5. 介護の基本(R元年-第32回)1/2

問題 17 Fさん(72 歳,女性,要介護 2 )は,中等度の認知症(dementia)があり,自宅で夫と生活している。ある日,訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると,夫が散乱したコーヒー豆を片づけていた。Fさんは,「わからなくなっちゃった」と言っていた。訪問介護員(ホームヘルパー)が夫に事情を聞くと,「今も日課でコーヒーを豆から挽ひいて入れてくれるんだが,最近は失敗することが多くなって,失敗すると自信を失ってしまうしね。でも,毎朝,『コーヒーを入れなくちゃ』と言うんだ」と寂しそうに話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の夫への助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 「そばにいて,Fさんと一緒にコーヒーを入れてはどうですか」
2 「Fさんと一緒に,喫茶店にコーヒーを飲みに行ってはどうですか」
3 「おいしいコーヒーを買ってきて二人で飲んではどうですか」
4 「私がFさんからコーヒーの入れ方を教えてもらいましょうか」
5 「新しいコーヒーメーカーを買ってはどうですか」
 
訪問介護員は夫ではなく、Fさんが担当です。つまり、夫よりも妻のことに重点を置いて考えることになります。
Fさんは、今まで通り夫にコーヒーを入れたいのです。この気持ちを汲むことになります。
2:Fさんはコーヒーが飲みたいのではなく、夫に入れてあげたいのです。
3:これも2と同じ理由で不適切です。
4:このやり方は、夫がおいしいコーヒーを飲むのに役立つかもしれません。Fさんにも一定の満足感は生まれるかもしれませんが、Fさんは夫に自分がコーヒーを入れてあげたいのです。
5:今まで通りに夫にコーヒーを入れたいということから不適切です。更に、新しい機械は余計に使いにくいと考えられます。

【正解1】

問題 18 Gさん(80 歳,女性,要介護 3 )は,脳卒中(stroke)の後遺症により左片麻痺があり,からだを思うようにコントロールができず,ふらつきが見られる。以前は, 2 週間に一度は美容院で長い髪をセットしてもらい,俳句教室に行くのを楽しみにしていた。病気になってからは落ち込むことが増え,介護が必要になったため,介護老人福祉施設に入所した。
ノーマライゼーション(normalization)の考え方を踏まえた,Gさんへの生活支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 洗髪しやすいように,長い髪のカットを勧める。
2 共同生活のため,夕食は施設の時間に合わせてもらう。
3 落ち込んでいるため,居室での生活を中心に過ごしてもらう。
4 おしゃれをして,施設の俳句クラブに参加するように勧める。
5 転倒予防のため,車いすを使用してもらう。
 
厚生労働省が提唱しているノーマライゼーションとは、障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともにいきいきと活動できる社会を目指すということです。
1:事業者の都合です。
2:事業者の都合です。
3:いきいきと活動しているとは言えません。
5:いきいきと活動しているとは言えません。

【正解4】

問題 19 ICF(International Classification of Functioning,Disability and Health:国際生活機能分類)の視点に基づく環境因子と心身機能の関連を表す記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 電気スタンドをつけて,読書を楽しむ。
2 車いすを使用して,美術館に行く。
3 聴力が低下すると,コミュニケーションがうまくとれない。
4 ストレスが溜まると,活力が低下する。
5 床面の性状が柔らかいと,バランスを崩す。
 
有名なICFの図を思い浮かべながら解きましょう。
なんだか分かり難い問題ですね。ICFは幾つかの要素から構成されています。(※下記の図を参照)本問で聞かれているのは、環境因子と心身機能の関係ですから、選択肢の中に、環境に関する記載がなければなりません。従って、3,4が違うことは、すぐに気が付きます。次に、1,2ですが、「読書を楽しむ」も「美術館に行く」も、活動に関する記載です。従って、正解は5ということになります。
ICFの図

【正解5】

問題 20 Hさん(80 歳,女性,要介護 1 )は,アルツハイマー型認知症(dementiaof the Alzheimerʼs type)である。20 年前に夫が亡くなった後は,ずっと一人暮らしをしている。これまでの生活を続けていきたいので,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することにした。
訪問介護員(ホームヘルパー)のHさんへの対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
 
1 Hさんの意向を確認して,今までどおり畳で布団の使用を継続した。
2 入浴後,手ぬぐいで体を拭いていたが,バスタオルに変更した。
3 訪問介護員(ホームヘルパー)の判断で,食事の前にエプロンをつけた。
4 整理整頓のために,壁に立てかけてあった掃除機を押し入れに片づけた。
5 Hさんの気持ちを切り替えるために,家具の配置を換えた。
 
これまでの生活を続けていきたい、がキーワードです。
このキーワードに気付けば、答えは一つです。
介護と言えば、介護用電動ベッドを思い浮かべてしまいます。それを利用したひっかけ問題です。

【正解1】

問題 21 「平成 30 年版高齢社会白書」(内閣府)で示された 65 歳以上の者の家庭内事故の発生割合が最も高い場所(屋内)として,正しいものを1つ選びなさい。
1 階段
2 台所・食堂
3 風呂場
4 トイレ
5 居室
 
これもひっかけ問題です。
事故が起こる割合が高いのは危険な場所ではなく、よく居る場所ということです。階段や風呂場は危険度が高いのは間違いないですが、風呂にいる時間は居室にいる時間の50分の1ぐらいではないでしょうか。

【正解5】