4.現代社会と福祉(H30年-第31回)1/2

問題22 
2012 年の国連総会では,「人間の安全保障」についての共通理解の文書が採択された。ここで示された「人間の安全保障」の内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 貧困を解決することに限定されている。
2 全ての人々の保護および能力と地位の向上を強化することを求めている。
3 予防志向型の対応を求めていない。
4 経済的権利に優先性を付与している。
5 武力の行使を必要としている。
(注) 「人間の安全保障」についての共通理解の文書とは,「2005 年世界サミット成果文書の人間の安全保障に関する第143 項のフォローアップ」をいう。
 
安全に関する国連の文書の問題です。
1のように限定する必要性は低いと思われるので×。2は内容的によさそうだが、他も読んで判断する△。3は、「予防思考型の対応」を「求めていない」とまではいえまい。×ぽい。4はこの試験の性質から考えても×。5もありえない内容なので×。最もよさそうな2にマーク。

【正解2】

問題23   
福祉社会づくりに関わる次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ポランニー(Polanyi, K.)の互酬の議論では,社会統合の一つのパターンに相互扶助関係があるとされた。
2 ブルデュー(Bourdieu, P.)が論じた文化資本とは,地域社会が子育て支援に対して寄与する財のことをいう。
3 ホネット(Honneth, A.)が論じた社会的承認とは,地域社会における住民による福祉団体に対する信頼と認知に関わる概念である。
4 デュルケム(Durkheim, E.)が論じた有機的連帯とは,教会を中心とした共助のことをいう。
5 バージェス(Burgess, E.)が論じた同心円地帯理論は,農村の村落共同体の共生空間をモデルにしている。
 
人物からの問題です。社会理論と社会システムで目にした人物が何人かいるが、まともに取り組んだら厳しそうな問題である。
1は知らなければ△。2は文化資本と説明内容が噛み合わない感じがする、×ぽい。3は説明部分の「社会的承認とは…福祉団体に対する信頼と認知」の部分が×ぽい。4は「教会を中心とした」が×ぽい。5の「同心円地帯理論」とは、「農村」の話ではなかった気がする。×ぽい。1が正解だろうか。

※ソーシャルワンカーのつぶやき🐾※
ポランニーは初めての出題だろうか。知識があればそれを活かす。知らない人物については各肢の説明部分で正誤を判断。それでも無理そうならさっさと諦めて、他の正解する確率が高い問題に目を向けるワン🐾。

【正解1】

問題24 
イギリスにおける福祉政策の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 エリザベス救貧法(1601 年)により,全国を単一の教区とした救貧行政が実施された。
2 労役場テスト法(1722 年)は,労役場以外で貧民救済を行うことを目的とした。
3 ギルバート法(1782 年)は,労役場内での救済に限定することを定めた。
4 新救貧法(1834 年)は,貧民の救済を拡大することを目的とした。
5 国民保険法(1911 年)は,健康保険と失業保険から成るものとして創設された。
 
毎年受験対策講座で話していた部分が正面から出たが、かなり手強い問題であるが、消去法で解いていこう。
エリザベス救貧法旧救貧法であることは必須の知識。1は、旧救貧法の時代には「全国を単一の教区」にはできていなかったので×。2は、労役場テスト法が「労役場以外で貧民救済を行うことを目的とした」とあるが、労役場はワークハウスのことだろうから、むしろ労役場で貧民救済を行うことを目的とした法だと考えるのが素直である。そうだとすると×ぽい。3のギルバート法は居宅保護を認めたものなので×。4は新救貧法では、貧民の救済を縮小しようとしたので×。5は知らなければ△。

ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
1911年の国民保険法は、新カリキュラムになってから、正面から問われていなかったと思われる。世界史を勉強していた人には有利な問題だったかも。反対に知らなかったとしたら、ギルバート法についての知識の有無が正誤を分けたであろう。きちんと覚えていなかったとしたら、問題文の年号が若干のヒントになる。
1601年が旧法制定で、1782年はそこから180年経過している。この頃には貧民が増えてきて、ワークハウスでの収容が難しくなってきた。そこで作られたのが居宅保護を定めたギルバート法である。その後、さらに貧民が増え続けたため、大論争が経て、新救貧法(1834年)が成立した。新救貧法は救済範囲を狭める方向に向かった(劣等処遇の原則が定められたのはこのときである)。

【正解5】


問題25 
「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(内閣府)に基づく,災害時の福祉ニーズへの対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 福祉避難所に避難してきた「要配慮者」は,原則として病院に移送する。
2 福祉避難所には,ボランティアを配置せず,専門的人材を配置することとされている。
3 「要配慮者」への在宅福祉サービスの提供は,福祉避難所への避難中は停止する。
4 福祉避難所は,一般の避難所と同じ敷地内に開設することが必要とされている。
5 福祉避難所での速やかな対応を実現するために,平常時から「要配慮者」に関する情報の管理や共有の体制を整備しておく。
(注) 「要配慮者」とは,高齢者,障害者,乳幼児その他の特に配慮を要する者をいう。
 
知らなければ、その場で考える。選択肢をよく読んで正解を導こう!
1の「要配慮者」の内容は(注)に「高齢者,障害者,乳幼児その他の特に配慮を要する者」とある。これら「要配慮者」を原則として病院に移送するとあるが、それは合理的だろうか。もし判断できなければ△にして次に進む。2は福祉避難所に「ボランティアを配置」しない積極的な理由が不明であり、×ぽい。3は在宅福祉サービスの提供を「避難中は停止する」理由がわからない。×ぽい。4は福祉避難所を一般の避難所と同じ敷地内に開設する必要性が不明である。×ぽい。5は可もなく不可もなくな内容だが、極めて無難な内容である。

【正解5】

問題26 
「ヘイトスピーチ解消法」の内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 外国人観光客に対する不当な差別的言動を規制することを目的としている。
2 不当な差別的言動に対する罰則が規定されている。
3 雇用における差別的処遇の改善義務が規定されている。
4 地方公共団体には,不当な差別的言動の解消に向けた取組を行う努力が求められている。
5 基本的人権としての表現の自由に対する制限が規定されている。
(注) 「ヘイトスピーチ解消法」とは,「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」のことである。
 
昨今話題になるヘイトスピーチの問題である。(注)を読み落とさないこと。
(注)を見ると、対象は「本邦外出身者」とあり、外国人観光客よりも広い。1は×である。2は「罰則」が規定されているかどうか知らないと何ともいえない。ただ、この手の法律は 表現の自由に対する制限となる可能性があるので「罰則」には慎重な配慮が求められる。△。3はこの法律が「不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進」に関するものであり、「雇用における差別的処遇の改善義務」は飛び過ぎている。×ぽい。4は無難な内容であり△。5は「基本的人権としての表現の自由に対する制限が規定されている」となっているが、人権は制約できるのだろうかという疑問がある。「公共の福祉に反しない」限り保障されるのであるが、「不当な差別的言動」はそもそも保障されているのだろうか。もし、それが保障されていないものだとしたら×となる。もっとも本肢はかなり微妙な内容を含む。もっとも無難な肢は4だといえる。

【正解4】