26.精神保健福祉の理論と相談援助の展開(R2年-第23回)2/3

問題 44 次の記述のうち、グループワークにおいて精神保健福祉士が行うこととして、適切なものを1つ選びなさい。
1 グループ内の規範を定めずに、メンバーの自由な活動を推進する。
2 メンバーの役割を固定して、効率的にプログラムを進行する。
3 メンバーの体験談を活用して、社会的スキルの獲得を促進する。
4 メンバー間の葛藤を回避して、グループ活動が円滑に進むようにする。
5 終結期では、メンバー間の凝集性を強化する。
 
頻出項目である。近いところだと、㉑問45に類問がある。
最低限、グルプワークの目的、プロセスについては押さえておく。
 
1は、×である。グループ内の最小限の規範作りには関わる必要がある。
2は、×である。目的はメンバーの成長であり、プログラムを効率的に遂行することではない。
3は、〇である。参加したメンバーが社会的スキルを獲得することはグループワークにおいて意義のあることであり、その手段としてメンバーの体験談を活用することは精神保健福祉士が行うこととして適切である。
4は、×である。グループワークでは、メンバー間の葛藤が生じることも当然予想される。葛藤を通して個々のメンバーが成長することが大切なのであり、円滑にグループ活動が進むことが目的ではない。
5は、×である。終結期は、振り返りや反省などを行い,次の段階へつなげる段階である。この段階では、メンバー間の凝集性を強化する必要はなく、精神保健福祉士が行うこととしては適切なこととはいえない。

【正解3】

問題45 事例を読んで、次の記述のうち、精神保健福祉士が面接場面でKさんの母親に提案したこととして、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕

Kさん(28歳、男性)は、大学在学中に統合失調症と診断され、卒業後は就職せずに自宅 療養が続いていた。半年前から精神科デイケアを利用している。Kさんはデイケア担当の精神保健福祉士との面接で、「やっとデイケアに慣れたところなのに、父にも母にも『世 間体が悪いので、早く働け』と毎日言われ、まいっている」と話した。精神保健福祉士は、Kさんの了解を得て母親と面接することになった。面接で母親は、「Kはデイケアに行く以外は寝てばかり。近所の目も気になり、ついイライラして小言を言ってしまう。もう28歳にもなるのに仕事もせず、親戚の集まりで肩身が狭い。父親はもうすぐ60歳になるし、早く働いてほしい」と畳み掛けるように話していた。
 
1 「病気の経過や治療方針について主治医から改めて説明してもらってはどうでしょうか」
2 「世間の人はあまり見ていないので、気にしないようにしてください」
3 「心配事を話せる場として家族教室に参加してはどうでしょうか」
4 「Kさんを毎朝起こし、生活リズムを管理しましょう」
5 「Kさんにはデイケアをやめて就労移行支援事業所に通所してもらいましょう」
 
事例の概要を把握してから選択肢を吟味する。
 
1は、〇である。Kの母親は病気に対する理解が十分ではないように思われるので、Kの現状を主治医から説明してもらうことは適切だと考えられる。
2は、×である。Kの母親は気になるから来所しているのであり、このような回答をしてもKの母親は納得せず、むしろ、支援者への不信感を抱く可能性もある。
3は、〇である。同じような悩みを抱えている人の話を聞いたり、自ら悩みを打ち明けることにより、病気や家族の苦悩を共有できることは、Kの母親にとって大切なことである。
4は、×である。Kは大学卒業後、自宅療養をしており、デイサービスにも半年前から通いはじめたばかりである。その様な時期の対応としては疑問があり、精神保健福祉士がこのような提案を行うべきではない。
5は、×である。Kはようやくデイサービスに慣れてきたばかりであり、就労移行支援事業所に通所するような状況とは思われない。また、Kの意向を無視して、母親にこのような提案をすることは不適切な対応といえる。

【正解1,3】

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
選択肢の中で母親が話した内容にそった回答は、肢4と肢5である。Kの母親は寝てばかりいる姿をみてイライラしているし、Kに早く働いて欲しいと思っている。
しかし、精神保健福祉士の対応としては、肢4と肢5はいずれも不適切である。
Kの悩みは普通に考えて当然のことであるが、精神保健福祉士としては、事例の状況下ではKの母親にKの病気や現状について理解してもらうことを念頭に行動することが求められる。

