7.保健医療サービスの知識(R元年10月-第22回)2/4

問題31 次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 フレイルとは、健康な状態と介護を要する状態の中間的な状態である。
2 高次脳機能障害の主な症状には、失行や失認が含まれる。
3 心筋梗塞は、冠動脈が破裂して起こる疾患である。
4 糖尿病は、肝臓で作られるインスリンの不足によるものである。
5 高齢者に多い骨折部位には、大腿骨頸部や胸腰椎が含まれる。
 
直前講座で要注意と指摘していた類の出題である。
★★★ 全ての選択肢について、この機会に確認しておいて欲しい。
1は、〇である。1のフレイルは、2016問41、2018問31で出題されている。2は、基本知識。〇である。3の聞き方は過去7年以内にはない。どれだけきちんと理解しているかが問われているように思える。「冠動脈破裂して」が×である。正しくは「(冠動脈の血流が疎外され)心筋が壊死して」である。4は、インスリンが作られるのは肝臓ではなく膵臓なので×。これも基本知識。5の高齢者が骨折しやすい部位は基本的知識といえる。〇である。

【正解1,2,5】

問題32 次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 自治体によっては、救急車を呼ぶべきかどうかの相談に対応する窓口がある。
2 介護保険施設の介護職員であれば、研修を受けなくても、喀痰吸引を行える。
3 高齢者によくみられる疾患には、日常の生活機能に障害を引き起こすものが多くある。
4 高齢者は、加齢により生体機能が低下しているため、薬剤の副作用が出やすい。
5 一次救命処置とは、医師の指示のもとに救急隊員が行う応急処置のことである。
 
正解して欲しい問題である。
★★★
1は「自治体によっては」、「ある」という部分に着目するだけでも〇ぽい。2は研修が必須なので×(本来は医療行為として許されないものであったことを想起して欲しい)。3は常識的に考えて〇ぽい。4は基本的知識であろう。〇である。2014問27で出題されている。5は「一次」という文言から早い段階での救命措置と考えられる。そうだとすれば「医師の指示のもとに」がおかしいので、×と判断できる。

【正解1,3,4】

問題33 高齢者の急変時の対応について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 心肺蘇生時の胸骨圧迫は、仰臥位で行う。
2 出血量が多い場合は、傷口を清潔なタオルなどで圧迫し、出血部位を心臓の位置より低くする。
3 両手足に力が入らず、頸椎損傷が疑われる場合には、極力身体を動かさないようにする。
4 服の下をやけどしたときは、服を脱がせて流水で冷やす。
5 食物で窒息したときは、腹部突き上げ法(ハイムリック法)を行うこともある。
 
悩むとしたら4か5いずれを選ぶかであろう。
★★★ 5の知識がないと4を選んでしまう可能性がある。
1は〇(心臓マッサージを行う場面である)。2は、「出血量が多い」ときは、止血効果を図るため、出血部位を心臓の位置より高くした方がよいと考えられる(常識的に考えて)。よって、×ぽい。3は、頸椎損傷をしているため、慎重な対応が求められる。「極力身体を動かさないようにする」との対応は常識的に考えて〇ぽい。4は、悩むなら△にして次に進む。しかし、一見よさそうだが、あわてて衣服を脱がせると熱の作用が持続してより深いやけどになったり、水疱が破れて、痛みが強くなったり、治るのに時間がかかってしまう危険があるやけどをした時は、服の上からでよいので、とにかくすぐに冷やすことが大切である。5のハイムリック法は、食物で窒息したときに一般的に用いられる方法である(他に背部叩打法がある)。〇である。

【正解1,3,5】

問題34 在宅医療管理について、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 腹膜透析は、血液透析に比べて食事内容の制限が多い。
2 人工的に造設した便や尿の排泄口のことを、ストーマという。
3 在宅経管栄養法で栄投剤を注入する際の体位は、座位又は半座位が望ましい。
4 在宅酸素療法の利用者が呼吸苦を訴えた場合は、ただちに酸素流量を増やす。
5 在宅中心静脈栄養法を実施している利用者が入浴する場合は、特別な配慮が必要である。
 
正解して欲しい問題である。
★★★
1はわからなければ△にする。なお、いずれも透析の方法であることから考えて、特に食事内容の制限に違いがでるとは思われないと考えれば、×と判断してもよい。2は〇である(便の排泄口をストーマということは基本的知識といってもよい)。3は経管栄養の際にどのような姿勢で栄養剤を注入するのかが聞かれているが、「座位又は半座位が望ましい」というのは普通に考えても正しいと判断できる。〇である。4は、「ただちに酸素流量を増やす」の部分が×である(2018問35で出題されている)。5は、在宅中心静脈栄養法を実施しているのであるから、注入部位の衛生面も考えて、特別な配慮が必要だろうと考えられるので〇。

【正解2,3,5】

問題35 老年期うつ病について、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 めまい、便秘などの自律神経症状が目立つ。
2 脳の器質的疾患は、原因とはならない。
3 家族、友人などの喪失体験も発症のきっかけとなる。
4 自殺企図の危険性は低い。
5 認知症を合併することがある。
 
うまく過去問学習をしていた人にとっては簡単な問題だったと思われる。
★★ 老年期うつ病については定期的に過去問で問われている。
1は自信がなければ△。2は「原因とはならない」という断定が×ぽい。3は特に問題のない記述で〇ぽい。4は老年期のうつ病であることから、若年者との違いがあるのではないかと思われ、判断に悩む。△。5は、内容と「ことがある」という文末から〇ぽい。3と5の〇はわかりやすい。残る一つが1か4かで割れた問題だと思われる。4については、2014問27にズバリの出題がある。1が〇で4が×である。

【正解1,3,5】