4.現代社会と福祉(R2年-第33回)1/2

問題22 社会福祉法で規定された福祉サービスの基本的理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 個人の尊厳の保持を旨とし,その内容は,福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され,又 はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして,良質かつ適切なものでなければならない。
2 全ての国民が,障害の有無にかかわらず,等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される。
3 国が生活に困窮するすべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,必要な保護を行い,その最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長する。
4 地域の実情に応じて,高齢者が,可能な限り,住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう,医療,介護,介護予防,住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される。
5 老齢,障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し,もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与する。
 
本問の選択肢の内容は、各法律の何らかの基本理念を引用したものだと思われる。
「社会福祉法で規定された福祉サービスの基本的理念」に関して正しいものを選ぶということを念頭に置きながら各肢を読んでいく。
 
1は、内容的に問題がなく、前述の条件にも合っていそう。これが〇でないかと思われるが、念のために他の肢も読む。
2は、内容的には問題ないが、「福祉サービスの基本的理念」としては仰々しい感じがする。
3は、社会福祉法というよりは、生活保護法の理念。設問の条件と合致しないので×。
4は、内容的には問題ないが、社会福祉法に規定された福祉サービスの基本的理念とはややずれている感じがする。×ぽい。
5は、社会保障の理念のような内容だが、これも設問の条件とはズレてる。
※迷うとすれば、肢1か肢2かであろうが、すでに述べたように肢2は「福祉サービスの基本的理念」としては仰々しいので、無難な方を選ぶ。

【正解1】

 
問題 23 「令和元年版高齢社会白書 」(内閣府)における日本の現状に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 15歳未満人口に比べて,65歳以上人口の方が少ない。
2 健康寿命は,男女共に80年に達している。
3 日本の高齢化率は,先進諸国の中で最も高い。
4 70歳代前半の就業率は,男女共に半数を超えている。
5 公的年金・恩給を受給する高齢者世帯のうち,それらが総所得の全てである世帯は約2割である。
 
知識がないと自信を持って答えられないが、最も無難な肢を選ぶことで正解に辿り着くのではないだろうか。
 
1は×だと判断するのが普通であろう。これだけ少子高齢化が言われている現在なのだから。
2であるが、男性の平均寿命は比較的最近になって80歳を少し超えたばかりである。そうだとすれば、少なくなくとも男性の健康寿命は80歳に達していないと考えるのが素直である。×ぽい。
3は、〇ぽいものの、「最も高い」という部分がひっかかる人がいるかもしれない。〇に近い△とでもしておこう。
4は、×である。「男女ともに半数を超えている」とあるが、少なくとも女性は半数まではいっていないのではない。
5は、×である。「約2割」とあるが、公的年金・恩給を受給する高齢者世帯であれば,「それらが総所得の全てである世帯」はもっと多いのではないかと感じる(※年金以外の所得がある人は少数派ではないだろうか)。

【正解3】

 
問題24 「人間開発報告書2019(概要版)」(国連開発計画(UNDP))の内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「持続可能な開発目標」(SDGs)中の「2030年までに極度の貧困を全世界で根絶する」という目標を達成する目途が立っている。
2 「人間開発指数ランクごとのグループ」をみると,2005年から2015年にかけての平均寿命の年数の延びは.最高位グループよりも低位グループの方が大きい。
3 人間開発の各側面のうち,健康の格差は,所得や教育の格差と異なり,世代間で継承されることは少ない。
4 各国・地域の人間開発の格差を評価するには,一人当たり国民総所得(GN I)を比較することが最も適切である。
5 人間開発の格差を是正するには,市場の公平性と効率を高めることが有効であり,そのために各国・地域は減税・歳出削減と規制緩和を実施する必要がある。
(注) 「人間開発指数ランクごとのグループ」とは,世界の国・地域を人間開発指数の高い方から,最高位(Very high),高位(High),中位(Medium),低位(Low)の4グループに分類したもののことである。
 