 

問題46 次の記述のうち、コンサルティの説明として、適切なものを2つ選びなさい。
1 コンサルタントから監督及び指導を受ける。
2 業務上の課題を抱えた個人、集団、組織、地域社会である。
3 コンサルタントがクライエントに対して直接的な援助を行う。
4 個人の抱えた私的な悩みをコンサルタントに伝え、相談する。
5 得られた助言の内容は、自ら評価し、採用するかを決める。
 
コンサルティは、コンサルテーションにおいて援助を受ける側である。援助する側をコンサルタントと呼ぶ。
詳しく知らなくても、コンサルタントを受ける側だという程度に認識できればよい。
 
1は、×である。コンサルタントから助言は受けるが、監督や指導される関係にはない。
2は、〇である。わからなければ△にする。
3は、×である。コンサルテーションを知っていればすぐに×だと感じるだろうし、知らなくても、コンサルタントが「クライエントに直接的な援助を行う」ものではないことには気づけるだあろう。
4は、×である。ここで使用されている「コンサルタント」は、社会福祉援助技術の一つであり、一般的な用語として使われている意味のコンサルタントではない。
5は、〇である。コンサルテーションでは、コンサルタントの助言を自ら評価し、採用するかを決める。

【正解2,5】

ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
コンサルテーションとは、ある領域の専門職が、自分の担当しているケースの援助に当たって、他領域の専門的な知識が必要となった場合に、その領域の専門職にアドバイスをもとめるプロセスをいう。
アドバイスをする人をコンサルタント、受ける側をコンサルティという。
ちなみに、英語では、語尾にeeをつけると動作の受け手側を表し、erをつけると動作をする側を表すことができる。
試験でよく出るものでは、スーパーバイジーとスーパーバイザーがある。

 

問題 47 事例を読んで、Lさんとその母親に対するM精神保健福祉士の対応に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕

Lさん(48歳、男性)は精神科病院に入院して1年が経過している。入院して6か月の時点で退院調整を始めた矢先に同居の母親が脳梗塞で緊急入院となり、Lさんの動揺も相まって退院が遅れていた。父親は10年前に亡くなり他に家族はいない。母親は左上下肢に多少の麻痺が残るも1か月前に自宅退院し、訪問介護を利用している。Lさんは、「自分 も早く退院して苦労をかけた母親の面倒を見て恩返しがしたい」と話し、病棟のM精神保健福祉士は相談支援専門員と連携してLさんの退院支援を進めた。退院前の自宅外泊 から病棟に戻ってきたLさんは、切羽詰まった様子 で、「昨日の夕食後、母親が皿を片付けようとした時によろけて尻もちをついてしまった。割れた食器が床に飛び散り、自分はパニックになって何もできなかった。同じようなことがまた起きたらどうすればいいのか」とM精神保健福祉士に訴えた。
 
1 Lさんの不安が解消されるまで入院できることを伝える。
2 Lさんと昨日の夕食後に起きたことを順序立てて、一緒に振り返る。
3 母親の介護医療院の利用を担当の介護支援専門員に検討してもらう。
4 Lさん、母親、M精神保健福祉士、介護支援専門員、相談支援専門員による自宅での会合を提案する。
5 Lさんに相談支援専門員同行で生活介護事業所の見学を勧める。
 
Lさんとその母親に対するM精神保健福祉士の対応とあるが、シンプルにLさんへの対応と考えれば分かり易い。
 
1は、×である。M精神保健福祉士に入院期間を決定できる権限はない。
2は、〇である。Lは退院前の自宅外泊の際に起きた出来事によりパニックを起こしている。そのため、「Lさんと昨日の夕食後に起きたことを順序立てて、一緒に振り返る」ことにより、Lに考える機会を持たせることは適切だといえる。
3は、×である。母親が介護医療院に入院することは、母親もLも望んでいない。もし精神保健福祉士の判断で行うとすれば、まさにパターナリズムによるものとして批判を受ける対応である。
4は、〇である。Lさんと母親、その関係者が集まって、今後のことについて意見を出し合って討議することは適切な対応といえる。
5は、×である。Lさんに生活介護が必要な事情は書かれていない。

