見つかることもあることを伝える。
4 委託される子どもの年齢と里親の年齢との差は 45 歳までと定められていることを伝える。
5 里親は、児童相談所などの関係機関等と協力し、子どもを養育することが求められることを伝える。
常識力である程度選択肢を消去できそうです。
1,2,3,5に関しては、一般的な事項という感じです。特に間違いではなさそうです。
4は、各自治体で目安を定めていることが多いようですが、法律上の規定はありません。
また、里親委託のガイドラインには、養子縁組を前提とする里親の場合は、児童が20歳に達した時、里親の年齢がおおむね65歳以下であることが望ましいと記載されています。