26.福祉サービス(R元年3月-第22回)2/3

問題 51 介護保険における福祉用具について正しいものはどれか。2つ選べ。 
1 福祉用具貸与については,種目によっては,要介護状態区分に応じた制限がある。
2 福祉用具貸与事業所には,福祉用具専門相談員を1人以上置かなければならない。
3 特定福祉用具を販売する際には,福祉用具専門相談員は,利用者ごとに特定福祉用具販売計画を作成しなければならない。
4 自動排泄処理装置は,交換可能部品も含め,特定福祉用具販売の対象となる。
5 設置工事を伴うスロープは,福祉用具貸与の対象となる。
 
福祉用具については、ネットなどで画像の確認もしておこう。
1は〇である。軽度の人はベッドや車いすが借りられないといった話を知らない人はいないであろう。2と3は知らないと判断に迷う。4は少し判断に迷う肢である。それは「販売の対象」と書かれているためである。自動排泄処理装置は、基本的に貸与の対象であるから、本肢は×となる。なお、交換可能部品は特定福祉用具販売の対象である。5の設置工事を伴うスロープは住宅改修の対象なので、本肢は×である。1,4,5は判断しやすいが、2と3の判断は知識がないと難しい。2は×で、3は〇である。
本問の正否を分けたと思われる2,3の知識については平28-問51で出題されている。1は平26-問54と少し前に出されている。4に関連する肢は直近では平30-問51で出されているが、ズバリの肢は平24-問53で出ている。5も平24-問53で出されている。

【正解1,3】

問題 52 介護保険における訪問介護について正しいものはどれか。2つ選べ。 
1利用回数が少ない利用者については,居宅サービス計画にサービスの内容が明記されていれば,訪問介護計画は作成しなくてよい。
2管理者には,サービス担当者会議への出席等により,居宅介護支援事業者等と連携を図ることが業務として位置付けられている。
3利用者が居宅サービス計画に位置付けられていないサービスを希望した場合には, 事業者は担当の居宅介護支援事業者に連絡しなければならない。
4サービス提供責任者が必要と認めた場合に,緊急に行った指定訪問介護については,緊急時訪問介護加算を算定できる。
5サービスの提供により事故が発生した場合には,市町村,家族に加え,居宅介護支援事業者等への連絡を行わなければならない。
 
解説を読むと「なあんだー」と感じるかもしれないが、間違った人は多いと思われる。
1は×である。利用回数の多い少ないに関わらず訪問介護計画を作成する必要がある。2は、管理者が連携を図ることはよいとしても、「サービス担当者会議への出席等により」という部分が×である。3の「居宅介護支援事業者」はケアマネジャーである。本肢は〇である。4は、誰が必要性を認める必要があるのかが問われている。「サービス提供責任者が必要と認めた場合」に算定できるとすると歯止めが効かないのではないかと推察できる。本肢は×である。5は、常識的に考えて〇であろうと判断できる。
1は平26-問50で出されているが、他の肢はここ10年間では出題されていない。2から5は類似の知識や問題から推論しながら解くしかない。
なお、肢2に関連した難しい問題が過去に出されているので紹介しておく。平28-問44の「短期入所療養介護の入所が4日以上になる場合は、医師の診療方針に基づき、居宅サービス計画に沿った短期入所療養介護計画を事業所の管理者が作成する。」という選択肢である。これは〇である。

【正解3,5】

問題53 介護保険における通所介護について正しいものはどれか。2つ選べ。
1通所介護計画は,その内容について利用者に説明して同意を得た上で作成し,利用者に口頭で示せばよい。
2通所介護計画は,介護支援専門員が作成しなければならない。
3サービス提供時間が9時間以上の場合は,延長加算を算定できる。
4若年性認知症の利用者を受け入れた場合は,認知症加算に加えて,若年性認知症利用者受入加算を算定できる。
5利用者は,利用日ごとに異なる提供時間数のサービスを受けることができる。
 