【正解2,4】

ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
生活介護事業とは、常時介護を要する障害者として厚生労働省令で定める者につき、主として昼間において、障害者支援施設その他の厚生労働省令で定める施設において行われる入浴、排せつ又は食事の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業である(障害者総合支援法5条7号参照)。

 

問題48 次のうち、ケアマネジメントに関する記述として、適切なものを2つ選びなさい。
1 家族や関係者の抱える負担の解決を一義的な目的とする。
2 利用契約を結んだ上で、利用同意の説明を丁寧に行う。
3 ケア計画は本人の意向で変更できないことを説明する。
4 本人の了解を得て、必要に応じてボランティアと情報共有を図る。
5 契約後であっても、本人の希望に応じて担当する相談支援専門員を変更できると伝える。
 
受験生によって、難易度が大きく異なった問題ではないだろうか。
 
1は、×である。まずは本人の抱える負担の解決であろう。
2は、×である。利用同意の説明を丁寧に行ってから、利用契約を結ぶできである。
3は、×である。ケア計画は本人の意向で変更できることを説明する。
4は、〇である。
5は、〇である。

【正解4,5】

(精神保健福祉の理論と相談援助の展開•事例問題1)
次の事例を読んで、問題49から問題51までについて答えなさい。
〔事例〕

精神保健福祉センターの思春期相談担当のA精神保健福祉士(以下「A相談員」とい う。)の下に、Bさん(45歳、女性)が娘Cさん(14歳)のことで相談に来た。Bさんの話によると、「Cは3か月ほど前の中学2年に進級した頃から食べなくなり、急激に痩せてきた。食べるように言うと怒って部屋に入ってしまうので、どうしたらいいか分からない」「養護教諭からこちらの思春期相談を勧められ、本人が拒んだので私だけで相談に来た」という。面談を終えた後、A相談員はBさんに少し待ってもらい、Cさん宛てに書いた手紙を渡してもらうように伝えた。(問題49)
2週間後、CさんはA相談員の下を訪れ、面談するようになった。Cさんは面談の中 で、「勉強も部活も頑張ってきた。陸上部で良い成績を出すために減量を始めたが、最近は練習についていけない。部活の友達にはどうしても負けたくない」「家で母親に食べろと言われるのがとても嫌でよくけんかになる。でも、仕事で活躍している母親のことは尊敬している」などと話すようになった。
週に一度の面談を1か月ほど重ね、夏休みを迎えた頃、Cさんは、「部活の顧問から体調が心配だから休むように言われてしまった」「家で過食や嘔吐を繰り返している」「もうどうしていいか分からない」とA相談員に訴えるようになった。その頃には更に痩せて、肥満度マイナス25%まで減少していた。A相談員はCさんに児童専門の精神科受診を勧めていたところ、ようやく受診に至った。診察後、主治医は、「今の状態が続くと2学期の登校は難しいのではないか」とCさんとBさんに伝えたが、Cさんは学校も部活も休みたくないと希望した。報告を受けたA相談員は、Cさんと Bさんに学校 、医療機関との関係者会議を持つことを提案した。(問題 50 )
関係者会議の数日後、Bさんは一人でA相談員の下へ相談に訪れた。Bさんは、「Cがこのようになったのは私のせいではないか」「このまま仕事を続けていていいものか悩んでいる。しかし、実は責任のある仕事を任されるようになったばかりで、誰にも相談できずにいる」と思い詰めた様子で語った。(問題51)
 
問題49 次の記述のうち、A相談員がCさんに書いた手紙の内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 あなたは摂食障害という病気なので、早めに相談に来てください。
2 なぜ食べられないのでしょうか。一緒に考えていきましょう。
3 家族のことや学校のことなど、なんでもいいので話に来ませんか。
4 あなたのつらさの要因はご家族にあるので、あなたは何も悪くありませんよ。
5 あなたを入院させたくないので、まずこちらに相談に来ませんか。
 
