6.地域福祉の理論と方法(R3年-第34回)1/2
問題32 戦後の民間福祉活動の発展過程に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の「六項目提案」(1949 年(昭和 24 年))で共同募金会の設立が指示されたことにより,共同募金運動が開始された。
2 「社会福祉協議会基本要項」(1962 年(昭和 37 年))により,社会福祉協議会は在宅福祉サービス供給システム構築の,民間の中核として位置づけられた。
3 社会福祉事業法の改正(1983 年(昭和 58 年))により,市町村社会福祉協議会が法制化され,地域福祉におけるその役割が明確になった。
4 特定非営利活動促進法の改正及び税制改正(2001 年(平成 13 年))により,認定された法人に寄附をした者は,税制上の優遇措置を受けられないことになった。
5 社会福祉法の改正(2016 年(平成 28 年))により,行政が実施する事業を代替する取組を行うことが,社会福祉法人の責務として規定された。
歴史の問題。現在の立ち位置と将来の予測は歴史から学ぶ。
1:不適切。「六項目提案」には、厚生行政地区制度、市厚生行政の再組織、厚生省により行われる助言的措置及び実地事務等があります。
2.不適切。「社会福祉協議会基本要項」(1962 年(昭和 37 年))により,社会福祉協議会は一定の地域社会において,住民が主体となり,社会福祉,保健衛生その他生活の改善向上に関連のある公私関係者の参加,協力を得て,地域の実情に応じ,住民の福祉を増進することを目的とする民間の自主的な組織である、と書かれています。
3.適切
4.認定されたNPO法人に寄附をした者は,税制上の優遇措置を受けられます。国や地方公共団体の財源が細る中、民間のお金は重宝されるイメージでしょうか。今後もこの流れは続くと思います。
5.この改正では、事業運営の透明性の向上、財務規律の強化、地域における公益的な取組を実施する責務、行政の関与の在り方等が規定されました。
【正解3】
問題33 地域福祉の主体に関する,次の社会福祉法の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 地域住民は,相互に人格と個性を尊重し合いながら,個人の自立の助長を目指して活動を行わなければならない。
2 地域住民,社会福祉を目的とする事業を経営する者,社会福祉に関する活動を行う者は,相互に協力し,地域福祉を推進するよう努めなければならない。
3 社会福祉協議会は,社会福祉を目的とする事業の実施のため,福祉サービスの提供体制の確保や適切な利用推進の施策等の必要な措置を講じなければならない。
4 地域住民等は,地域福祉の推進に当たって,経済的課題を把握し,その解決を行う関係機関との連携により,課題の解決を図らなければならない。
5 国及び地方公共団体は,民間企業との有機的な連携を図り,福祉サービスを効率的に提供するように努めなければならない。
社会福祉法の条文から答えを導き出す。
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(地域福祉の推進)
第四条 地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行われなければならない。
2 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者(以下「地域住民等」という。)は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるように、地域福祉の推進に努めなければならない。
(福祉サービスの提供体制の確保等に関する国及び地方公共団体の責務)
第六条 国及び地方公共団体は、社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して、社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施が図られるよう、福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策、福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。
上記部分が関係しそうです。
1:個人の自立の助長、というのが違います。
2:適切
3:社協ではなく、国や地方公共団体についての記述です。
4:経済的課題を把握って、ちょっと考えられない。
5:国や地方公共団体ではなく、社会福祉を目的とする事業を経営する者。民間企業ではなく、保健医療サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携。
【正解2】
問題34 住宅の維持・確保に困難を抱える人への支援のための施策に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。
1 生活困窮者住居確保給付金は,収入が減少した理由のいかんを問わず,住宅の家賃を支払うことが困難になった者に対し,家賃相当額を支給するものである。
2 公営住宅の供給を行う地方公共団体は,公営住宅の入居者に特別の事情がある場合において必要があると認めるときは,家賃を減免することができる。
3 住宅確保要配慮者居住支援協議会は,賃貸住宅に入居する者の収入が一定の基準を下回った場合,賃貸人に対して家賃徴収の猶予を命令することができる。
4 生活福祉資金貸付制度の不動産担保型生活資金は,経済的に困窮した 65 歳未満の者に対し,居住する不動産を担保に生活資金の貸付けを行うものである。
5 被災者生活再建支援金は,自然災害により生活基盤に被害を受けた者のうち,一定の所得以下の者に対し,生活再建のための費用の貸付けを行うものである。
新型コロナウイルスに関連するニュースで生活困窮者に関するものは毎日の様に取り上げられていました。こういったニュースで知らない言葉が出てきたら、スマホで検索する癖をつけましょう。
1:不適切。生活困窮者住居確保給付金は、主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合、もしくは個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合において、一定の要件を満たした場合という条件があります。
2:適切
3:ちょっと考えられない。
4:原則として65歳以上の者が対象です。その他にも要件はありますが。
5:被災者生活再建支援金に所得制限はなく、貸付ではありません。
【正解2】
問題35 次の記述のうち,社会福祉法における地域福祉の推進に関する規定として,適切なものを 2つ選びなさい。
1 国及び地方公共団体は,関連施策との連携に配慮して,包括的な支援体制の整備のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 都道府県は,その区域内においてあまねく福祉サービス利用援助事業が実施されるために必要な事業を行うものとする。
3 都道府県社会福祉協議会は,その区域内における地域福祉の推進のための財源として,共同募金を実施することができる。
4 市町村は,子ども・障害・高齢・生活困窮の一部の事業を一体のものとして実施することにより,地域生活課題を抱える地域住民に対する支援体制等を整備する重層的支援体制整備事業を実施することができる。
5 市町村社会福祉協議会は,市町村地域福祉計画を策定するよう努めなければならない。
正しいものを探すか、間違ってそうなものをさがすか。
1:適切
2:都道府県が事業を行うというのは変です。
3:共同募金は、各都道府県に設立された共同募金会が実施主体となっています。
4:適切
5:市町村地域福祉計画は、市町村が策定します。
【正解1,4】
問題36 民生委員に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。
1 給与は支給しないものとされ,任期は定められていない。
2 定数は厚生労働大臣の定める基準を参酌して,市町村の条例で定められる。
3 市町村長は,民生委員協議会を組織しなければならない。
4 児童委員を兼務するが,本人から辞退の申出があれば,その兼務を解かなければならない。
5 非常勤特別職の地方公務員とみなされ,守秘義務が課せられる。
概ね各選択肢に二つの判断を要する記述がある。
1:給与-不支給は正しいが、任期なし-不適切。任期は3年、再任は可能。
2:市町村の条例ではなく、各市区町村長の意見をきいて定める。
3:民生委員協議会は民生委員が組織します。
4:民生委員は児童委員を兼ねています。つまり、不可分です。
5:正しい