迷う肢があったとしても、積極法で正解を選べる。
英語が苦手な人は随所に入る英単語が目障りかもしれないが、落ち着いて読めば比較的容易に答えが出せる問題だといえる。
 
1は、知らないと自信を持って判断できないであろう。△にしておく。
2は、素直に読むと〇だと感じられるのではないだろうか。
2005年から2015年といえば、比較的最近の話でありグローバル化も進んでいる。そのような時代において、平均寿命の年数の延びはについて考えると、すでに.平均寿命が一定程度高くなっている最高位グループよりも低位グループの方が大きいと考えられるからである。別の言い方をすれば、低位グループの方が伸びしろがあると考えられる。
3は、所得や教育の格差と同様に健康の格差も世代間で継承されるように感じられる。貧しい国では、それが健康にも影響すると思われるからである。
4であるが、「人間開発の格差」を評価するためには、経済的指標である「一人当たり国民総所得(GN I)」の比較では不十分だと感じられる。×ぽい。
5であるが、「市場の公平性と効率を高める」ことが一般論としてよいことだとしても、それが人間開発の格差を是正する上で有効とは一概に言えないようにも感じられる。そのため、記述の前半部分疑義を感じる。仮にその点は置いたとしても、減税・歳出削減と規制緩和が人間開発の格差を是正するものでないことは明らかである(つまり、後半部分が×であることは明らかである)。

【正解2】

 
問題25 イギリスの新救貧法(1834年)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 劣等処遇の原則を導入し,救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。
2 パンの価格に基づき定められる最低生計費よりも収入が低い貧困者を対象に,救貧税を財源としてその差額を給付した。
3 貧困調査を実施して,貧困は社会的な要因で発生することを明らかにした。
4 働ける者を労役場で救済することを禁止し,在宅で救済する方策を採用した。
5 貧困の原因として欠乏・疾病・無知・不潔・無為の5大巨悪を指摘した。
 
新救貧法と劣等処遇の原則については受験生なら知っていないといけない。本問では積極法で選ぶのがよい。
イギリスのエリザベス救貧法から新救貧法までの話は過去問でも頻出である。この問題は比較的解きやすい部類に入るであろう。知識がなければ解けない。歴史の流れに即して頻出事項を覚えるのがよいと思う。
 
1は、新救貧法(1834年)の特徴である劣等処遇の原則(less eligibility)について書かれており、これが〇である。
2は、過去問や参考書であまり見ない記述である。不明なので△にしておく。
※ちなみに、これはスピーナムランド制度に関するものであるが、知らない人(忘れていた人)の方が多かったのではないだろうか。
3は、貧困の原因が社会にあるとするものであるが、×である。
※新救貧法の時代には貧困原因個人にあると考えた。だからこそ、劣等処遇の原則が採用されたのである。
4は、×である。新救貧法のときは院外救済禁止された(そうすることにより働けるものは強制的に働かされたのである)。
5は、もっと後のベヴァリッジ報告の5つの巨悪の話である。当然ながら×である。

【正解1】

 
問題26 福祉政策における資源供給の在り方に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 現金よりも現物で給付を行う方が,利用者の選択の自由を保障できる。
2 バウチャーよりも現金で給付を行う方が,利用者が本来の目的以外に使うことが生じにくい。
3 日本の介護保険法における保険給付では,家族介護者に対して現金給付が行われることはない。
4 負の所得税は,低所得者向けの現金給付を現物給付に置き換える構想である。
5 普遍主義的な資源の供給においては,資力調査に基づいて福祉サービスの対象者を規定する。
 
負の所得税について正面から出題されたのは初めてではないだろうか。
3か4かで迷った人が多かったのではないだろうか。3のように正しい内容を正面から書かれるとびびってしまうのが人の性である。
 
1は、×である。現金で給付した方が「利用者の選択の自由を保障できる」のは言うまでもないだろう。
2は、×である。バウチャーは引換券のことだが(㉔問28参照)、この方が「利用者が本来の目的以外に使うことが生じにくい」ことは言うまでもない。
3は、〇である。各自治体で行われている家族介護者への手当を思い浮かべて迷った人もいるかもしれないが、それは保険給付ではない
4の負の所得税はあくまでも現金給付であり、設問のように低所得者向けの現金給付を現物給付に置き換える構想ではない。×である。
5は「普遍主義」と「資力調査に基づいて」が噛み合わないので×である。

【正解3】

 

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
負の所得税はミルトン・フリードマンが提唱した政策アイデアである。
一定の所得レベルを基準として、所得がそれ以上の人は通常通り課税を行い、それ以下の人には課税は行わず、レベルを下回っている額の一定割で給付を受けるという仕組み。