7.地域福祉の理論と方法(R2年-第33回)2/2

問題37 地域生活課題を抱える人への支援のための施策に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 生活困窮者自立支援法は,生活困窮者における経済的困窮だけでなく,地域社会からの孤立についても支援の対象としている。
2 日常生活自立支援事業は,判断能力の不十分な精神障害者等に対して住宅を購入するための銀行からの借入れの契約などを支援している。
3 災害対策基本法は,福祉避難所に,介護支援専門員の配置を義務づけている。
4 住居確保給付金は,18歳未満の子を持つ母子世帯に対して,生活保護法に基づく住宅扶助の一環として家賃相当額を給付するものである。
5 ひきこもり地域支援センター設置運営事業は,ひきこもりの状態にある人を一般就労につなげるための職業訓練を必須事業にしている。
 
本問の選択肢の中には、知識がないと自信を持って判断できないものもあるかもしれないが、そういうときはより無難な内容を検討してみるとよい。
他科目の重要用語が地域福祉論の問題の一部で出ることはよくある。普段の学習では科目ごとに勉強した方が効率的だが、問題を解くときは全科目の知識を総動員して解く必要があり、極端な縦割り思考にならないように注意する必要がある。
 
1は、〇である。内容的に大きな問題はないことは容易に分かる。
2は、×である。日常生活自立支援事業に住宅購入のための銀行からの借入れの支援はない。
3は、×である。福祉避難所に介護支援専門員の配置は義務付けられていない。知らなくても推論できるであろう。
4は、×である。住宅扶助は生活保護法の扶助の一つであり、(18歳未満の子を持つ母子世帯への)住居確保給付金は、それとは別に存在するものである。コロナ過の報道で良く話題になっているので、知っていた人も多いと思う。
5は、正誤の判断は難しいが、「ひきこもり地域支援センター」という名称からすると「一般就労につなげるための職業訓練を必須事業にしている」とまではいえないのではないか。ひきこもりの人と交流を持つことさえ難しいのに、一般就労につなげることを必須とするのは極めて困難だと感じるからである。

【正解1】

 
問題38 事例を読んで,V社会福祉法人のD生活相談員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
特別養護老人ホームを中心に社会福祉事業を経営するV社会福祉法人では,2016 年(平成28年)の社会福祉法改正を受け,「地域における公益的な取組」(以下「取組」という。)の実施について協議する委員会が設置され,D生活相談員が責任者となった。委員会では,地域の中で孤立する子どもたちに対して1回100円程度で利用できる子ども食堂を実施してはどうかという提案がなされた。

 
1 子ども食堂は「取組」に当たらないため,法人は関わらず,施設に関わっているボランティアが中心となって実施する計画を立てる。
2 日常生活上又は社会生活上の支援を必要とする者が対象でなければ「取組」に当たらないため,地域住民や関係機関に働き掛けて,地域の子どもたちのニーズを明らかにするための話合いを実施する計両を立てる。
3 高齢者を対象とした事業でなければ法人の「取組」に当たらないため,孤立した高齢者を主たる対象とした取組として実施する計画を立てる。
4 低額であっても費用が徴収される活動は「取組」に当たらないため,無償の活動として実施する計画を立てる。
5 一つの社会福祉法人のみでは「取組」に当たらないため,近隣の他の社会福祉法人に呼び掛けて,賛同が得られた後に実施する計画を立てる。
 
本問に関する十分な知識がなければ、消去法で正解を選ぶのが無難であろう。
 
1は×である。子ども食堂も「地域における公益的な取組 」といえ、法人が関わらないという部分もおかしいと感じて欲しい。
2の冒頭部分は知識がないと違和感を覚えるだろう。知らなければ、とりあえず先に進む。
3は、×である。「地域における公益的な取組」は社会福祉法の改正でできたものなのだから(ここまでは問題文にも書いてある)、特別養護老人ホームだからといって「高齢者を対象とした事業でなければ法人の「取組」に当たらない」とはいえないと推測できるからである。なお、問題文の事例では「特別養護老人ホームを中心に社会福祉事業を経営する」となっているので、このことからも取組が高齢者を対象としたものに限るのはおかしいと感じる。
4は、×である。「低額であっても費用が徴収される活動は「取組」に当たらない」となっているが、材料費程度のものを徴収することは許されている。
5は、×である。「一つの社会福祉法人のみでは「取組」に当たらないため」となっているが、近くに別法人がなければ公益に関する取組が実施できないというのもおかしな話である。

【正解2】

 
問 題 39 地域福祉等を推進する民間組織への寄附等に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 所轄庁の認定を受けた認定特定非営利活動法人に対して寄附した個人又は法人は,税制上の優遇措置を受けることができる。
2 共同募金によって集められた資金は,市町村,社会福祉事業•社会福祉を目的とする事業を経営する者などに配分されている。
3 社会福祉法人の公益事業における剰余金については,他の社会福祉法人が行っている社会福祉事業への寄附が認められている。
4 「社会福祉協議会活動実態調査等報告書2018」 (全国社会福祉協議会)によれば,住民から会費を徴収している市町村社会福祉協議会は半数以下であった。
5 「令和元年度市民の社会貢献に関する実態調査」(内閣府)によれば,2018年(平成30年)に市民が寄附をした相手で最も多かったのは特定非営利活動法人であった。
 
