7.社会的養護(H31年-前期)1/2

問1 
次の文は、「児童福祉法」及び「児童虐待の防止等に関する法律」における、平成 28 年の改正内容に関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。

1 市町村から児童相談所への事案送致を新設した。
2 市町村が設置する児童福祉審議会の調整機関について、専門職を配置しなければならないとした。
3 一時保護中の 18 歳以上の者等について、22 歳に達するまでの間、新たに施設入所等措置を行えるようにした。
4 児童虐待の疑いがある保護者に対して、再出頭要求を経ずとも、裁判所の許可状により、児童相談所による臨検・捜索を実施できるものとした。
5 児童虐待の発生予防に資するため、都道府県は、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行う母子健康包括支援センターの設置に努めるものとした。
 
児童関係の法令で最重要法令の改正事項です。
難問ですので、解けなくてもやむを得ないと思います。
1 市町村から児童相談所への事案送致は以前から行われています。平成 29 年4月1日施行の改正事項として、児童相談所から市町村への事案送致が新設されています。
また、児童に関する相談(虐待事案含む)に関しては、児童相談所が市町村の上位機関になりますので、市町村から児童相談所への事案送致は通常の流れとも言えます。
2 児童福祉審議会要保護児童対策地域協議会とすると正しい選択肢になります。
3 22 歳に達するまでの間ではなく、20歳に達するまでと改定されました。
5 母子健康包括支援センターの設置に努めなければならないのは、都道府県ではなく市町村です。また、母子健康包括支援センターとは母子保健法上の名称であり、児童福祉法上の名称は子育て世代包括支援センターです。この子育て世代包括支援センターの設置も市町村の努力義務です。

【正解4】

問2 次の文は、「里親が行う養育に関する最低基準」(平成 29 年 厚生労働省)の一部である。
( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
里親が行う養育は、委託児童の( A )を尊重し、基本的な( B )を確立するとともに、豊かな人間性及び社会性を養い、委託児童の( C )を支援することを目的として行われなければならない。
(組み合わせ)
    A / B / C
1 最善の利益 / 生活習慣 / 発達
2 最善の利益 / 人間関係 / 自立
3 最善の利益 / 生活習慣 / 自立
4  自主性 / 人間関係 / 発達
5  自主性 / 生活習慣 / 自立
 
里親が行う養育に関する最低基準の中からの出題です。
マーカーが答えです。
里親が行う養育に関する最低基準
第四条 里親が行う養育は、委託児童の自主性を尊重し、基本的な生活習慣を確立するとともに、豊かな人間性及び社会性を養い、委託児童の自立を支援することを目的として行われなければならない。

【正解5】

問3 
次の文は、親権に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 親権者等は、児童相談所長や児童福祉施設の施設長、里親等による監護措置を、不当に妨げてはならない。
2 児童相談所長は、親権喪失、親権停止及び管理権喪失の審判について家庭裁判所への請求権を有する。
3 里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合には、市町村長が親権を代行する。
4 子の親族及び検察官のほか、子、未成年後見人及び未成年後見監督人も、親権の喪失等について、家庭裁判所への請求権を有する。
5 家庭裁判所は、「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」に、2年以内の期間を定めて親権停止の審判をすることができる。
 
この問題は、すべての選択肢の知識がなくても3がおかしいなと感じれば良いです。
里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合に、市町村長が親権者になるとは聞いたことがありません。里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合に、親権の代行をするのは児童相談所長です。親権の喪失等について、家庭裁判所への請求権を有するのは、子・子の親族・検察官・未成年後見人及び未成年後見監督人・児童相談所長です。家庭裁判所は2年以内の期間を定めて親権停止の審判をすることができます。

【正解3】

問4 
次の文は、「児童養護施設運営指針」(平成 24 年3月 厚生労働省)に示されている社会的養護の原理に関する記述の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