例外的なサービス内容や利用形態についても問われている。
通所介護の現場の職員でも迷ったのではないだろうか。
1は、「口頭で示せばよい」はずがなく×である。2は×である。通所介護計画は介護支援専門員が作成する居宅サービス計画とは異なる。3は〇だが、知らなければ△にして次に進む。4は似たもの同士の加算は同時に算定できないの原則(問題50肢5参照)から、×である。5は知らなければ△にすればよい。ニーズが異なるのだから、このような利用も可能ではないかと思えればよい。本問は、1,2,4が×であることがわかりやすいので、消去法で答えを導ける。 
1と2はやや古い出題だが、平22-問51に近い肢がある。3は平28-問54で、4は平29-問54で、5は平24-問52で出題されている。

【正解3,5】

問題54 介護保険における訪問入浴介護について正しいものはどれか。3つ選べ。 
1身体の状況により全身入浴が難しい場合は,利用者の希望によって,清拭や部分浴に変更する。
2利用者に病状の急変が生じた場合は,サービス提供後に主治の医師にその旨を報告する。
3サービスの提供ごとに消毒した浴槽を使用する。
4医療依存度が高い利用者も利用するため,管理者は看護師でなければならない。
5事業者は,自らその提供するサービスの質の評価を行い,常にその改善を図らなければならない。
 
常識力で解ける問題である。
1は特に間違ったことは書かれていないと感じるが、自信がなければ△にして次に進む。2は、「サービス提供後に」が×である。提供後では遅いだろうと感じて欲しい。3は正しそうだが、自信がなければ△にして次に進む。4は、「管理者が看護師でなければならない」の部分が×である。5は普通に考えて〇であろうと判断できる。本問は2と3が×であることがわかりやすいので、消去法で答えを導ける。
1は平26-問51で、2は平24-問51で、3は平27-問55などで出題されている。4の出題はないが、訪問入浴介護の管理者が看護師でなければならない必然性はないと感じて欲しい。反対に、ある事業について特定の職種が管理者でなければならないものもある。そうしたものについては、事前に押さえておかないとその場で判断することは難しい場合がある(平21-問20、平23-問43参照)。5も直接の出題はないが、そういうときは常識的に考えればいい。

【正解1,3,5】

問題55介護保険における認知症対応型通所介護について正しいものはどれか。3つ選べ。 
1 若年性認知症の者も対象とする事業所の設置市町村は,他市町村から指定の同意の申し出があった場合には,原則として,同意を行うことが求められる。
2 送迎時に実施した居宅内での介助等に要した時間は,サービス提供時間に含まれない。
3 職員,利用者及びサービスを提供する空間を明確に区別すれば,一般の通所介護と同じ事業所で同一の時間帯にサービスを行うことができる。
4 認知症対応型通所介護には,機能訓練が含まれる。
5 認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者も,対象となる。
 
細かな内容も聞かれている。
1は見慣れぬ内容であり、△にして次に進む。2は×である。現在の通所介護は送迎もそのサービスの一部と見なして、送迎加算を算定しないものとしている。そうだとすれば、送迎時に実施した居宅内での介助等に要した時間もサービス提供時間に含まれると考えるのが素直であろう。3は〇だが、自信がなければ△でもよい。4はあまり見たことのない人が多かったであろう。わからなければ△にして次に進む。5は×である。認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者は対象にならない。そのような利用者は、当該事業所で日常生活を送ることに支障があると考えられるからである。 
1は過去問でも出されていない細かい知識を問うことにより、混乱させることを狙った肢だと考えられる。正しいとも誤りとも判断しうる内容であり、知らない場合は深追いしない方がよい。ちなみに1は〇であり、今後の試験でも再び出題される可能性は高い。2,3,5の肢については、平29-問55で出題されている。それらをきっちり押さえていた人は、消去法で簡単に解ける問題でもある。なお、4は平22-問53で出題されている。

【正解1,3,4】