特定非営利活動法人、社会福祉法人、共同募金に関する基礎知識をもとに考えさせる問題である。
特定非営利活動法人と社会福祉法人は、主に福祉サービスの組織と経営で学ぶ内容であるが、地域福祉の主体としても重要な存在である。
 
1は、〇である。社会福祉法人に対する寄付についての記述なら文句なしに正解と判断するところであるが、認定特定非営利活動法人であることから、迷った人も多いかもしれない。※ここで単なる特定非営利活動法人(NPO)ではなく「認定」とついているところに着目すると、おそらく社会福祉法人に近い公益性を持つ存在ではないかと推測してもあながち不合理とはいえないだろう。
2は、「市町村」に分配されるとの部分が×である。
3は、×ぽい。社会福祉法人の運営は厳格になされなければならないというイメージがあるであろう。そう考えると剰余金なら他の社会福祉法人が行っている社会福祉事業に寄附してもよいという結論には違和感がある。
4は、知らないと悩むであろう。市町村社会福祉協議会の経営は住民等からの寄付によって賄われている。そうだとすると「半数以下」との部分は×ぽいと推察できる。
5は、×である。特定非営利活動法人(NPO)に様々なものがある。中にはかなり怪しいものもある(品のない書き方で恐縮だが)。このことからすると少なくとも「市民が寄附をした相手で最も多かったのは特定非営利活動法人」ではないと推測したほうがよいのではないだろうか。

【正解1】

 

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2016(平成28)年のNPO法改正で、仮認定特定非営利活動法人が、特例認定特定非営利活動法人と名称変更されました。

 
問題40 地域福祉の人材に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
1 権利擁護人材育成事業の養成者のうち,成年後見人等として選任されている市民後見人の数は,2017年度(平成29年度)末で3万人を超えている。
2 生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)は,原則として民生委員・児童委員から選出される。
3 認知症サポーター養成事業は,認知症高齢者に対して有償で在宅福祉サービスの提供を行う人材の育成を目的としている。
4 地域自殺対策強化事業におけるゲートキーパー養成研修の対象には,民間企業等の管理職,かかりつけ医,民生委員・児童委員,地域住民等が含まれる。
5 日常生活自立支援事業における専門員は,支援計画の作成や契約の締結に関する業務を行うとされている。
 
当該科目の知識だけでなく、他科目の知識も必要な問題である。基本的な事項なので、これを機に習得しておきたい。
 
1は、×である。知らないと判断に迷うが、実際に成年後見制度を利用している人の数からすると3万人もの市民後見人が「選任されている」とは少し考えにくい。
2は、×である。この肢も知らないと迷うと思われるが、生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーターには、かなりの専門性が要求されている(名称からしてそう感じるのでは)。そうだとすれば「原則として民生委員・児童委員から選出される」との部分には違和感がもてる。
3は、×である。認知症サポーター養成事業過去問にも出ており、「有償で在宅福祉サービスの提供を行う人材の育成を目的と」するものではないことは判断できないといけない。
4は、一読しただけでは判断に迷う。△にして次に進む。列挙されている対象がバラエティに富んでいるからである。ただ、地域自殺対策強化事業における「ゲートキーパー」の役割からすると特別に対象を制限する必要性もあまり感じられない。「…等が含まれる」との部分もそのことと整合性を有している。
5は、〇である。過去問でも頻出といってよい事項であり、自信を持って〇にしてほしい肢である。

【正解4,5】

 
問題41 福祉サービスの立案及び評価に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 パブリックコメントとは,利害関係者や学識経験者を集めて意見を聴き,予算や法律・規則の制定を行う手法のことである。
2 ニーズ推計とは,ニーズを一定の基準で分類し,その類型ごとに出現率の推計等を行い,それに対応するサービスの種類や必要量を算出する手法である。
3 福祉サービス第三者評価事業における第三者評価とは,利用者の家族等によって行われる評価のことである。
4 福祉サービスのアウトカム評価とは,福祉サービスが適切な手順と内容で利用者に提供されているかに着目する評価である。
5 プログラム評価の枠組みでは,サービスの効果を計測するための指標の設定は基本的にサービスの実施後に行われる。
 
本問は単なる国語の問題ではない。
パブリックコメント、アウトカム、福祉サービス第三者評価事業については、ある程度知っていることが前提になっている。
 
1は、×である。パブリックコメントは過去問でも出ている(㉗問29参照)。仮にきちんと押さえていなかったとしても、公的なコメント(ただの直訳)という語感からして設問に書かれているような意味とは少し違うと感じるのではないだろうか。
2は、ざっと読む限り大きな誤りはなさそうな記述である。△にして先に進む。
3は、×である。福祉サービス第三者評価事業については受験生なら知っておくべき知識である。
4は、×である。アウトカムという語は最近の試験でも出ているし、ちょっとしたトレンドになっている。アウトカムは「成果」と訳されることが多いが単に実施された結果(アウトプット)とは異なる。問題文の説明は「福祉サービスが適切な手順と内容で利用者に提供されているか」に着目するとなっているが、これはアウトカムとは異なるプロセスそのものの評価についての説明といえる。
5は、×である。プログラムを評価するための指標の設定をサービス実施後に行うとすれば、評価にとって都合のよい指標を選び出してしまうのではないかという疑念が湧くからである(私の推論であるが)。

【正解2】