・ 子ども期のすべては、その( A )に応じた発達の課題を持ち、その後の成人期の人生に向けた準備の期間でもある。社会的養護は、未来の人生を作り出す基礎となるよう、子ども期の健全な心身の発達の保障を目指して行われる。
・ 特に、人生の基礎となる乳幼児期では、( B )や基本的な信頼関係の形成が重要である。子どもは、( B )や基本的な信頼関係を基盤にして、自分や他者の存在を受け入れていくことができるようになる。( C )に向けた生きる力の獲得も、健やかな身体的、精神的及び社会的発達も、こうした基盤があって可能となる。
【語群】
ア 年齢 / イ 個性 / ウ 自立 / エ 愛着関係 / オ 集団適応 / カ 自己同一性
(組み合わせ)
  A B C
1 ア エ ウ
2 ア カ オ
3 イ エ ウ
4 イ オ ウ
5 イ カ オ
 
児童養護施設運営指針は毎年のように出題されています。
児童福祉法上の施設に関しては、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」が、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設、福祉型児童発達支援センター、医療型児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センターについて基準を設けていますが、児童養護施設運営指針はその中の児童養護施設に関して更に細かな規定を設けているものです。毎年のように出題されています。

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学習の仕方ですが、まずは児童福祉法における児童養護施設に関する規定、次に児童福祉施設の設備及び運営に関する基準における児童養護施設の規定、そして児童養護施設運営指針を確認するようにしましょう。ここでは、スペースの関係で、児童福祉法と児童養護施設運営指針における児童養護施設に関する記載事項を紹介します。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準における記載事項は、資料室でチェックしておいてください。
 
児童福祉法
第七条 この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、 児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。
第四十一条 児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設とする。
 
児童養護施設運営指針
第Ⅰ部 総論
2.社会的養護の基本理念と原理 (2)社会的養護の原理 ②発達の保障と自立支援
・子ども期のすべては、その年齢に応じた発達の課題を持ち、その後の成人期の人生に向けた準備の期間でもある。社会的養護は、未来の人生を作り出す基礎となるよう、子ども期の健全な心身の発達の保障を目指して行われる。
・特に、人生の基礎となる乳幼児期では、愛着関係や基本的な信頼関係の形成が重要である。子どもは、愛着関係や基本的な信頼関係を基盤にして、自分や他者の存在を受け入れていくことができるようになる。自立に向けた生きる力の獲得も、健やかな身体的、精神的及び社会的発達も、こうした基盤があって可能となる。
※本問は、この部分から出題されました。マーカーが答えです。

【正解1】

問5 
次の文は、「情緒障害児短期治療施設運営指針」(平成 24 年3月 厚生労働省)における治療目標に関する記述の一部である。正しい記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 子どもへの治療は、経験主義的アセスメントに基づき、個別のニーズに沿って、説明と同意のもとに行われる。
B 治療目標は子どもの状況に応じて子ども、保護者及び児童相談所等の関係者と相談しながら決めていく。
C 治療は、子どもの同意のみならず、保護者を治療協力者ととらえ、保護者に児童の状態及び能力を説明し治療方針の同意を得ながら進めていく。
D 心理療法は個人療法、集団療法など様々な技法から保護者の意向に合わせて組み合わされるほか、心理教育や性教育プログラムなど特別なプログラムも必要に応じて行われる。
(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 A D
4 B C
5 B D
注)情緒障害児短期治療施設は、平成 28 年の「児童福祉法」改正により児童心理治療施設と改称されている。
 
この問題は、情緒障害児短期治療施設運営指針を読んでいなくても、なんとなく分かったのではないでしょうか。
特にDの保護者の意向に合わせてという間違いは気付いて欲しいところです。保護者の同意、協力は重要ですが、第一義的には児童にとっての最善の選択です。
Aは、経験主義的アセスメントに基づくのではなく、「医学的、心理学的、社会学的アセスメントに基づき、」個別のニーズに沿って、説明と同意のもとに行われます。

【正解4】