実践的な問題である。この類の問題を苦もなく解ける人は、精神保健福祉士が取るべき対応が何となくわかる人なのだと思う。
苦手な人は、過去問学習を通じて、適切な対応について理解することで、専門職としての業務にも役立つことを意識する必要がある。
 
1は、×である。指示的な内容になっている。
2は、×である。問題文に「食べるように言うと怒って部屋に入ってしまう」とあり、摂食障害のある人への面談前のアプローチとしては適切ではない。自信がなければ△にして次に進めばよい。
3は、〇である。この段階でAが行うべきことは、Cに面談の場に来てもらえるような働きかけであろう。
4は、×である。この段階でAのつらさの要因が、家族にあることを伺わせるような事情はない。
5は、×である。言い方こそ指示的にはなっていないが、もし相談に来なければ入院させられることがほのめかされている。この手紙では、かえってCの反発を買う可能性もある。

【正解3】

問題50 次の記述のうち、A相談員が提案した関係者会議の目的として、適切なものを2つ選びなさい。
1 Cさんが食べない原因を共有し、食事と体重管理の体制を構築する。
2 学校が実施できる合理的な配慮について確認する。
3 忙しいBさんに配慮し、今後の方針を医療機関と学校で決めていく。
4 Cさんの病状と治療計画に関する情報を学校関係者と共有する。
5 Cさんの気持ちをくんで、放課後の部活動への参加を検討する。
 
問題文の事情を冷静に分析して考える必要がある。
Cは、過食と嘔吐を繰り返していて、自分ではどうしたらいいかわからないと言っている。しかも、肥満度-25%となっている。ようやく受診にこぎつけたものの、かなり深刻な事態にあると考えるべきだろう。※正解率が気になる問題である。
 
1は、×である。「Cさんが食べない原因を共有し」とあるが、問題文にそれらしい原因は書かれているものの明確ではない。従って、この原因を共有してもあまり意味がない。
また、「食事と体重管理の体制を構築する」とあるが、簡単にできることとも思われない。2は、〇である。主治医が「今の状態が続くと2学期の登校は難しいのではないか」とCとBに伝えたところ、Cは学校も部活も休みたくないと希望している。関係者会議を開いて、学校がCのためにどこまでの合理的配慮ができるのかを確認することは適切なことであろう。
3は、×である。BはCの親であり、Cのもっとも身近な存在である。Bを除外して今後の方針を医療機関と学校で決めていくことは、ありえない対応である。
4は、〇である。学校はBの状態を十分に把握できておらず、対応に苦慮していると思われる。Cの病状と治療計画に関する情報を学校関係者と共有することは、関係者会議の目的として適切であろう。
5は、×である。Cの状態には注意が必要であり、いくらCが望んでいるといっても放課後の部活動への参加を、この段階で検討することは適切ではない。

【正解2,4】

問題51  次の記述のうち、BさんへのA相談員の対応として、適切なものを1つ選びなさい。
1 仕事を続けるかどうかは、Cさんに決めてもらってはどうかと提案する。
2 母親としての役割は大きいので、しばらく仕事は控えるよう助言する。
3 Cさんの病気の要因として考えられることを挙げてもらい、改善策を伝える。
4 Cさんのためにも、責任ある仕事を引き受けて活躍する姿を見せるよう勧める。
5 Cさんのケアと仕事を両立する方法を検討し、Bさんが選択できるよう支援する。
 
難しいと感じた人は、確実に間違いだと思ったものを消していき、その上で残った肢を比較検討して答えを決めるのがよい。
 
1は、×である。仕事を続けるかどうかは、B自身の問題であり、Cに委ねるのは適切ではない。
2は、×である。Aが安易に仕事を控えるような助言をするのは適切ではない。
3は、×である。Cが病気の要因として考えられることに焦点を当てて改善策を伝えることは、この時点のBの相談に応えていることにならない。
4は、×である。Cが責任ある仕事を引き受けて活躍する姿を見せたとしても、事態が改善するとは限らない。良い方向にすすむ可能性も否定できないが、根拠のない発言は専門職として適切ではない。
5は、〇である。BがCのケアと仕事を両立できる方法を検討した上で、B自身が選択できるように支援することは適切だといえよう。

【正解5】